先週、アメリカ・アイオワ州のローカルテレビ局のニュース番組でレポーターが、自身がトランスジェンダー女性であることを生放送でカミングアウト。自分の性自認と向き合ってきた過程や、性別移行を始めてからの心境や周囲との関係について語り、注目を集めています。

2021年7月からアイオワ州のテレビ局・WOI-DTのニュース番組「Local 5 News」でレポーターを務めているノラ・ライカートさん(24歳)。1年前から性別移行を開始したと言う彼女はインタビューで、「高校生の頃には、ある程度の『方向性』があった」と語りました。

しかし、当時はその感覚を言葉でどう説明すればよいかがわからなかったと言います。

「特に若いうちは、『自分はこの体を“着ている”のであって、それ自体で生きているのではない』というような違和感を言葉に置き換えるのは難しいことです。自分は落ち込んでいるだけ、不安になっているだけだと思っていました。物心ついたときから、そういう気持ちがあったんです」
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そんなノラさんは「Local 5 News」に出演し始めたときでさえ、男性として生活し仕事をしながら「偽りの自分」を演じているように感じていたそう。

「まるで毎日が仮装しているような気分で仕事に行くのはとても奇妙なことですが、毎朝、素敵な靴やスラックス、シャツを身につけ“自分ではない誰か”として同僚や現場の人たちに会っているように感じることもありました」
「放送に出始めてしばらくして個人的な限界を迎えました。どうしてテレビに映る自分を好きになれないのだろう? なぜ“この人”と心が通じないのだろう? なぜ“この人”にはなりたくないのだろう? と思ったんです」

その後2021年9月にカウンセリングを開始し、現在はホルモン補充療法を行っていることを明かしたノラさん。今彼女がその過程にいる性別移行のプロセスには美しさがあると語りました。

「このことがもっと話題になってほしいと思います。特にシスジェンダーで、(トランスジェンダーを)身近に感じていない人たちの間でね。私が学んだのは、自分の体を愛し、自分を愛し、ただ自分がどう生きたいと望んでいるかということで、私が考えられる限り『最高』の自己表現のアクションです」
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彼女はまた、両親が自身のカミングアウトをサポートしてくれており、そのことにとても感謝していると語りました

「本当に心に残ったのは母が『こんなに幸せそうなあなたを見たことがない』と言ったことです。私も同じ気持ちです。他の人たちも――特に大好きなお母さんとお父さんが――同じように喜んでくれていると思うと、彼らがいる限り何でもできるんです」
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Meet Nora J.S. Reichardt: Local 5 reporter comes out as transgender woman
Meet Nora J.S. Reichardt: Local 5 reporter comes out as transgender woman thumnail
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「カミングアウトしたことで人生が変わった」とFacebookに心境を綴ったノラさんは、今回自身の性別移行について公にしようと思った理由についても触れています。

「トランスであることには多くの喜びと美しさがあり、それを共有したいです。私は24年間、自分自身を本当に愛するということがどういうことなのか知りませんでした。今私は自分を愛することができ、もう元には戻れません」
「アイオワで暮らす人の多くはおそらくトランスジェンダー当事者に会ったことがない(少なくとも彼らは認識していない)のではないかと感じています。そして、私のような人たちについての会話は“スポーツができるかどうか”や“どのトイレを使うか”といったことが中心になることが多く、その偏った考え方がとても嫌になるのです」

今では「より素敵な自分になれた」と笑顔で語るノラさん。彼女の発信はきっと多くの人に勇気と気づきを与えるはず―――。