東京・大久保にあるブックストア「loneliness books」は、日本のほか、韓国や台湾などの東アジアの国々から集められた、セクシュアリティやジェンダーにまつわる本やZINE※が並ぶ「クィアな本屋さん」。

外国の本や雑誌は、グラフィックデザイナーでもあるオーナーの潟見 陽さんによって、言葉がわからなくてもビジュアルで楽しむことができるものが多くセレクトされています。

この記事では、潟見さんに聞いた、コスモポリタン読者におすすめのZINEや書籍をご紹介します。

※個人や小規模のグループによって制作された冊子。

お話:潟見 陽さん(loneliness booksオーナー)

東京のクィアのリアルに触れる

まずはloneliness booksで出版しているZINE、『trailer zine』を紹介したいです。

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韓国出身で東京に住んでいるキム・サンウさんが制作していて、彼が東京で出会った様々なバックグラウンドの人やクィアカルチャーに関わっている人へのインタビューが、ポートレートとともに掲載されています。

インタビューでは、東京でクィアとして生きる彼らがどのようなことを考えてどんな活動しているのか、リアルな想いや光景に触れることができます。2022年夏には3号目が完成予定です。

“こうあるべき”を取り除いてくれる絵本

次に紹介したいのが、2冊の絵本。『女の子だから男の子だからをなくす本』『せかいでさいしょにズボンをはいた女の子』です。

 
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『女の子だから男の子だからをなくす本』(エトセトラブックス)/ ユン・ウンジュ(著)、ソ・ハンソル (監修)、 イ・へジョン(イラスト)、すんみ (翻訳)/ 読者を「女の子はこうあるべき」「男の子はこうあるべき」というジェンダーによるステレオタイプから解放し、心を軽くしてくれる韓国発の絵本。カラフルなイラストが楽しく、子どもから大人までジェンダーについての知識を学べる。
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『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』(光村教育図書)/ キース ネグレー(著)、 石井睦美(翻訳)/「女の子が着る服はドレスだけ」という常識に抵抗し、学校や町で指を差されてもスボンを履き続けた少女の物語。後にフェミニストとして有名になるメアリー・E・ウォーカーの幼き日の実話。

それぞれ、社会から押し付けられるうちに内面化されてしまった“こうあるべき”を一つひとつ取り除いてくれるような1冊です。

僕たちは、生まれたときに割り当てられた性別に基いた「女の子ならこうあるべき」「男の子ならこうあるべき」という価値観を、子どもの頃から知らず知らずのうちに刻みつけられています。

その価値観によって息苦しくなったり、しんどくなってしまう人もたくさんいるはず。もしかすると、普段なんとなく感じる生きづらさの原因を意識しないまま、“こじらせて”しまっている人もいるかもしれません。

その「重荷」が偏見や社会の規範かもしれないと気づかせてくれ、声や行動で意思表示しようと背中を押してくれる――そんな本なので、ぜひ手にとってみてほしいです。

loneliness books

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cosmopolitan / getty images