記事に移動

独特の色合いも魅力!リサイクルウール&カシミヤを生かしたニット11

「ロロ・ピアーナ」「ジョン スメドレー」「セオリー」などのニットをご紹介。

ロロ・ピアーナ パタゴニア ライテンダー ヤンヤン ジョンスメドレー 77circa

秋冬ファッションに欠かせないアイテム、ニット。その主な素材といえばウールやカシミヤだけれど、最近はバージンウールやバージンカシミヤの使用を避け、リサイクルウール・リサイクルカシミヤを採用したアイテムが増えているそう。古着を回収して再利用するほか、ほかのアイテムの生産過程で生まれた落ちワタを紡ぎ直したり、廃棄予定のヤーン(編み糸)をアップサイクルしたりすることで新たに生まれ変わったニットアイテムが続々登場している。

こうした再生素材のニットアイテムは、新たな原料の生産削減に貢献できるだけでなく、独特の風合いやデザインが生まれるのも魅力。また、肌ざわりの良さや耐久性を高める工夫もなされている。ここでは、「ロロ・ピアーナ」や「ジョン スメドレー」をはじめ、リサイクルウールやリサイクルカシミヤを活用している10ブランドのニットアイテムをご紹介。

買いものをするときの目安に!知っておきたい「環境ラベル」

なぜ、ウールやカシミヤもリサイクル素材を選ぶべきなの?

リサイクルウール&カシミア ニットカタログ
Svittlana//Getty Images

そもそも、天然素材のウールやカシミヤが、環境に負荷をかけているイメージはあまりないかも。もちろん、合成繊維のように海洋中のマイクロプラスチック問題の原因にはならないけれど、実は新たにバージンウールやカシミヤを生産する際、大量の水やエネルギーなどの資源を消費している。

たとえば、ウールは羊を育てるための広大な土地とエネルギー、羊毛に付いた脂や汚れを洗浄するための大量の水、さらには加工のための化学薬品や染料などが必要。ファッションに特化したカーボンアカウンティング(炭素会計)を行うフランス企業「カーボンファクト」によれば、バージンウール1キログラムあたりのカーボンフットプリントは10.4キログラムのCO2に相当し、これはリサイクルウールの16倍以上の数字!

もともとウールは耐久性に優れ、寿命の長い素材。繰り返し利用しないのはもったいないとも言える。

一方、カシミヤは近年人気の高まりにより、カシミヤ山羊の過繁殖が深刻化。山羊は草を根こそぎ食べる習性があるため、カシミヤの産地モンゴルの草原では、砂漠化が問題視されている。また、製造工程で多くの水や化学薬品が必要なのは、カシミヤも同じこと。

リサイクルウールやリサイクルカシミヤといった再生素材のニットは、これらの問題を改善するひとつの手段。とはいえ、同じ色の繊維を集めるのが難しいなど大量生産には向かない面もあるため、一気にリサイクル素材に切り替えるのは簡単なことではない。

まずは、すでに再生素材を取り入れている以下10ブランドのアイテムからトライしてみるのはいかが? そして、選んだ1着はなるべく長く楽しみたいもの!

ロロ・ピアーナ

ロロ・ピアーナ loro piana

最高級素材を使ったウェアやアクセサリーを展開するラグジュアリーブランド「ロロ・ピアーナ」。2023年秋冬に、再生カシミヤを使用したジェンダーレスなカプセルコレクション“ロロ(LORO)”を発表している。

再生カシミヤは、メゾンの余剰品からステッチ、ジッパー、ファスナーをすべて手作業で取り除き、生地を色味に応じて分別。これらを洗浄し、ほぐして繊維の状態に戻したのち、染色されていないバージンカシミヤとブレンドすることで、新品同様のとろけるようなカシミヤに仕上げているのだそう。

“ロロ”のニットウェアは、無染色のバージンカシミヤと再利用する繊維のカラーをミックスした独自のメランジ調が特徴。再生カシミヤだからこそ生まれた風合いが美しい!

本コレクションが実現したのは、 「ロロ・ピアーナ」がこれまでも生産におけるすべての工程を社内で直接管理してきたからこそ。再生素材のイメージを覆す、とことん贅沢な一着を楽しんで。

ニット¥174,900/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ ジャパン tel. 03-5579-5182)

公式サイトで詳細を見る

ジョン スメドレー

ジョンスメドレー

英国王室御用達として知られるニットウェアブランドの「ジョン スメドレー」からも、リサイクルカシミヤを活用したアイテムが登場。

ブランドの新しい素材として採用された「エコカシミヤ」は、リサイクルカシミヤ50%に、やわらかな風合いのメリノヤーンを50%混紡したもの。リサイクル繊維の持続可能な使用とその責任を証明する認証プログラム、グローバル・リサイクルド・スタンダード(GRS)のもと生産されている。

環境負荷が少ないだけでなく、再生された繊維を使用することで、バージンカシミヤとはひと味違う独特なカラーが生み出されるのも魅力のひとつ。

ミドルゲージのタートルネックニット“FAIRLIE”は、生地の風合いが映えるベーシックなデザイン。ゆったりとしたシルエットが、エフォートレスな冬コーデを作ってくれそう。

ニット¥70,400/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー tel. 03-5784-1238)

公式サイトで詳細を見る

ADの後に記事が続きます

セオリー

セオリー

Theory for Good」のビジョンを掲げ、トレーサブルな素材の調達や女性のエンパワーメントなどに取り組んできた「セオリー」。ベストセラーニット“カレニアTネックニット”には、リサイクルカシミヤ95%とリサイクルウール5%を混紡した素材が採用されている。

このリサイクルカシミヤはイタリアのファンシーヤーンメーカーによって生産されており、カシミヤ100%のニットウェアの回収、選別、粉砕から、原綿に戻して改めて糸に加工するまでの工程をすべて自社工場内で実施しているそう。リサイクルとはいえ、不純物をできる限り取り除き、厳選されたカシミヤのみ使用しているので、最高の肌ざわりが楽しめるはず。

シルエットはゆったりめで、サイドスリットとゆるやかな後ろ下がりのヘムラインが特徴。アウターの邪魔をしない、コンパクトな袖の作りも嬉しいポイント。

ニット¥49,500/セオリー(セオリー tel. 03-6865-0206)

公式サイトで詳細を見る

ライテンダー

ヤンヤン

衣料品生産の過程で生まれる残糸や残布。そのまま工場で眠り続けたり、廃棄されたりする上質な素材も多いなか、これらを活用するプロジェクトとして2020年にスタートした日本ブランドが「ライテンダー」。

廃棄予定だったものを使用しているので、良質な原料を安く仕入れることができるのだそう。結果、お手頃価格で上質なアイテムを手に入れることができるのがうれしい!

ウール100%の“SENECA CABLE CARDIGAN”は、贅沢に使用した糸をギュッと強めのテンションで編み立てているので、ケーブルの目がしっかり立っているのが特徴。糸をふんだんに使用しているからこそ出せるハリや、立体感のある綺麗なケーブル編みにも要注目。

カーディガン¥27,500/ライテンダー(ライテンダー info@ryetender.com)

公式サイトで詳細を見る

パタゴニア

パタゴニア patagonia

カシミヤ山羊の過繁殖がモンゴル地方の砂漠化を招いていることに危機感を抱き、2017年よりリサイクルカシミヤの使用を開始している「パタゴニア」。

原料は、製造段階で出たカシミヤの端切れ。これをヨーロッパの工場から回収後慎重に色分けし、分別施設に送り繊維を切断する大型機械に通している。こうしてできたやわらかな繊維に、5%だけバージンウールを足すことで、強度を増しているのだそう。

クラシックな佇まいのニットは腕が動かしやすいラグランスリーブになっており、肌ざわりだけでなく着心地も快適!

ニット¥38,500/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス tel. 0800-8887-447)

公式サイトで詳細を見る

ADの後に記事が続きます

パタゴニア

パタゴニア patagonia

「パタゴニア」はリサイクルウールの活用にも積極的。2023年春夏シーズンでは、パタゴニアのウール製品の9%がリサイクル・ウールで製造され、その結果、バージンウール繊維だけを使用した場合と比較して3万9000ポンド(約1万7690キログラム)以上の二酸化炭素が大気に排出されるのを回避できたそう。

リサイクルウールは、工場から出る端切れなどのポストインダストリアルと、回収された衣類などのポストコンシューマーから調達。色別に分けられたのちに再び新しい糸に紡がれ、さらにリサイクルポリエステルを混紡することで耐久性もアップしている。

レトロな柄がアイコニックなこの一枚は、普段づかいはもちろん、キャンプなどのアウトドアシーンでは丈夫であたたかいレイヤーとして活躍するはず。

ニット¥20,900/パタゴニア(パタゴニア日本支社 カスタマーサービス tel. 0800-8887-447)

公式サイトで詳細を見る

YONETOMI

yonetomi

「YONETOMI(ヨネトミ)」は、山形県山辺町で1952年に創業した老舗ニットメーカーが立ち上げたブランド。ベーシックで高品質なニットアイテムでファッションラバーからの支持を集めている。

リサイクルウール100%で仕立てた“REBORN WOOL ARAN KNIT PULLOVER”は、半袖Tシャツの上からそのまま着用できる、チクチク感のなさが魅力。

その秘密は、国内で長繊維の上質なウールのみを反毛しているから。また、仕入れた糸くずの混率を、独自試験を行うことにより把握。複数の糸をブレンドしてひとつの糸を作ることで、ある原糸が不足しても似寄りの原糸を投入すれば、混率・風合いを一定に保つことができるようになっているそう。

このリサイクルウールを生産している愛知の一宮産地では、70年以上も前からウールをリサイクルする羊毛再生の文化があったというから驚き! ウール素材のタイムレスな魅力を感じられる1着といえそう。

ニット¥31,900/YONETOMI(ヨネトミストア tel. 023-664-8165)

公式サイトで詳細を見る


※廃棄予定の生地や、工場で発生する落ちワタ、端切れなどを集めてワタの状態に戻し、糸の原料を作る技術のこと

77circa

77circa

古着を再構築したアイテムなどで人気の「77circa」は、回収したウールセーターや繊維工場から出る切れ端などをリサイクルしたウールニットを展開。

回収・選別された生地は繊維工場にて再び糸に再生。その際、やわらかさやボリュームを出すため、糸に柔軟加工を施しているそう。この加工はカシミヤニットの風合いを出すために使われる加工と同じ方法で、仕上がりのボリュームも倍になるのだとか。

ふっくら優しい肌ざわりに仕立てられたニットは、オーバーサイズのベーシックなデザイン。合わせやすさも抜群で、トレンドに左右されず長く活躍すること間違いなし。

ニット¥26,500/77circa(77circa https://es-77circa.com/

公式サイトで詳細を見る

ADの後に記事が続きます

YanYan

ヤンヤン

香港出身のデザイナーと「ラグ&ボーン」で経験を積んだディレクターが手がける「YanYan(ヤンヤン)」は、アジアンテイスト漂うユニークなニットアイテムを展開。高品質なヤーンが廃棄されてしまうこと、新たな原料が過剰生産されてしまうことを少しでも減らすため、他のブランドが生産過程で余らせたヤーンをアップサイクルしている。どうしても原料が足りないときだけ、新しいヤーンを購入しているのだそう。

商品のために素材を用意するのではなく、すでにある素材でどんな商品を作れるのか、という発想のもと生み出されるニットたちは、どれも遊び心にあふれ、カンバセーションピースになりそうなものばかり。

ブランドの名前は広東語で“人人=みんな”の意味。素材調達からデザイン、生産、そして顧客とのつながりまで、人について考えるというブランドの精神を反映したものだとか。

ニット¥62,160(YanYan/LYDIA tel. 03-3797-3200)

公式サイトで詳細を見る

エコアルフ

エコアルフ

2009年の創業以来、リサイクル素材や環境負荷の低い天然素材のみを使ったアイテムを送り出している「エコアルフ」。Bコープ認証も取得している同ブランドは、自ら海洋ゴミを回収しアイテムに再生するなど、革新的な取り組みでファッション業界のサステナビリティをリードしてきた。

こちらの“MIMOSA ケーブルニット”には、工場から出る端切れなどの原料を活用したリサイクルウールを100%を採用。バージンウールに可能な限り近い感触を叶えるための仕上げ加工が施されており、着心地も抜群。

トレンド感のあるルーズフィットとクロップド丈のバランスも絶妙で、ボリュームのあるスカートから細めのパンツまで、さまざまなボトムと合わせて楽しみたい!

ニット¥24,200/エコアルフ(ECOALF 渋谷スクランブルスクエア tel. 03-6427-3767)

公式サイトで詳細を見る

ドンリー

ドンリー dongli

「ドンリー」は、カシミヤの産地である内モンゴル自治区の自然を尊重し、カシミヤを通じて持続可能な社会に還元できる活動を行うことをコンセプトに掲げるブランド。

トレーサビリティを追求した製品生産や内モンゴル自治区の草原再生・植樹活動などに取り組みつつ、リサイクルカシミヤ100%のニットアイテムも多く展開。原料は、整毛・紡績などの製造工程で発生するカシミヤの落ちワタで、本来ならば廃棄される予定だったものを時間をかけて色分けし、糸へと再生している。

リブニットの風合いが優しげな“3.5G ARM WARMER”も、リサイクルカシミヤを100%使用したアイテム。ミックス感のある色目が特長で、ロングなデザインはトレンド感があるだけでなく、手首をあたたかく包み込んでくれる。

アームウォーマー¥11,000/ドンリー(深喜毛織 tel. 0725-33-7551)

公式サイトで詳細を見る

From: ELLE JP
ADの後に記事が続きます

ファッション

ファッションショーで相次ぐスマホ禁止…排他的?デジタルへの反発?

ファッションショーで広がる「スマホ禁止」 その背景や真意を深堀り

ファッション業界の注目を集める、マデリン・ウィットリーとマーゴ・ウィットリー。22歳の双子のウィットリー姉妹は、それぞれファッションモデルとして活躍をするほか、トランスジェンダーとしての経験を語るtiktokでも人気を集めています。2人に<コスモポリタン イギリス版>がインタビューを実施!

「トランスジェンダー・コミュニティに還元したい」双子モデルのウィットリー姉妹の挑戦

柔らかくて軽く、あたたかいカシミヤのアイテムを、この冬も愛用していた方は多いのではないでしょうか。そんなカシミヤは比較的高価なものだからこそ、長く良い状態を保ちたいもの。ここでは、カシミヤの洗濯方法から収納のコツ、毛玉や虫食い対策など、春の衣替え前に知っておきたい自宅ケアのポイントを伝授します。

カシミヤのお手入れ法とは?洗濯から収納まで、衣替え前に知りたいポイント

イヤリング ランウェイ トレンド アクセサリー イヤリング ピアス

ランウェイがお手本!「片耳イヤリング」トレンドの攻略法とは

ADの後に記事が続きます
ADの後に記事が続きます