ファッション業界の注目を集める、マデリン・ウィットリーとマーゴ・ウィットリー。アメリカ・テキサス州出身の22歳の双子のウィットリー姉妹は、それぞれファッションモデルとして活躍をするほか、TikTokでも人気を集めています。

ウィットリー姉妹は一年の違いで、2人ともトランスジェンダーであるとカミングアウトをしています。現在大活躍中の2人に、トランスジェンダー女性としての経験やモデルとしてのこれからの展望などを<コスモポリタン イギリス版>がインタビュー!

Q:保守的な南部のテキサス州で、クィアとして育つ経験はどのようなものでしたか?

マデリン:カトリック系の男子校に通っていたので、そこでの体験はけっこう最悪でした。ある先生は、私たちがトランジションをした後、「お前らは地獄に行くぞ」と公然の場で非難してきたほどです。

常に安全が脅かされていた日々でした。簡単ではありませんでしたが、できるだけ真に受けないようにして、前に進み、ポジティブな人々と時間を過ごそうと努めていました。

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Dave Benett//Getty Images

Q:2人は一年差でカミングアウトしています。双子はシンクロすると言われることも多いと思いますが、2人の間でシンクロしていると感じたことはありますか?

マーゴ:“何かを感じとっていた”って言えたらかっこいいなとは思いますが、実際はそんなことありません。自分のことを受け入れながら、じっくり一人で向き合ってきました。

マデリンが先にカミングアウトをしたとき、私はまだ心の準備が必要でした。マデリンはおそらく気づいていたと思いますが、何か気づいていたとしてもそれを指摘しなかったのは彼女の思いやりだと思います。

Q:モデル活動を始めるまでの経緯は?

マーゴ:若いときに音楽フェスでスカウトされたことは、一度あります。名刺をいただいたけれどそのときは怪しいと思って、マデリンに名刺を捨てるように言いました。

学校を卒業した後すぐにニューヨークに引っ越して、モデル事務所と契約することになりました。

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Q:「モデルになったんだ! 」と感じた瞬間は?

マデリン:間違いなく、「マーク・ジェイコブス」と仕事をしたときです。

モデルとして活動を本格的にしていこうと夏一杯をかけて奮闘しましたが、最初はまったくうまくいきませんでした。資金も本当になくなって、一旦諦めてテキサスの実家に戻ることに。

引っ越しをして、荷物もすべて運び入れ、実家についた本当にその“瞬間”に「マーク・ジェイコブス」との仕事が決まったとの連絡があったんです! その時に得た報酬は、2~3年は生活ができるというくらいでした。おかげでモデル業を続けることができました。

本当に人生を変えた電話でした。

Q:ファッション業界はトランスジェンダーの人々の才能を活かせていると思う?

マデリン:ファッション業界ではクィアの存在が大きいので、トランスジェンダーであることは“問題”にならないと思っていました。でも実際は、特定の仕事やクライアントとは苦労したこともあります。

ニューヨークとロンドンにはアンダーグラウンドなクィア・コミュニティーもありますし、一番理解を感じやすかったです。ミラノとパリは、それと比べると、あまり受け入れられていない感じがするときもありました。

撮影クルーが、私たちの身体について陰口をいっていることもたまにありました。きっと私たちが言語を理解できないと思ってのことだと思いますが、つらかったですね。

今はPRMエージェンシーの人々も含め、素晴らしい人々に囲まれています。私の一番のロールモデルはマーゴです。そしてほかのトランスジェンダーのモデルもみんなすばらしいし、本当に誇りに思っています。

Q:トランジションにおいて、ファッションスタイルは重要でしたか?

マーゴ:初めてドレスを着たときに、自信の“波”がみなぎって、自分が地球上でもっとも美しい女性だと思えました。 写真を見返してみると全然イケてなくて、メイクも最悪でしたが、その瞬間、自分は最強だと感じたのです。

ファッションを通して、自分のフェミニニティを探検しました。毎日、新しい自分に出会えることが楽しいです。

マデリン:髪を伸ばして、自分の好きな洋服を着る。カミングアウトしたいと思ったその日から、そんな毎日をずっと夢見ていました。外でどのように自分を表現するかというのはトランジションの大事な部分です。(髪を伸ばして、自分の好きな洋服を着るということは)男子校ではできないと感じていました。

自由であると感じることの重要性を実感しました。

Q:ファッション業界がトランスジェンダーの人々のために、もっとできることは?

マーゴ:撮影などの裏側には大きなチームがいます。カメラの前のモデルだけでなく、クィアの人々を雇用すること自体も重要だと感じます。

マデリン:さまざまな肌の色、体型、障がいの有無を含めた多様なトランスジェンダーの人々が活躍する姿をみたいですね。

Q:2人にはTikTokのファンも多いですが、2024年現在のソーシャルメディアの役割はなんだと思いますか?

マーゴ:私たちのことを理解していなかったような人たちにも、クィアのアイデンティティについて届けることができていると思います。

「あなたたちのストーリーを共有してくれてありがとう」「2人をみてカミングアウトをすると後押しされた」「自分のことをもっと知ろうと思うきっかけになった」というダイレクトメッセージを毎日、本当にたくさんいただきます。本当にうれしいです。

次のゴールは、雑誌の表紙を飾ること! そしてもっとお金を稼いで、トランスジェンダーのコミュニティに還元していきたいです。


※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: 佐立武士
COSMOPOLITAN UK