あわや大コケ!?超ヒット映画7作の「びっくり初期設定」
『ハリー・ポッター』の舞台がアメリカになるところだった!?
映画製作は莫大な金額がかかるものだし、だからこそ、出資する製作会社も映画をヒットさせたくて色々と口出しだってする。ただ、時には的外れのアドバイスもあるよう…。
ここでは、最終的には大ヒットしたものの、映画製作会社の意向で一歩間違えれば台無しになっていたかもしれない映画やシリーズ作品を、<Digital Spy>からご紹介します。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: Takako Fukasawa(Office Miyazaki Inc.)
『ハリー・ポッター』シリーズ
『ハリー・ポッター』シリーズと言えば、まず思い浮かぶのはイギリス訛りの子役や俳優陣に、いかにもイギリスらしい寄宿学校やゴシック建築。でも、主人公ハリーが「ホグワーツ・ハイスクール」に通い、クィディッチのトップ選手がチアリーダーと付き合ってプロムに連れていく、というシナリオもあり得たのだとか…。
イギリス人映画プロデューサーのデヴィッド・ハイマンが<The Independent>に語った話によれば、映画化権を取得したワーナー・ブラザースは当初、映画の舞台をアメリカに移して青春系ドラマに仕立て上げたがっていたとのこと。でも幸いなことに、ハイマンが「J・K・ローリングの原作の感覚と言葉に忠実でありたい」と主張して、この案を頑なに拒否したそう。そのおかげもあってか、シリーズ全8作は大ヒットし、全世界興行収入は歴代2位に!
『セブン』
映画史上指折りとも言える、衝撃的なラストが待つこの連続殺人スリラー。実はエンディングの衝撃をもっと和らげる案も出ていたそう(※以下、ネタバレあり)。
猟奇殺人犯ジョン・ドゥは、聖書の「7つの大罪」をモチーフに5人を殺し、残りの被害者2人が明らかになる前にミルズ刑事とサマセット刑事の元に自首してくる。残された大罪の1つが「嫉妬」。ドゥは、嫉妬の念からミルズの妻を殺害したと明かす。もう1つが「怒り」で、妻の殺害を知ったミルズが、怒りのあまりドゥを撃ち殺すという完璧なラスト。
このクライマックスシーンではミルズ宛てに宅配便が届き、中身は映し出されないものの、そこに何が入っているのかはなんとなく分かる…という構成。少なくとも、観客が想像したのは決して"犬の頭部"ではないはず。
ブラッド・ピットが<EW>に話した内容によれば、ミルズ刑事役を引き受ける際に条件を出したとのこと。それは「生首は箱の中に入れたまま映さない」ことと、ミルズが「"正しい行動"ではなく、激情任せの行動に出るのがいい」という考えのもと、彼が最後に殺人犯を殺すことだったそう。
ただ、公開前に作品を観た映画製作会社は、「ミルズがジョン・ドゥを撃たない方が英雄的な描写になるのではないか。それに生首を箱に入れたまま映さないのも据わりが悪い。箱の中を"ミルズの飼い犬"の頭にしたらどうか」と提案したのだとか…。
『プリティ・ウーマン』
主人公のヴィヴィアン役を演じたジュリア・ロバーツによれば、シンデレラ・ストーリーに仕上がっている『プリティ・ウーマン』も、当初の脚本ではヴィヴィアンは最後にお金を渡され、再び売春婦の生活に戻ることになっていたそう。
「最低な2人を描いた、本当に暗くて鬱々とした不愉快で最悪のストーリーで、私の役は怒りっぽくて口が悪くて、いつも不機嫌でろくに教育を受けていないヤク中の売春婦。それがとても裕福でかっこいいけど、口汚くかつ短気でつまらない、嫌な奴と一週間一緒に過ごすという、ただのおぞましい不快なストーリーだったの」
ラブコメに方向転換して大正解だったけど、元の設定も怖いもの見たさで観てみたかったかも…?
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、もっと変なタイトルになる可能性があったのだとか。
映画製作会社社長のシド・シャインバーグは、本作の製作総指揮を担当していたスティーヴン・スピルバーグ宛てのメモで、脚本を褒めつつタイトルは改めるよう提案したそう。シャインバーグは、『バック・トゥ・ザフューチャー』というタイトルではあまりにもタイムトラベルというジャンルに縛られてしまうことを懸念し(それ以外の何物でもないのに!)、なんと『スペースマン・フロム・プルート(冥王星からの宇宙人)』はどうかと提案したとのこと。
シャインバーグは「"スペースマン・フロム・プルート"だと、陳腐で古臭いサイエンス・フィクションを連想させ兼ねないと反発する人もいると思う。でもそんなことはない! 『オリジナリティがあって、楽しい響きを持つ、アツい』タイトルだと思う」と堂々と言ってのけたそう。
『ゼロ・グラビティ』
宇宙から必死に生還しようとする女性を描いた、アルフォンソ・キュアロン監督によるリアリティあふれるサイエンス・フィクションの名作は、危うく陳腐なラブストーリーになるところだったのだとか。
<io9>のインタビューで、キュアロン監督は映画製作会社からいくつか奇抜な提案を受けたと話していて、その1つが恋愛を織り交ぜること。「彼女に思いを寄せる宇宙管制室の指揮官とのロマンチックな関係。[中略]そして最後には、救助ヘリが彼女を助けに来る」というシナリオ案が出たそう。
女主人公に恋愛をさせ、その男が彼女を助けに来る…。そんなシナリオでは、せっかくの素晴らしいヒロインの役どころも台無しになっていたはず!
『ターミネーター』
ジェームズ・キャメロン監督とプロデューサーのゲイル・アン・ハードは、もともと『ターミネーター』を低予算プロジェクトで済ませる予定だったそう。ところが、映画製作会社オライオン・ピクチャーズ代表マイク・メダヴォイは、有名人をキャスティングしたいと考えたとのこと。<EW>のインタビューでキャメロン監督は、メダヴォイがターミネーター役をなんと、当時フットボールを引退して俳優として活躍していたO・J・シンプソンにしたがっていたと説明。
キャメロン監督はこの案にかなり抵抗を感じたそう。「当時(O・J・シンプソン)はまだ皆から愛されていて、皮肉なことにそれが懸念の1つだった。愛されキャラで、おふざけ好きで純粋な感じの奴だったんだ。それに、率直に言えば、アフリカ系アメリカ人の男性が白人女性をナイフで追いかけまわすという構図も気になる点だった」。
その後、1994年にO・J・シンプソンが元妻とその交際相手の殺害容疑で逮捕されるという事件が。ある種、予言だったと言うべきか言わないべきか…。
『デッドプール』
ライアン・レイノルズ主演の『X-MEN』スピンオフ映画は大ヒットし、既に第2作も公開予定。成功の一因は、大人向けのユーモアとダークな雰囲気。原作の漫画に忠実だからこそ、ファンに愛されたよう。
ところが、この愛すべき、下品で汚い言葉と暴力満載の『デッドプール』は、まったく違うものになったかもしれなかったのだとか。紛れもなく「R指定上等!」で撮られたこの映画に対し、20世紀フォックスは当初怖じ気づいたそう。
共同脚本家のレット・リーズは、<Screen Rant>に次のようにコメント。「最初はR指定だった。好きなように書いていいと言われたからR指定で書いたんだ。ただ、R指定にしちゃうと端っから興味がなかったり、お金を払ってまで見に行ったりしない大人が相当数いるはずだから、興行収入の伸びしろが限られるという懸念があったみたいだ。だからPG-13指定に変更することにした。それが一番いいだろうとスタジオも判断した」。
しかし、主演のライアンは「俺は#DeadpoolをR指定にして欲しい。最初からそうだ。まだ勝ち目のある戦いを戦っているよ。今日もたくさん怒鳴ってやった」とツイッターで自身の思いを宣言。
幸い、ライアンがめげずにR指定を推し続けて、大量の罵詈雑言にあふれた作品が日の目を見ることに。ファンは、『デッドプール2』も正真正銘のR指定になることを疑っていないはず。