ブライトニング・色素沈着に効果的な成分として2023年現在、注目度が急上昇中の「トラネキサム酸」。同様の効果が期待できる成分として王道のビタミンCや、近年知られるようになったナイアシンアミドや​​コウジ酸などと並んで美容家らの関心を集めます。

トラネキサム酸はシミや炎症後の色素沈着、肝斑を目立たなくさせる効果があるそう。ハイドロキノンやレチノールなどほかのブライトニング成分よりも、乾燥や刺激といった副作用が少なく、さまざまな肌タイプや肌のトーンに使うことができるのだとか。

今回は、皮膚科医のアメリア・ハウザワー先生マクリーン・アレキサディス先生がトラネキサム酸の効果などについて解説します!

※本記事は<コスモポリタン アメリカ版>の翻訳記事です。日本での最新情報はかかりつけ医等とご相談ください


トラネキサム酸とは?肌に使うようになったのは「偶然」という説も

トラネキサム酸は、アミノ酸の1種であるリシンの合成誘導体。現在はスキンケア成分として人気ですが、元は口腔内の止血剤として使われていたもの。ハウザワー先生は、「抗線維素溶解薬」だと説明。

「抗線維素溶解薬というもので、血液凝固を安定化、保護する作用があります。外傷や怪我、出産、外科手術、鼻血、重い生理などの際に使われます」

トラネキサム酸を肌のために使うようになったのは、偶然の出来事がきっかけだったそう。ある患者が適応外で使用した際に、思いがけずシミが明るくなっていることに気づいたのが始まりでした。

現在は、スキンケアや内服で使用することで、メラノサイトを阻害しメラニンの生成を抑えることがわかっています。メラノサイトは色素を生成する細胞で、シミや肝斑の原因。アレキサディス先生によれば、肝斑のための局所的な外用では、5%の濃度で使用で、(同じ効果をもつと言われる)ハイドロキノンの3%程度の効果が得られるそうです。

トラネキサム酸が肌にもたらすと言われる効果

メラニンの生成を抑えることができるので、肌へのブライトニング効果が期待できます。ほかにも、シミや肝斑、ニキビ跡を軽減し、さらに新たな色素沈着を防ぐことも。

抗炎症効果もあるので、新たな血管の形成を防いでニキビの赤み、赤ら顔などの軽減も期待できます。

効果を最大に引き出すには継続して使用することが大事

濃度やどのような配合なのかによって変わってきますが、徐々に効果が出てくるものなので、長く使い続けるほど効果が出ると言えます。アレキサディスさんは、「4週間の常用で効果が見え始める」と解説。

効果が見え始めてからも継続して使用することが重要で、最低でも12週間は使用し続けることがおすすめだそう。

使う頻度は服用方法をもとにチェック

塗ったり、内服したりして服用できるトラネキサム酸。使用の頻度は服用の方法によって異なります。ハウザワー先生によると、内服タイプのトラネキサム酸は、​​間欠的(一定期間使った後、期間を置くなどする方法)に使用する必要があるそう。

「自分のクリニックでは、摂取を止めて、また始めるといったサイクルで断続的に使用しています。日焼け止め、ライトニングクリーム、レーザーやマイクロニードリングなどクリニックでの治療と組み合わせてやっています」

局所的、外用タイプのトラネキサム酸は、肌への刺激を感じなければ、毎日使用してもかまわないそうです。

ビタミンCと合わせての服用は安全?

外用のトラネキサム酸は、ビタミンCなどのほかのブライトニング成分と並行して使用できます。ほとんどの場合、この2つの成分は混ざっても安全で、むしろ併用するとシミや色素沈着を早く明るくできるとも。

しかし、肌が刺激に弱い場合は、まず単体で使ってみて。徐々にほかの成分と組み合わせることをアレキサディス先生は提案しています。トラネキサム酸はレチノールとの相性も良いとされていて、市販や処方のレチノイドと組み合わせて夜のスキンケアに使うことをおすすめする皮膚科医も多いです。

副作用は乾燥や皮むけなど

トラネキサム酸は、ブライトニング成分として安全で使いやすいことに間違いはありませんが、副作用がないわけではありません。アレキサディス先生によれば、乾燥や刺激、皮むけなどの副作用の可能性があるといいます。

内服した場合、肌以外への副作用が現れる場合も。腹痛、むくみ、吐き気、嘔吐、頭痛、筋肉痛、だるさなどを感じた場合は、医師に相談が必要です 。ハウザワー先生によれば、可能性は低いけれど気をつけなければいけない副作用は、血栓だといいます。

「近縁・家族に血栓、血液疾患、心臓や肝臓などの病気になったことがある人がいる場合は、トラネキサム酸を内服しないでください」

タバコを吸う人や経口避妊薬(ピル)を使っている人も血栓のリスクが高いため、処方には慎重な検討が必要だと言います。

「トラネキサム酸の濃度が高ければ副作用の可能性も上がるので、肌の治療を目的とする場合は、比較的低い濃度を処方しています」

取り入れる際は皮膚科医に相談へ!

トラネキサム酸は、色素沈着や肝斑にとても効果的で重要な成分です。ハイドロキノン、レチノール、ビタミンCなどほかのブライトニング成分と比べても安全で効果的とされていて、ほとんどの肌タイプに使用できて、妊娠中にも使用できます。

内服、外用の両方で使われる成分で、スキンケア製品として市販でも簡単に手に入りますが、ルーティンに取り入れる前に皮膚科医に相談すると安心です。


アメリア・ハウザワー先生(医学博士)

医師会認定皮膚科医。カリフォルニア州キャンベル市のクリニック、エステティクス勤務。多血小板血しょう(PRP)とマイクロニードルを使った施術のパイオアニアで、エイジングケアの専門家。

マクリーン・アレキサディスさん(医学博士)

医師会認定皮膚科医。ダーマトロジー・アンド・レーザー・サージェリー・センター・オブ・ニューヨーク勤務で、スキンケアブランド「マクリーン・アクティブス」の創設者。皮膚と遺伝に関するエキスパートで、幅広い肌に関する悩みを治療しているほか、臨床研究も定期的に行う。

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:佐立武士
COSMOPOLITAN US