今の時代、スキンケアに日焼け止めを取り入れることがいかに重要であるかは、誰もが知るところだろう。皮膚がんは米国で最も一般的ながんの一種で、主に紫外線によって引き起こされている。しかし、日常生活のなかで日焼け止めを十分に塗っていない、もしくは全く塗っていない人も多いよう。そのため、ここでは日焼け止めについて知っておくべき基本的な情報を改めて紹介する。ミネラルとケミカルの日焼け止めの違いや、どちらを使うべきか、そしてなぜ日焼け止めが重要なのかについておさらいしていこう。


【INDEX】


専門家の紹介:

  • アニー・チウ(医学博士)は、カリフォルニア州のマンハッタン・ビーチにある皮膚科医「ダーム・インスティテュート」の創設者であり、認定皮膚科専門医。非侵襲的な(身体に負担を与えない )美容皮膚科学と美容学を専門としている。
  • レイチェル・メイマン(医学博士)は、「マーマー・メディカル」の認定皮膚科医で、マウント・シナイ病医院の臨床インストラクターとしても活動している。専門は一般皮膚科と注入治療を含む美容皮膚科。
  • デンディ・エンゲルマン (医学博士)は、ニューヨークの「シェーファー・クリニック」の認定皮膚科医。

日焼け止めを塗らないとどうなる?

耳にタコができるほど聞いているかもしれないが、これはとても重要なこと。「日焼け止めを塗らないと、光老化のリスクが高まります」とメイマン医師は言う。光老化とは、紫外線によるダメージを受けた結果、皮膚に起こる変化のこと。メイマン医師は、日焼け止めを塗っていない肌に紫外線が当たると、真皮(皮膚の一番深い層)の細胞レベルでDNAの変化を引き起こすと説明している。

これが何を意味するかというと、紫外線によるダメージが目に見えるようになるまでには長い時間(何年も)がかかるが、ひとたび目に見えるようになると、紫外線ダメージによる一般的な影響(早期のシワ、しみ、肌のまだらな質感、さらには皮膚がんなど)が出てくるようになるということ。

可能な限り日焼け止めを塗る理由について、チウ医師は次のように述べている。「紫外線量は、必ずしも外の気温に伴うものではありません」。つまり、室内にいても日焼け止めを塗った方がいいということだ。同氏は、天候に関係なく、最低でもSPF30の日焼け止めを毎日使用してほしいと言う。基本的には毎日日焼け止めを塗って、こまめに塗り直すことが大切だ。

ミネラルとケミカルの日焼け止めは、何が違う?

まずは、ミネラルとケミカルの2種類の日焼け止めについておさらいしよう。何事にもメリットとデメリットがあるが、ミネラルとケミカルの日焼け止めには、まさにそれが当てはまる。チウ医師は「日常使いからウォータースポーツまで、その日の活動に合わせて使用する日焼け止めの種類を変えるのが一般的な方法です」と語る。以下で、それぞれの特性について詳しく説明する。

mineral v chemical sunscreen
Claire Brodsky

ミネラルの日焼け止めとは?

ミネラルの日焼け止め(別名フィジカルサンスクリーン)は、「盾のような働きをし、肌の表面を覆って太陽の光を跳ね返すものです」とメイマン医師は説明する。ミネラルの日焼け止めには、光を反射する白色のミネラルである、酸化亜鉛および(または)二酸化チタンという有効成分が含まれている。つまり、これらが白浮きの原因となっているということだ。

しかし、白浮きしないミネラルの日焼け止めを探している人に、朗報がある。エンゲルマン医師によると、これまでの日焼け止めとは違い、今は「ミネラルの日焼け止めの処方やコーディングの方法に大きな進歩がありました」「白浮きしないものもあります」とのこと。

ミネラルの日焼け止めが「すべての肌タイプに対応し、敏感肌には特に有効」であることを考えると、こうした改善は重要なカギを握る。そのため、もし敏感肌で、どの日焼け止めを選べば良いかわからないという人は、ミネラルの日焼け止めを使ってみよう。また、ミネラルの日焼け止めは、塗ってすぐに効果が出るため、たっぷりと塗ればすぐに外出できるのも大きなポイント!

ケミカルの日焼け止めとは?

メイマン医師によると、ケミカルの日焼け止めは、「太陽光を吸収するスポンジと同じような役割を果たす」そう。チウ医師は、紫外線を熱エネルギーに変えて肌から放出するものだと説明する。メイマン医師はさらに、「ケミカルの日焼け止めには、オキシベンゾン、アボベンゾン、オクチサレート、オクトクリレン、ホモサレート、オクチノキサートといった有効成分が含まれています」と語っている。

一般的に、ケミカルの日焼け止めは水や汗に強いため、アクティブなライフスタイルにぴったりで、ほとんどの肌タイプに使えるとチウ医師は説明する。「ケミカルの日焼け止めは一般的に、見た目が美しく仕上がるようにできています。つまり、肌なじみがよく、白浮きしないということです」。そのため、ケミカルの日焼け止めはよりサラリとしていて、薄い仕上がりとなる(なかには完全に透明な日焼け止めも存在する)。

ただし、ケミカルの日焼け止めは、肌になじんでから効果を発揮するまでに時間がかかる(通常15分〜30分)ということを覚えておこう。

ニキビ肌には、ミネラルとケミカル、どちらの日焼け止めを選ぶべき?

日焼け止めを使った後に、吹き出物ができたり、かゆみや赤み、炎症を起こしたりすることは避けたい。残念ながらこれは、敏感肌やニキビ肌の人にはよくあることだ。だからこそ、肌への刺激が少なく、自分の肌に合った日焼け止めを見つけることが、とても重要になってくる。

メイマン医師は、「日焼け止めによってニキビができる原因のひとつは、ケミカルな紫外線散乱剤に対する過敏反応。このため、ケミカルの日焼け止めはニキビ肌の人にとってベストな選択肢とは言えないかもしれません」と語る。とはいえ、日焼け止めの処方は最近、飛躍的に進化しているため、ニキビ肌向けに特別に処方されたケミカルの日焼け止めも販売されている。

最終的なチョイスは人によって異なるが、どの日焼け止めを選んだとしても、安全に使うためには事前のパッチテストをおすすめしたい。

ケミカルよりもミネラルの日焼け止めの方が安全?

ケミカルの日焼け止めが安全に使えるかどうかについては、さまざまな議論があるが、メイマン医師は、「安全性に関して言えば、ミネラルの日焼け止めの方が、ケミカルの日焼け止めより“安全”と断定することはできません」と語る。ケミカルの日焼け止めを使用した場合の健康への影響を証明する臨床研究結果が(今のところ)ないため、個人の好みでの判断になるよう。

メイマン医師もチウ医師も、日焼け止めを適切に使用していることが最も大切、という意見で一致している。「最終的に安全な日焼け止めとは、処方に関係なく、たっぷり塗って、こまめに塗り直しても問題がないものということに尽きます」とメイマン医師は話している。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Masayo Fukaya From COSMOPOLITAN US