長引くマスク生活で、衰えがちな“表情筋”。どうせ誰にも見られないから…とそのままにしておくと、顔のたるみやほうれい線、二重あごなど老け見えの原因に。
そもそも表情筋とは一体何か、どんなアプローチが有効なのかを、レディー・ガガの専属フェイシャリストを務めたこともあるトップ・フェイシャリストのジュミ・ソンさんに伺いました!
【INDEX】
表情筋とは?
表情筋とは、20種類ほどの平らな筋肉が骨や皮膚とつながってできているもののこと。
「“噛む”、“感情に応じて表情を作る”というのが、表情筋の主な機能。体の筋肉は骨と骨でつながっていますが、表情筋は骨だけではなく、皮膚にもくっついているのが大きな特徴で、とても細かい表情を作ることができます」
ジュミさんによると、表情筋はとても特殊な筋肉の集まりで、以下の5箇所にあるんだそう。
- 口の周りと頰
- 鼻の周り
- おでこ、頭、首の付け根
- 耳の周り
- 目の周り
これらの筋肉にコリや硬さを感じるなら、注意が必要!
表情筋が硬くなる理由
表情筋が硬くなる第一の原因として考えられるのは、“ストレス”であるとジュミさんは説明。
「顔はもちろん、顔を支えている首や肩は、感情や身体のストレスの影響を一番に受ける場所です。私たち人間は、ストレスを感じる状況に直面すると、交感神経からホルモンが放出され、“闘うのか逃げるのか”という本能の指令により硬くなります」
この状況が何度も繰り返されると、筋肉の硬直から痛みへと変わっていくんだそう。
表情筋は鍛えるのではなく“ほぐす”
また、ジュミさんは“表情筋を鍛える”という昨今のブームに警告を鳴らしています。
「たとえば硬直して痛みがある肩の上から、ダンベルなどを用いて鍛え続けますか?筋肉に痛みがあれば、まずはストレッチやマッサージなどでほぐさなければ、鍛えること自体が不可能となります」
ジュミさん曰く、毎日人と話をする機会が多ければ表情筋のトレーニングは十分に行われていて、ストレスを多く抱えている人の表情筋はガチガチに固まっているんだとか。
「“表情筋を鍛える=強くする”のではなく、“鍛える=硬直している表情筋をほぐす“というニュアンスに変えなければ、顔のコリをより悪化させる原因を自ら作っていることになるのです」
表情筋をほぐすメリット
では表情筋をほぐすと、どんなメリットがあるのでしょうか?
- 表情が豊かになる
筋肉の伸び縮みが取り戻せるため、表情が作りやすくなる。
- 肌質や顔色が変わる
表情筋をほぐすことで硬直した筋肉が伸縮しやすくなり、血流やリンパ腺の流れを促す効果も。 - 歯ぎしりの改善
夜寝る前に、硬直した表情筋、特に口周りにある咬筋をほぐすことが重要。 - 偏頭痛の改善
目の周りの筋肉をやわらげ、硬くなった表情筋をほぐすのが効果的。
表情筋をほぐすと、プチ不調の改善だけでなく表情も豊かになったりとメンタル面でもいいこと尽くめ。
ほぐすべき表情筋とは?
顔には様々な筋肉があるけれど、リガメント(筋肉の伸び縮みに欠かせない靱帯)があるすべての表情筋は必ずほぐすのが重要とのこと。
咬筋
体の筋肉の中で一番強いと言われているのが“噛む筋肉”。ストレスや歯ぎしりで硬直してしまい、リンパの流れが滞ったり顔の神経にも大きな影響を与えるので、必ずほぐしてあげることが大切。
眼輪筋
現代社会ではパソコンやスマホといった電子機器と共に生きる文化で、目に与える負担は相当なもの。眼輪筋のコリは、ドライアイや目の衰えの原因にも…。1分でもいいので仕事や作業の合間に目を休め、温かいタオルなどを使って目をマッサージすることを心がけて。
頰筋
笑ったり口角を上げる際に使われる筋肉である頬筋。話す機会が多かったり表情が豊かな人は、この筋肉をほぐすとほうれい線にアプローチできるのだそう。
口輪筋
唇を動かすときに使われる口輪筋。この筋肉をほぐすと、周囲にあるオトガイ筋や口角下制筋もほぐすことができ、口周りのリフトアップにもつながるとのこと。
表情筋がこわばらないようにするためには?
日常生活で気をつけていても、ついこわばってしまう表情筋。どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
「日々のストレスを真っ先に受け、それをいわば保管しているのが表情筋。硬くならないようにするためには、日々のマッサージがとても大切です」
ジュミさんによると、顔のマッサージは自分でできる、というのが一番の利点なんだそう。
「ローラーや美顔器を使うのももちろんいいですが、終わった後は必ず自分の指を使ってマッサージをしましょう。自分の指でこわばっている筋肉の感覚を触って覚えることは、3~5分あれば可能です。お風呂に浸かっている間や顔にクリームをつけながらでもかまいません」
体が温まっているときが最適だけど、一息つける数分を見つけ、その日のストレスとこわばった筋肉を同時に溶け流すようにマッサージしても良いとのこと。
おすすめのマッサージ法
ここからは、ジュミさんがおすすめするマッサージ法を紹介。
「寒い季節に多いのが副鼻腔による炎症です。副鼻腔が炎症によってむくんでしまうと、顔の中心のすべてが連鎖反応でむくんでしまうため、見た目の印象に影響を及ぼします。それらを解消する“炎症をやわらげるマッサージ”を取り入れてみましょう!」
- 鼻の横にある副鼻腔を流す
触ったときに痛気持ちいいポイントを探し、指の腹で押しながら3回深呼吸して指を離す。これを5回繰り返す。 - 側頭筋をマッサージ
こめかみから側頭筋、首の付け根にそって指を滑らせながらマッサージ。これを3回繰り返しリンパを流す。 - 目元のマッサージ
眉頭と目頭の間にある凹みに指をあてる。骨を持ち上げるように下から押し、3回深呼吸して指を離す。これを5回繰り返す。気持ちいいと感じるぐらいの強さで行って。 - 側頭筋をマッサージ
先ほどと同様に、こめかみから側頭筋、首の付け根にそって指を滑らせながらマッサージ。これを3回繰り返してリンパを流す。 - 眉上の副鼻腔をプッシュ
眉山の上にある凹みを探し、3回深呼吸しながら指先でゆっくり円を描き、指を離す。これを5回繰り返す。 - 側頭筋をマッサージ
こめかみから側頭筋、首の付け根にそって指を滑らせながらマッサージ。これを3回繰り返してリンパを流せばフィニッシュ。
このマッサージでこわばった表情筋を優しくほぐしてあげれば、表情が変わってくるはず。ぜひ毎日のバスタイムやスキンケア時に行ってみて!
お話を伺ったのは…
ジュミ・ソン
アメリカを拠点に活躍する、日本育ちのトップエステティシャン。レディー・ガガの専属フェイシャリストを4年半務めた“世界一のハンド”の持ち主。公式InstagramやYouTubeでもマッサージ法など、様々な美の情報を発信中。