20183月の冬季パラリンピックにアメリカ代表として、スキーとスノーボード種目に出場することが決定している3名の義足の女性アスリートを、コスモポリタン アメリカ版が直撃!

その3名とは、ワールドチャンピオンシップの金メダリストであるチームUSAブレンナ・ハッカビー選手3度のパラリンピック出場で銅メダル2つと銀メダル1つを獲得しているオクサナ・マスターズ選手、そして、2014年のソチパラリンピックで銅メダリストに輝いたエイミー・パーディ選手。今回彼女たちが、義足であるがゆえの苦労や努力、そしてトレーニングする上で気をつけていることなどを、赤裸々に告白してくれました。

ブレンナ・ハッカビー(21歳、スノーボード選手)

ハッカビー選手は14歳の時、骨肉腫と診断され、右足の太腿から下を失いました。

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「子どもの頃からスポーツが大好きで、体操競技をしていたので、(足の)切断手術を受けた後スポーツを再開した時は、義足が動きの妨げになっているように感じました。しかし15歳の時に、ナショナル・アビリティ・センター(スポーツを通じた教育プログラムを提供する団体)のスキー旅行で初めてスノーボードをするようになってから、義足を自分の"足"として受け入れ、装着した状態でスノーボードのトレーニングをするようになりました」

「自分にフィットした義足を着けていると、本当に違います。私は3種類の義足を持っていますが、それぞれ用途が違うので代用が利きません。1つは日常生活用、1つはランニング用、そしてもう1つはスノーボード用です

スノーボード用の義足は吸着式です。まずライナーと呼ばれる、肌と義足の間に入れることでクッション的な役割を果たすものを足に装着して、そのライナーの周りについているリングに、義足上部のソケットを取り付けます。ソケットの装着がわずかでもズレてしまうと、足の皮膚を傷つけたり、神経を傷めたり、マメができたりしてしまうんです。時には、義足が運動中に外れてしまうこともあります。

義足であることによって、一部のスノーボードの技はなかなか2本足の健常者と同じようにはできませんが、人一倍努力すれば彼らに近い状態にまで引き上げることは可能です。そう考えると、唯一彼らとの違いがあるとすれば、スノーボードをする際ブーツを履く前に義足を着けるという、余分な1ステップが増えるくらいですかね」

クサナ・マスターズ(28歳、クロスカントリースキー選手)

放射能を浴びたことによる稀な先天性の障がいにより、マスターズ選手は両足の膝及び膝下部分の切断手術を、それぞれ9歳と14歳の時に受けました。

「私がスキーをする時は、両足の義足を取って、自分専用にカスタマイズされたスキー椅子に座ります。そして腕と体幹をうまく使いながら、スキーストックの助けを借りて雪の上を滑ります。競技の際に最も大変なのは、自分の残っている足の部分を冷やさないようにすることです。切断箇所付近はどうしても血液循環が悪くなってしまうので、たくさん着込んで暖かくしなければいけません。

スキー椅子が自分にぴったりのサイズであることが何より大事です。大き過ぎると体がグラグラしてしまって、雪の上を前進するのに使うためのエネルギーと体力が無駄に消耗されてしまいますから」

「ジムでトレーニングをする時はいつも(腰の高さまで来る)義足を履いています。高額だったので、"私のランボルギーニ"って呼んでいます。

0.5ポンド(約230グラム)でも体重が減ったり増えたりすると、義足のソケットの着け心地が非常に悪くなります。まるで3サイズ小さい、13センチのハイヒールを履いているような感じで、装着面周辺の肌が擦れてただれたり腫れたりしてしまいます。夏にはサイクリング、冬にはスキーと、2種目のパラリンピック競技に出場する選手として、シーズンごとにやはり体重の増減があり、いつも痛みに耐えながら調整していかなければならないのが辛いですね」

2足の大腿義足を履いているのがどういう感覚かをつかむには、底がコンクリートブロックでできていて、杖部分の真ん中を蝶番でつないでいる竹馬に乗っているのを想像するといいかもしれません。技術はだいぶ進歩し、私の義足はどちらも膝周りにコンピューター制御機能が搭載されていて、よりスムーズに歩くことを可能にしているとは言え、やはり私のために自然に歩いてくれるわけではありません。膝を曲げるだけでも大きな労力を要しますし、35ポンド(約16キログラム)の重りを持ち上げてウェイトベンチに移動させるだけでも、私にとっては一仕事です」

「トレーニングにおいてイライラしてしまうことがあるとすれば、膝のコントロールを要するエクササイズをする時ですかね。普通のウェイトトレーニングも、ストラップなどの備品を使って調節しながらやっていかなければいけません」

「これまであまりに義足に重圧をかけ過ぎて、トレーニング中に壊してしまったり、懸垂や体幹運動の最中に落としてしまったこともあります。それでもやはり義足は、ジムでのトレーニングや日常生活において欠かせないもので、これ無しに自分1人で生活していくことはきっと困難でしょう」

エイミー・パーディ(38歳、スノーボード選手)

パーディ選手は19歳の時に、細菌性髄膜炎を発症し、両足の膝下部分を失いました。

「足を失う前からスノーボードをしていたので違いがよく分かるのですが、2足の義足を使っての競技は私にとって間違いなく大きなチャレンジでした。普通の足と比べて義足の柔軟性はわずか10%ほどですし、当然足の感覚がないわけですから、思い通りのタイミングで思い通りに動いてくれることをただただ信じるしかありません。メリットとしては、足の冷え性に苦しまないことですかね(笑)。

義足はいくつも持っていて、スノーボード用、日常生活用、ランニング用、ダンス用(番組『Dancing With the Stars』で履いた)の義足などがあります」

「スノーボード用に使っている義足(Versa footと呼ばれる)は、マウンテンバイク用の緩衝装置が足首についているので、ジャンプによる足首への衝撃をやわらげ、膝の曲げ伸ばしを楽にしてくれます。山でトレーニングをする際の様々な調整のために、いつも色々な備品を持ち歩いています」

この足見て! 友人の@biodaptが自身の足を失くし、今市場にある義足では自分の思うように足を動かしたり、高いジャンプに耐えることができないことに気づいて、アクションスポーツ・アスリートたちのために自らのガレージで作ってくれたものなの。無いなら作っちゃえ…!という勇気と原動力に溢れるこのコミュニティが、私は大好き。マウンテンバイク用の緩衝装置が足首に柔軟性をもたらし、私も楽々スクワットがこなせるようになったわ! ちなみに、これは足首の柔軟性を要する特定のスポーツや活動のために作られた特殊義足なので、日常生活における歩行やランニング向きではないの。お求めの方は、まず彼に問い合わせて、自分の目的のスポーツや活動に適したものかチェックするようにしてね!

「トレーニングや日常生活の中で使っていると、どうしても1年半に一足は履き潰してしまい、新しいのを新調しなければいけません。ここまでたどり着くのに何年にも渡る忍耐と努力、周囲のサポートを要しましたけど、今では与えられた新しい"足"で、自分の好きなことを思う存分できることが本当にラッキーだと思うし、幸せです」

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

COSMOPOLITAN US