「世界中を旅行してみたい」。そんな夢を抱く人は多いけど、実現するのは難しいもの。資金を貯めるのも大変だし、旅先でお金が底つきるのも不安なはず。でも諦められない!という人のために、コスモポリタン アメリカ版が仕事を辞めて世界旅行を実現した2組のカップルを紹介。限りある資金を長持ちさせるための具体的なハウツーが書かれているので、ぜひ参考にしてみて。

シャネルさん(32歳)&スティーボさん(30歳)の場合

ブログ:How Far From Home

出身地:南アフリカ共和国

前職:両者とも広告業界

旅行スタート時期:20153月(現在も旅行中)

訪問国:オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、イギリス、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、イタリア、ケニア、マラウイ、モーリシャス、ナミビア、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、タンザニア、トルコ、アラブ首長国連邦、ザンビア

【出発前に、各々が貯めた資金の額は?】

シャネルさん:15000ドル(約170万円)です。私は2年、スティーボは4年かけて貯めました。所得の1020%を毎月貯金し、年金積立は解約して現金化しました。加え、車や家具などの家財道具一式を売ったお金も資金に加算。緊急事態用のお金は別途取り置き、その他の残高はすべて貯金していました。

【旅行に出発してからのお金の使い方は?】

スティーボさん:<ワークアウェイ>というボランティア紹介サイトを使うことで、訪れた地で泊まる場所と食事を確保しています。最初にボランティアをしたのはノルウェー。ハスキー犬のロッジで70頭の犬の世話をしました。ハスキーたちを走らせたり、犬ぞりを引いたり、犬小屋の掃除や巻き割りなど。その後スウェーデンに移動し、観光客を手伝うボランティアをしました。1日に働くのは1時間だけ。その他の時間はボランティア先の車を使わせてもらい、スウェーデン中を見てまわりました。旅を始めて9カ月後からは収入になる仕事も始め、出発時に持っていた資金は15カ月間持ちました。

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【まだ旅の途中?】

シャネルさん:最初は1年間旅して、その後は元の職場に戻る予定でした。でも旅を続けるうちに、旅先でも出来る仕事があることに気づいたんです。会ったことのないあるカップルが私たちのInstagramの写真を気に入り、結婚式のビデオ撮影を依頼してくれました。結婚式を撮影したことはなかったけど、この仕事のためにロンドンに行ったんです。また撮影のため、セビリア(スペイン)のラグジュアリーホテル「ホテルアルフォンソXIII」に滞在するチャンスにも恵まれました。

現在は旅をしながらビデオ撮影、写真撮影、ロゴデザイン、旅行の資金調達についてのオンラインコースの運営をしており、旅をしながら収入を得る(つまり、旅をしていても引退後や将来のための準備ができる)ための新しいビジネスモデルを構築中です。

【お金を節約する方法は?】

シャネルさん:例えば食事しようと思ったら、レストランではなくて滞在先のAirbnbに歩いて帰り(バスではなくて徒歩で帰宅)、家で料理をして食べればお金を節約できます。旅に出て以来、ずっとこんな風にしてやりくりしているんです。2015年に使用した娯楽費(ビールやワイン、チョコレートを買ったり、美術館の入場料なども含む)は、1カ月平均84ユーロ(約1万円)。この結果から、2016年以降は娯楽費を少し増やし、1カ月平均172ユーロ(約2万円)使用しています。でも時には自分たちに"ご褒美"もあげているんです。例えば、アイスランドに行ったときはブルーラグーンへ行きました。お金はかかったけど、でもせっかく旅をしているのだから見るべきものはみないと…ね。

【ブルーラグーンでかかったお金(1日分)はいくら?】

スティーボさん:150ユーロ(約6,000円)です。でもこれはシャネルへの誕生日祝いだったんです。

シャネルさん:誕生日当日はケーキも食べなかったけど、ブルーラグーンはちょっとした贅沢でした。

【節約するために、"やりたかったけど諦めたこと"はありますか?】

シャネルさん:アクロポリスの丘(ギリシャ)に行かなかったことですね。今でも残念に思っています。料金は112ユーロ(約1,500円)なのでそんなに高くなかったけど、その月はすでにかなりお金を使ってしまったので、アテネに行っただけでアクロポリスの丘には行かなかったんです。やっぱり行けばよかったかな。

エリアナさん(28歳)&トラヴィスさん(28歳)の場合

ブログ:When in Roaming

出身地:アメリカ(ワシントンD.C.

前職:エリアナさんは小学校の事務職、トラヴィスさんはフリーランス・フォトグラファー

旅行スタート時期:20161月(約5カ月間。すでに帰国済み)

訪問国:タイ、ベトナム、カンボジア、シンガポール、マレーシア

【出発前に貯めた資金の額は?】

トラヴィスさん:目標額は1万ドル(約112万円)でしたが、旅に出たときの実際の貯金額は1万ドルを少し下回る額でした。片道航空券しか購入しなかったものの、当初の予定では89カ月で帰国するつもりでした。

【旅行中、どんな仕事をしましたか?】

エリアナさん:東南アジアで働くためには労働ビザが必要ですが、私たちには観光ビザしかなかったので働けなかったんです。

【主な宿泊先は?】

トラヴィスさん:ホステルに滞在する予定でしたが、ホステルの料金は1ベッドあたり78ドル(約780900円)。安いホテルでダブルルームを取ったほうが1011ドル(約1,1201230円)と安かったので、そうしていました。

エリアナさん:ディスカウントホテルを予約できるサイト<Agoda>を使って滞在先を探したり、ときどき<Airbnb>も利用していました。

タイのチェンライでチラシを見かけたことをきっかけに、アカ族の村に滞在することもできました。私たちが滞在したバンガローは森を越えた先にある谷間の上部、丘の斜面にあり、本当に素晴らしいひとときでした。でもバンコク(タイ)のホテルでは壁、床、そしてバスルームにびっしりとゴキブリがいたのに、翌日まで部屋を交換できなかったという悲惨な経験もしています。蚊はどこにでもいたし、滞在先の人の態度がひどかったこともよくありました。猿やトカゲ、さまざまな鳥に遭遇したのは楽しかったけど、ゴキブリと南京虫に襲撃されたことはメンタルをやられそうになるほど苦痛でした。

【たまには贅沢することもありましたか?】

トラヴィスさん:僕たちはバックパック旅行者ですから、何かよい経験になると思ったものにだけお金を使いました。ベトナムのホイアンで、オーダーメイドのスーツを作りたかったけど、お金のムダかな…と思い諦めました。でも地下洞窟のツアーには参加しましたよ。料金は130ドル(約3,360円)。これは2人分の食費(1日)と同じ額だったので僕たちにとっては予算オーバー。でもツアーの後2日間は外食もビールも我慢して、帳尻を合わせました。

【いつ資金が底つきましたか?】

トラヴィスさん:5カ月を過ぎたころ、「あと6070日分のお金しかない」と気づき、がっかりしました。もう2,500ドル(約28万円)しか残っていなかったんです。その後もどんどん貯金が減っていき、100ドル(約11,200円)を切りそうになるころにはかなりヒヤヒヤしました。

【そんなにお金がなくなった状態で、どうやって帰国したのですか?】

エリアナさん:出発前に、帰国用の航空券代としてトラヴィスの両親に1,200ドル(約134,000円)預けておいたんです。Youtubeなどで「お金がなくて、マレーシアから動けない」「ベトナムにいるんだけど、誰か送金して!」と言っている人たちの動画を見ていたので、帰国費の心配をしなくてすむように、先に手を打っておいたんです。

【ワシントンD.C.に戻った今、また旅行資金を貯めていますか?】

トラヴィスさん:はい、(次の旅行資金として)5,000ドル(約56万円)ぐらい貯められたら…と思っています。帰国後はフリーのフォトグラファー仲間から仕事をもらいつつ、以前働いていたコーヒーショップに戻って働いています。

エリアナさん:帰国後、仕事が見つかるまでに2カ月と8日もかかってしまいました。旅行に出たことで履歴書上、空白期間が生まれてしまったので、そのことを気にしていましたが、旅行前より高給の満足いく仕事を見つけることができました。

トラヴィスさん:次の旅をどうするべきか、そしてどうすれば(1カ国に)長期滞在が可能なのかを考えているところなんです。1年以上どこかの国に滞在したい場合、労働可能なビザが必要です。世界各地を旅して周るのは楽しいけど、でもどこか1カ所に落ち着き、その国の文化をじっくり吸収する方が僕たちには合っているし、価値があることのように感じています。

(※金額は1ドル=112円、1ユーロ=119円で計算しています)

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US