一見きれいな掃除されたキッチンも見えないところに汚れが潜んでいることもあるという。「キッチンは細菌が繁殖しやすい場所です。食べかすが少し残っているだけで菌が増殖し、食中毒の危険性はアップします」と話すのは、アリゾナ大学の環境微生物学博士のケリー・A・レイノルズ氏。「きちんと除菌・殺菌ができていないと、24時間以内に細菌が10個から100万個にまで増えてしまいます」と注意を呼びかけた。それに細菌が多ければ多いほど、食中毒が発生しやすいのだとか。そうならないためにも、キッチンでもっとも菌が繁殖しやすい場所をご紹介。対処法を参考に日頃の掃除法を見直してみては!
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:Reiko Kuwabara
From:Woman's Day
シンク周り
「シンクや排水口、三角コーナーの周りには何万個もの病原菌が潜んでいる可能性があります」とレイノルズ博士。十分に加熱された食品で食中毒になる確率は低いけれど、生の鶏肉を切るのに使ったキッチン用品には、サルモネラ菌などの細菌が付着していることもあるのだとか。またシンクを触った手で、顔に触れるなんてもってのほか。細菌を顔に塗っているようなものなので絶対にNG!
おすすめの対策法:生肉や野菜、ペット用ボウルを洗い流したら、すぐにシンクを掃除するように。たとえ毎日シンクを使っていないとしても一日に一回は掃除するのがベストとのこと。そして最後につけおきタイプの除菌スプレーを蛇口、シンク周り、排水口ごみ受け、三角コーナーなど振りかける。「スプレーのつけおき時間もチェックすることが大事です」とレイノルズ博士。
スポンジ、キッチンクロス、食器用ブラシ
公衆安全衛生における安全性の確保とリスク管理を行う、NSFインターナショナルが実施した調査によると、75%の世帯で使用されているスポンジとキッチンクロスから大腸菌が検出されたという。同機関で微生物学のディレクターを務めるロバート・ドノフリオ博士は「同じクロスを何日も使い続けると食器に細菌が拡散されます」とコメント。そしてその食器を使って食事をすると、病原性大腸菌が体内に侵入し、体調を壊すこともあるそう。
おすすめの対策法:キッチンクロスを毎日取り替えること。汚れたクロスは温水で洗浄し、温風で乾かせば除菌もできる。スポンジも数日に一回は取り替えるのが理想。もしくは毎日電子レンジで入れて、2分チンするのも効果的とドノフリオ博士。その時、スポンジが乾いていると発火の原因になってしまうので、しっかり水分を含んでいることを確認するように。食器用ブラシは毎日除菌スプレーをかけるか、食器洗い機で洗いましょう。
コーヒーメーカー
NSFインターナショナルがコーヒーメーカーの調査を行ったところ、50%以上の給水タンクから酵母菌(イースト)やカビを発見。「それらの菌によってアレルギー反応を引き起こす人もいます」とドノフリオ博士。それに「コーヒーの味も悪くなります」とレイノルズ博士もコメント。
おすすめの対策法:1ヶ月に一回、給水タンクいっぱいに酢を入れて30分ほどつけ置きしましょう。それからポットへドリップし、さらに数回きれいな水でドリップすればOK。待っている間にフィルターなどのパーツを洗い、乾かしておくと時間も短縮できる。シングルサーブ用のコーヒーメーカーも、おそらく同じ方法で除菌することができるとドノフリオ博士は教えてくれた。
ハンドバッグ、リュックサック、ブリーフケース、PCバッグ
スーパーのショッピングカートや床に、持ち歩いていたハンドバッグを置いてしまいがち。でもそうした場所にもさまざまな菌が蔓延している可能性もあるらしい。レイノルズ博士は次のように説明している。「一日持ち歩いているものであれば何かしらの菌は付着しているはずです」「調査したところ、半数以上のハンドバッグから糞便系大腸菌が検出されました」
おすすめの対策法:食品を扱うキッチンにハンドバッグと置かない方がベターとレイノルズ博士。レザーバッグであれば、除菌シートを使い、週に一回のペースでバッグの底を拭いてみるのもよし。生地が傷まないよう、事前に目立たない部分で試しておきましょう。
冷蔵庫、戸棚の取っ手、コンロのつまみ、照明のスイッチ
「そうした部分もきれいに見えるから、汚れていることを忘れがち」と語るのは、ワシントン州オリンピアを拠点にする「アメリカン・メイド・クリーニング」の経営者リズ・トロッター氏。一日に数回は触るので、細菌で汚染されている確率が高いそう。
おすすめの対策法:シンク周りを掃除するついでに他の箇所も除菌するように習慣づけましょう。そうするためにも手の届きやすいところに掃除用品を置いておくと便利とトロッター氏。レイノルズ博士も「時間がない人は月に一回、もしくは生肉や卵の殻などを触った後すぐに、除菌シートで全ての表面を拭くように」と助言。