仕事のキャリアだけではなく、プライベートでも結婚や出産など、人生のターニングポイントに差しかかり、何かと迷えるアラサー世代。もしかしたら、その悩みは思い切って転職することで解決できるかも…? これから「転職初体験」を迎える女性たちに役立つアドバイスを、マイナビの紹介事業で、法人営業・キャリアアドバイザー双方の経験のある野澤綾子さんから伺った。

——現在の転職市場における、求人の傾向を教えてください。

いま企業が求めている人材は、バイタリティあふれる女性たち

10年ほど前に比べ、女性のニーズがとても高くなっていると感じます。ひと昔前であれば、女性は結婚や出産などのライフイベントで退社する傾向が強かったため、企業としてはキャリアの途切れづらい男性を求めていました。しかし、最近ではライフスタイルが変化しても、働き続けることを望む女性が増えてきたことから、やる気のある女性であれば大歓迎!と、転職市場の風潮にも変化が現れてきました。

——転職に役立つような、いま人気の資格はありますか?

新しい業界へチャレンジする時に重視されるのは、知識よりも「マインド」

残念ながら、資格があるからといって必ずしもそれが転職に有利に働くとは限りません。最近では「TOEIC800900点とったので、英語の使える仕事に就きたい」と希望される方も多いのですが、いくら知識があっても経験がなければ結局は未経験として扱われてしまうなど、転職に活かせないケースもしばしば…。そういう意味では、資格をとることをゴールにするのではなく、それを次にどう活かすかをよく考えてから、学びをスタートさせることをおすすめします。

実のところ、企業が未経験者を採用する際に重視するのは、資格よりも本人のやる気や覚悟などのマインド部分が大きいのです。例えば、営業職などは、20代後半で未経験者だったとしても、バイタリティがありコミュニケーション上手であれば採用される傾向が高く、その後に活躍されている方も多いですよ。

——仕事だけではなく、プライベートでも結婚や出産といった、人生におけるターニングポイントに差しかかるアラサー世代。転職相談で多いお悩みとは?

結婚の予定はこれからという段階から、産後の働き方を見据えて転職活動をする女性たち

転職理由として圧倒的に多いのは「いまの会社では長く働けない」というもの。

これには2つ理由があり、まずは現職に物足りなさを感じ、もっとやりがいのある仕事をバリバリ頑張りたいと思っているケース。このようにキャリアアップを目指すポジティブな方は、企業が求める人材像にもはまりやすく、転職でも成功している女性が多い印象です。

もうひとつは、産後に職場復帰をしてもずっと働ける環境を求めているという、今後のライフイベントを見据えたケース。意外にも、この相談にいらっしゃる女性の約9割が「まだ予定はないんですけど…」という未婚の方なのです。結婚も、出産や育児もやりながら、仕事でも腰かけのような形ではなく、きちんと責任ある立場や、やりがいのある仕事に就いて、ワクワクしながら働きたい。そのためには、なるべく早い段階で転職をして、組織内で自分の居場所を確保してから、結婚や出産に臨もうという。現代女性の計画性はまさにライフプランナーさながら! これは、男性にはなかなか真似できないことだと思います(笑)。

—— 初めての転職はとても勇気がいると思いますが、これだけは覚えておいたほうが良いといった「心の準備」のようなものはありますか?

本当に転職がしたいのか、まずは志向の「棚卸し」を

仕事をしながら、企業研究をして、(バレないように)面接に行って…と、それはそれは大変だと思います。途中で何度も心が折れそうになったり、仮に転職が決まっても会社から引き止めにあって決意ができなくなってしまったり…。そんな時に自分の軸となるものは、やはり、なぜ転職したいと思ったのか、そこで何がやりたいのかという「初心」に他ならないはずです。なので、まずは自分の中で転職に対する気持ちの「棚卸し」をする必要があると思います。中には、1年ほどかけて転職を検討される方もいますので、たとえ時間がかかってもじっくり決意を固めることをおすすめしますね。

——「転職してよかった」という、転職で成功した方の声を聞かせてください。

仕事が楽しいと人生も楽しい!

転職が成功したと感じている方は、やはりみなさん、とてもイキイキとお仕事をされている印象があります。もちろん、新しい環境でこれまでとは違った苦労もあると思いますが、それ以上に、転職したことで自分が本来やりたかったことが叶っているという充実度が高いからでしょう。「転職して、毎日すごく楽しいです」と連絡をくれる方々の声からは、ハッピーな様子が伝わってきて、こちらまで嬉しくなりますね。

転職の条件面でもそうなのですが、主に年収面を気にかける男性たちに比べ、女性たちは「やりがい」の部分に重きを置いているように感じます。

—— 転職する会社について、事前に確認しておいた方が良いポイントはありますか?

その会社で働く社員と話した時の「直感」がカギ

面接などを通し、その会社で働く社員の方と直接話をする機会があるはずです。そこで、職場の雰囲気や女性社員の様子などを、なんとなくキャッチすることができると思いますが、それを受けて自分が何を感じるか…。実はこのフィーリングが大切で、少しでも違和感のある部分があったとしたら、その環境は自分が求めるものと違っているかもしれないので、要注意ですよ。 複数の職場の方に会わせていただき、直接お話をすることをおすすめします。

また、同業界でも会社によって職場のムードが全然違うことも。例えば、洋服のテイストやネイルの可否など、女性にとってモチベーションにも繋がるファッション系の規定についても、気になる方は事前に確認しておいた方が良いかもしれません。

—— 初めて転職をするときに、直接自分で企業に応募するか、エージェントを通すか、迷う方も多いと思いますが、それぞれの利点を教えてください。

中には、両方を使って抜け漏れなく求人情報を集める賢女たちも

まず、どちらの方法を使っても、転職に有利・不利という差はありません。自分で決断して自由に進めていきたいという方は、『マイナビ転職』のような媒体から直接応募されても良いと思います。しかしながら、転職は孤独な戦いでもあるので、アドバイザーや相談相手がほしいという方は、エージェントを通せば、転職をトータルでサポートしてもらうことができます。逆に、どちらも使いながら、徹底的に求人の情報収集をされている方も多いですよ。

—— 内定をもらってから、できるだけストレスなく退職日を迎えるまでの有効なステップを教えてください。

「うまくいかないのが普通」と覚悟して、強い気持ちで臨むべし

もちろん、円満退社できると最良なのですが、現実はなかなかスムーズには運ばないものです。退職の意思を伝える部分からは、「うまくいかないのが普通」というある種の覚悟をもって、強い気持ちで臨みましょう。以下に、大まかな退職フローをまとめてみます。

<転職活動スタート前>

  • 会社の退職に関する規定を確認

(退職の意思を会社に伝える期限などを把握するため)

<転職活動の最終段階>

  • 引き継ぎ項目の整理(退職交渉の際に、書面にまとめて提出すると親切)
  • どこかで機会があれば、上司やチームの仲間に「私もずっとこの会社にいるわけではないですよ?」という雰囲気が伝わるように軽くジャブを打っておく(退職を伝えたときの唐突感が軽減するかも)

<正式に内定が出て、退職をする12カ月前(※時期は会社の退職規定で要確認)>

  • 直属の上司に退職の意思を伝える(メールでは失礼にあたるので、時間を設けて直接口頭で伝えること)
  • 最終出社日、退職日、有給休暇の取得など、この後のスケジュールについて相談

<退職>

  • 引き継ぎ期間を経て退職

有給に関して、残念ながらほとんどの方が全消化できていないのが現状です。

次の会社はなるべく早く来てほしいので入社日を待ってくれませんし、今の会社からは引き継ぎなどでギリギリまでいてほしいと言われるケースが多いので…。

とはいえ、有給は労働者の権利ですから、退職交渉時に「最終出社日は20日で、退職日は30日でお願いします(その間の10日間が有給)」というように一度意向を伝えてみるのもありだと思います。その際に注意したいのが、あまりに自分の意見を主張しすぎないこと。最後に印象を悪くするのは避けたいですよね。それに、転職は同じような業界内で人材が動くことも多く、いつどこで前の会社の人と繋がるかわかりません。そういう「人の縁」やネットワークも念頭におきつつ、今の会社のことも、次の会社のことも考えて接するのが良いでしょう。

—— これから初めて転職を考えている女性たちに、何かアドバイスをお願いします!

勇気を出して一歩踏み出した先に、未来の幸せが待っている

仕事をしている時間は人生の大半を占めますよね。だったら、もっと楽しく、ワクワクしながら働きたいと望むもの。転職へ、はじめの一歩を踏み出すのはとても勇気がいると思いますが、その先にはきっと明るい未来があると信じて頑張ってください!

私も出産を経て職場復帰をした経験者なのですが、いまは、仕事のキャリアも、結婚や出産・育児だって、女性は何も諦めないですべて両立できる時代だと思うのです。それを支えるカギとなるものが、ひとつ「転職」ではないでしょうか。女性の皆さんには、自分の幸せのために、ぜひ欲張りであってほしいですね(笑)。