「海外で暮らしてみたい」「働いてみたい!」と、思ったことがある人って、案外多いのでは? とはいえ、日本以外の生活に飛び込むって語学も準備もお金も…と、具体的に考えれば考えるほど、尻込みして行動できなくなってしまうもの。

そこで8月のテーマ「初体験」にちなんで、海外で暮らしている(していた)人に「"初めて"海外暮らしに挑戦したときの話」を聞いてみました。ツラかったり、嬉しかったり。この初体験エピソードにワクワクした人、あとは行動あるのみ!

渡航した国:中国(上海)

渡航した年齢:29歳

滞在期間:4年

自分の「海外で暮らしたい」の気持ちに、本当はどんな目的があるのか考えて

すさまじいスピードで街も、文化も成長している上海。パワー溢れる都市で活躍することを目指し、今井京さんが中国へと渡って行ったのは4年前のこと。現在は日本語のフリーペーパーを発行する会社で営業部長を務める彼女の海外暮らしをはじめるきっかけとなったのは…?

――海外で働こうと思ったきっかけは? 

新卒で入社した会社で働きながらも、うっすらと海外で働いてみたいなぁとは思っていたんです。それが「絶対、海外で働きたい!」という気持ちに変わったのが、2010年に開催されていた上海万博のときのこと。現地で働いている日本人との接点があり、海外で活躍するパワーを目の当たりにし、自分もそうなりたいと強く感じたのがきっかけでした。その後、震災があり「やりたいことをしないと、この先の人生後悔する」と感じて、仕事を続けながらも中国語の勉強をするなど準備し、万博から約1年後に上海に渡りました。

――中国というとパワーに圧倒されそうですが、選んだ決め手は?

そうですね、確かに人がパワフルで今でも圧倒されますが(笑)。上海万博に行ったときに、漠然とですが日本から移り住むことになっても働いたり生活したりするイメージができたこと、それに渡航費や現地生活費も自分でやっていける範囲だったことが決め手になったと思います。仕事については、もともと出版社で営業をしていたので、経験を活かせる日本語フリーペーパーを発行する会社に履歴書を送り、スカイプで面接後、採用され、就労ビザを手配してもらったという流れになります。

あっという間に上海に来て4年が経ちますが、最初の頃に比べてもどんどん発展していて、街や文化が形成されていくのを間近で感じられるのはおもしろいですね。

――スムーズに移住されているようですが、中でも大変だったことは?

やはり中国語でのコミュニケーションです。自分の思い通りの生活ができなかったことはツラかったですね。もちろん、知り合いがいない中での孤独感も味わいました。

でもそれは、日本での暮らしを一度リセットして、ゼロからスタートするということでもあって、語学の上達や他の国でも暮らせていけるという実感が伴ってきた今となっては、自分の成長や自信につながっていると思います。

――日本との違いを一番感じるのはどんなときですか?

日本の社会よりも、物事の決定のスピードが圧倒的に早いことです。特に中国人は仕事の面で、無駄なことを嫌う傾向があって、合理的に判断する人が多いんです。例えば、新しいお店をやっとオープンさせたと思いきや、"流行らない"と判断したら1カ月で閉店してしまうなんてことも。

あとは良い意味で、考え方が適当なところ。最近ではそれが居心地良くって、日本に帰ると必要以上に丁寧だなと感じてしまいます。

それまで、何の疑いもなかった日本社会での習慣や常識を見直す機会になって、自分の考え方に良い影響を与えてくれたと思います。

――いま、一番楽しいと感じるのはどんな時ですか?

中国人のクライアントが日本人の私を頼りに商品や広告内容の相談をしてくれて、信頼関係を築けたと感じるとき。そこまでのコミュニケーションで、お互いの考え方の違いを理解し合えて、価値観の壁を越えることができた瞬間だと思うと、毎回感慨深いです。

――海外で暮らしたいと思っている女性にアドバイスはありますか?

それぞれの「海外で暮らしたい」という思いには、いろんな意味が含まれていると思います。なので、実際にどんな目的をもっていて、自分には何ができて、どの国が合っているのかを客観的に見て、調べた上で、行動に移すことをおすすめしたいです。キャリア志向なのか、バカンス志向なのか…ミスマッチを減らすのも大事かなと思います。