行列ができやすい、女性トイレ。特に大型イベントなどでは、女性トイレの混雑に煩わしさを感じる人も少なくないはず。そんな万国共通の悩みを解消するべく、イギリスで新たに開発されたのが女性向けの小便専用トイレ「PEEQUAL(ピークアル)」。

女性2人が手がけた同トイレは、時短を叶える工夫だけでなく、尿をリサイクルするなど環境にも優しい設計になっていることから話題を呼んでいる。

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英ガーディアン紙>によれば、2018年の調査の時点で「トイレに行くために並ぶことが多い」と答えた人が、男性では11パーセントだったことに対し、女性では59パーセントだったという。

生理や着用している服の違いなど、やむを得ず時間がかかってしまう要因もある一方で、「トイレの設計」に目をつけて改善を図ったのが、当時は学生だったアンバー・プロビンさんとヘイゼル・マクシェインさんの二人。

音楽フェスで仕事をしていた経験から、大型イベントで立ちはだかる女性のトイレ問題に疑問を持ち、2000人以上から話を聞きながら研究を進め、小便専用トイレを開発することにしたという。

「排泄にも平等を」 というメッセージを込めて「PEEEQUAL(ピークアル)」と名づけられた同トイレは、「トイレの時間短縮」をはじめ、「衛生面の確保」や「ジェンダー平等」、「環境にも優しいこと」「女性にとって安全な空間であること」、そして「タブーを打ち破る」ことなどを理念にしている。

使用方法は至ってシンプルで、しゃがんだ状態で排泄をするだけ。「ハンズフリー」なため、衛生的に使用できるという。また、トイレ同士は仕切りで分けられているものの、ドアは設置されておらず、立ち上がると上半身が見える設計になっている。

開発者の二人が<BBC>のインタビューで語ったところによれば、これこそが時短のための工夫なんだとか。

「一般的なトイレの場合、ドアを開けてから閉めて、次に鍵をかけて、備えつけのワイプなどで便座をきれいに除菌しますよね。さらにプライベートな空間であることから、動作がどうしてもゆっくりになってしまいがちです。そうした小さなことが重なって、個室トイレでは時間がかかってしまうという側面もあります」
「私たちがデザインしたトイレにはドアの代わりに仕切りが重ねられており、時間短縮につながります。使用時はしゃがむだけなので、便器と直接肌が触れることもなく、使用前に掃除する必要もありません。衛生的で安全です。一方で、完全なプライベート空間ではないことから、用を足したらすぐに出るという行動にもつながります」

天井を設けずオープンエアーにしているため、匂いがこもらないという利点も。バッグなど身の回りのものをかけるフックなども設置されているという。

また、「PEEEQUAL(ピークアル)」のトイレは汲み取り式になっており、タンクに集約された尿は、「PeePower(ピーパワー)」というスタートアップ企業が手がけるリサイクル技術によって発電に使われるという。

そのため便器内にトイレットペーパーは流せず、備え付けのごみ箱に捨てるシステムとなっており、排泄ごとに水を使用しない点でも環境負荷が少ないんだそう。

すでにマラソン大会や音楽フェスなどに導入されており、今月には大型フェスである「グラストンベリー・フェスティバル」でも導入されることが決定している。また、2023年にはヨーロッパ各地のフェスでの利用に向けて契約が進められているという。