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スピルバーグに愛された子役「キー・ホイ・クァン」が再評価されるまで

『インディ・ジョーンズ』や『グーニーズ』で子役として成功するも、一時は表舞台から姿を消した理由とは…?

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でその演技力が世界的に評価された、キー・ホイ・クァン。子役時代に出演した『インディ・ジョーンズ』の撮影秘話や、名俳優となるまでの挫折の日々などを深掘り。
Getty Images

2022年~2023年にかけて賞レースを席巻している映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。アメリカに住む中国系移民を描く本作には、アジア系の役者たちが抜擢され、圧倒の演技力と格闘技を使ったアクションシーンで話題を呼んでいます。

そのうちの一人が、80年代に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』や『グーニーズ』に出演し国民的な子役として注目を集めたキー・ホイ・クァン。約20年ぶりのカムバックとなったうえ、その演技力が認められ、数多くの賞を獲得しています。

本記事では、キー・ホイ・クァンが世界的に再評価されるまでの軌跡を、撮影秘話などと合わせてお届けします。

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『インディ・ジョーンズ』シリーズでデビュー

harrison ford and kate capshaw in 'indiana jones and the temple of doom'
Paramount Pictures//Getty Images

1984年に公開された『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で、子役(ショート・ラウンド役)として、12歳でデビューしたキー。

本作の監督を務めたスティーブン・スピルバーグとプロデューサーのジョージ・ルーカスは、アジア系の子役を探し、ロサンゼルスのチャイナタウンで公開オーディションを開催。

当時を振り返りながらキャスティングの裏話を語ったキーによると、自身の兄弟がオーディションに参加するとのことで同行した際に、キャスティングディレクターによって声をかけられたのだそう。

「スティーブン・スピルバーグのオフィスから電話がかかってきて、母はハリウッドの有名な監督に会うとのことでスリーピースのスーツを私に着させました。ところがスティーブンは、もっと気軽な恰好をして明日会おうと提案し、次の日出直したんです」

「翌日、スティーブンとジョージ・ルーカス、主演のハリソン・フォードと半日過ごし、その3週間後には撮影のためにスリランカに向かいました」

『グーニーズ』でも活躍

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4KUHD/BD【予告編】『グーニーズ』
4KUHD/BD【予告編】『グーニーズ』 thumnail
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1985年に大ヒットを遂げ、現在も名作として愛され続ける映画『グーニーズ』には、データ役として出演。

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の撮影が終了した際に、再びスティーブン・スピルバーグ監督のオフィスに呼ばれ、『グニーズ』のオファーがあったと語ります。

撮影終了時には、データが着ていたアイコニックなジャケットをもらったという秘話も!

俳優から裏方へ

jonathan ke quan
Michael Ochs Archives//Getty Images

『グーニーズ』の後も、俳優として活躍することを夢見ていたキー。ところが、アジア系の役が少なかった当時のハリウッドでは、俳優を続けることが難しかったと振り返ります。

台湾や日本などの映画にいくつか出演しますが、俳優としての道を諦め、映画の裏方として働くためフィルム・スクールに通うことを決意。

『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』への出演をきっかけに、テコンドーなどの武道や格闘技を習っていたキーは、アメリカや香港などで監督のアシスタントをしながら、アクションシーンの振付師として活躍しました。

香港では、世界的な映画監督ウォン・カーウァイのアシスタントをしていたことも!

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俳優として再挑戦

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映画の裏方としてのキャリアを積んでいた2018年。アジア系のキャストのみを起用したハリウッド映画『クレイジー・リッチ!』が公開され、ヒットを記録します。

『クレイジー・リッチ!』を3回みて、3回とも泣いたというキー。その理由は、「自分もあの場にいたかった」という悔しさを含んだ思いだったと言います。

この経験から、約20年ぶりに俳優として再挑戦したいという思いが沸き上がり、友人にエージェントになってほしいと頼んだのだとか。

そのわずか2週間後に舞い込んできた話が、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』だったと言います。

「中国系の家族のお話で、長年ずっと読みたいと思ってきた脚本でした。ミシェル・ヨーやジェームズ・ホン、ジェイミー・リー・カーティスなどのスターと共演できると考えると、この役を演じたくてたまりませんでした」

見事なアクションシーンと演技力を披露

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Everything Everywhere All At Once | Fanny Pack | Official Clip HD | A24
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映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』では、ミシェル・ヨー演じる主人公エブリンの夫・ウェイモンドを演じます。

数ある名シーンのなかでもウエストポーチを使ったアクションシーンは見せ場の一つ。

何週間にも渡りアクションシーンの練習し、時には家にウエストポーチを持ち帰って振り回し、パートナーに怒られたというエピソードも。

撮影初日はとても緊張したそうで、約20年ぶりに演技をするということ、周りが伝説的な役者ばかりであるという事実にパニックになりかけたと語ります。

しかし、共演者である女優ジェイミー・リー・カーティスから「さっきの演技は最高だった」という言葉をかけてもらってから、徐々に自信を取り戻していったのだそう。

すでに50以上の賞を獲得!

80th annual golden globe awards press room
Gilbert Flores//Getty Images

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』での演技力が評価され、2022年から2023年にかけて50以上の賞を受賞しているキー。

主なものには、「ゴールデングローブ賞」や「放送映画批評家協会賞」での助演男優賞があるほか、「第95回アカデミー賞」でも助演男優賞でノミネートされています。(2023年2月現在)

「ゴールデングローブ賞」の受賞スピーチでは、子役として最初の機会を与えてくれたスティーブン・スピルバーグ監督に感謝を伝えながら、次のように語りました。

「子役として選ばれたときは、自分はとてもラッキーだと思いました。しかし、時間が経つにつれて、これで終わりかと感じるようになったんです。ただ運がよかっただけだと。子どものころに成し遂げたことを超えることはできないんだと思いました。ありがたいことに、30年以上経ったある日、監督二人が僕に再び挑戦するチャンスをくれたんです」

今後もマーベルのドラマシリーズへの出演や、Disney+制作の『アメリカン・ボーン・チャイニーズ』への出演が決まっているキー。

今後の活躍に注目したい!

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