怖い夢を見てしまい、心臓がバクバクして汗びっしょりで目が覚めた…という経験をしたことはありますか?

子どもの頃に「怖い夢」や「悪夢」を頻繁に見ていた人がいるかもしれませんが、大人になっても悪夢に苦しんでいる人は少なくないもよう。たまに見るぶんには問題ないものの、繰り返し悪夢を見るのであれば、精神疾患の一つである「悪夢障害」の可能性も疑われます。

そこで今回は、悪夢を見る回数を減らすために、睡眠のエキスパートたちによる対処法をご紹介。夜眠るのが怖いと感じてしまう人はぜひ参考にしてみて。

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悪夢を見てしまう原因とは?

悪夢を見る主な原因は、日中に感じるストレス睡眠不足。臨床健康心理学者のアリシア・ロス先生によると、この二つは密接に関係していて、ストレスを感じると睡眠不足になりやすく、逆に睡眠不足がストレスを増幅させることもあるそう。

また、うつ病や不安障害の治療、血圧コントロールや睡眠改善を促す薬などが悪夢を引き起こすことも

「人間の脳は寝てる間に、心配事を解消しようとします。そのため日中に受けたストレスが、夜に悪夢として投影されることもあります」と語るのは、睡眠のエキスパートで精神科医のアレックス・ディミトリュ先生。

ヨガや瞑想、散歩、寝る前の入浴、そして自分と向き合う時間をもつなど、日中の間にストレス発散ができる、自分に合ったアクティビティを実践することが大切なのだそう。

「就寝する数時間前に心配事を紙に書いたり、どう解決できるかを考えることで、日中のストレスが睡眠に与える影響を抑えることができます」

※自己判断で服用をやめるのではなく、医師に相談したうえで代替医薬品や服用量を調節するようにしましょう。

悪夢を見ないようにする方法とは?

寝る前に少量のおやつを食べる

慢性疲労の専門家であるジェイコブ・タイテルバウム先生によると、寝ている間に血糖値が低すぎると悪夢を見ることが多くなるのだとか。日頃からお腹が空いた時にイライラしやすい人は、特にこれが原因で悪夢を見やすいそう。

寝る前のおやつには、タンパク質と炭水化物を含み、脂肪分や塩分、糖分の少ないものをチョイスしましょう。

睡眠スケジュールを一貫する

週末も含めて、毎日寝る時間を一貫すると睡眠の質と量を担保することができ、悪夢を見ることも少なくなるそう。

南カリフォルニア大学医学部で働く睡眠専門家ラージ・ダスグプタ先生は「睡眠不足や不眠症は、悪夢を見るリスクを高めます。できるだけ睡眠スケジュールを守ることがおすすめです」と解説。

ベッドに入る時間を統一し、7~8時間後の大体同じ時間にアラームをセットしてみましょう。また、寝る30分前から携帯電話を見ないようにすることや本を数十ページ読むなどの決まったルーティンを守ることも、悪夢を見ないようにするのに効果的です。

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Tanja IvanovaGetty Images

夢を描き換える練習をする

もしどんな悪夢を見たか鮮明に覚えていたり、繰り返し同じ悪夢を見てしまうことがあるのなら、「イメージリハーサルセラピー」を試してみるのも一つの策。

臨床心理士でアメリカ睡眠学会で委員を務めるマイケル・J・ブルース先生によると、これはアメリカで使われている悪夢の治療法で、見た悪夢を思い出しながら、頭の中でポジティブ、または現実的なものに描き換えてしまう方法だそう。

たとえば一人で薄気味悪い暗い道をひたすら歩く夢を見たときは、そこに自分の愛犬を登場させて楽しい夢だとイメージしてみましょう。もしも次に同じようなシチュエーションの夢を見たとしても、悪夢ほどひどいものにはならないはず。

日中にネガティブな感情を発散する

ストレスや不安、憂鬱な気持ちは悪夢の引き金になる可能性が高いもの。ただ、これを夜まで持ち続けずに日中に発散すると、悪夢を防ぐ効果が期待できます。

ディミトリュ先生によると、就寝前の20~30分は、ネガティブな感情を日記にぶつけたり不安な出来事や問題の解決に取り組んだりする時間を確保することがおすすめだそう。

意識的にポジティブなことを考える

悪夢が原因で不眠症を発症する方たちに勧められる方法の一つが、意識的にポジティブなイメージをもつこと。

基本的なテクニックの例として、まずは安らげる自然の情景(ビーチや雄大な山々など)を思い浮かべてください。もし自分が本当にその場にいたら、どんな景色が見え、どんな音が聞こえるのか、どんな香りがするかなどに意識を集中させましょう。

ロス先生は「悪夢に出てくる悪いイメージを頭から取り除くことも大切ですが、脳にポジティブな良いイメージを与えることも大切です」と付け加えました。

明晰夢(めいせきむ)を見る

「今自分は夢を見ている」と認識できたり、夢をコントロールしたりすることが可能な状態を指す「明晰夢」。睡眠専門医で神経学者のクリストファー・ウィンター先生は、明晰夢を見る方法は存在するとして、悪夢を避けるために有効であると説明しました。

ただ、睡眠障害をひきおこすリスクもあるため、十分に注意する必要があることも覚えておきましょう。

病院で診てもらう

悪夢を引き起こす原因となる基礎疾患を患っている可能性もあるので、病院で診てもらうのも選択肢の一つ。

ダスグプタ先生は、例として睡眠時無呼吸症候群不安障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害 (PTSD)を抱えている人は、悪夢を見やすい傾向にあると指摘。医師の診断のもと治療やカウンセリングなどに取り組めば、悪夢を見る可能性が低くなるかもしれません。

悪夢の原因になる?寝る前にやってはいけないこと

寝る前にお酒を飲む

「アルコールを摂取すると、睡眠導入効果があったとしても悪夢を見やすくなる」と話すのは、ダスグプタ先生。寝る直前の飲酒は避けて、代わりに温かいハーブティーなどを飲んで気持ちを落ち着かせましょう。

恐怖を喚起させるものは観ない

当たり前のことですが、恐怖を喚起させるような映画や本を見て眠りにつくと、それに関連した悪夢を見ることがあります。ホラー映画が好きだという人でも、悪夢を見たくないのであれば、極力避けることが賢明かも!

※この翻訳は抄訳です。
Translation: Aryung Kim, Risa Tsubakihara
Good Housekeeping