眠りのプロに聞いた!睡眠の質を高めるナイトルーティン14
良かれと思っていてやっていたことが実は逆効果な場合も…!
生活リズムを整えるためには、朝の習慣と同じかそれ以上に“夜の習慣”を見直すことが大切。 ベッドで眠りにつく前の入眠習慣が睡眠の質を左右することは知っている人も多いはず。そこで本記事では、「快眠へと導く睡眠前の習慣」についてのアドバイスを専門家の解説をまじえて<グッド・ハウスキーピング>からお届け。
解説してくれるのは、臨床心理学、行動睡眠医学、セクシャリティ教育などが専門のブリトニー・ブレア博士と、神経学や睡眠医学の専門家であるクリス・ウィンター博士。目覚まし時計の使い方からお風呂の入り方、水分補給の大切さなど、知っておきたいTipsが盛りだくさん!
休日も平日と同じ時間に起きる
多くの人が使っているであろう、目覚まし時計。睡眠の質を高めるうえで大切なのは、「毎日同じ時刻にアラームをセットする」こと。たとえゆっくり寝ていたいと思いがちな週末でも、同じ時刻を守るのが重要なのだとか。
「毎日決まった時刻に起床することは、睡眠の質を高めるために、まっさきにするべきことのひとつです」とブレア博士。
決まった起床時間を守ることが、決まった時間に安定して眠くなることにつながり、また長期的に見て睡眠の質を改善することにつながるのだそう。
お茶を1杯だけ飲む
就寝前の飲酒、いわゆるナイトキャップは、結局は睡眠の妨げになるものなので避けるべき。そのかわりに、ノンカフェインの紅茶などを飲んでリラックスするのがいいのだそう。
研究機関「グッド・ハウスキーピング・インスティチュート」の登録栄養士であるステファニー・サッソスさんがおすすめするのは、不安神経症の改善に有効であることが明らかにされたカモミールティー。
「温かいカモミールティーの一杯には心を落ち着かせる効果があり、1日の疲れを癒してリラックスするのにとてもいいんです」
ディスプレイをなるべく見ない
就寝時には、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの画面を見ないようにするべきだと言われますが、これには科学的な理由が。
人間の脳はメラトニンという、眠りへといざなうホルモンを分泌します。ですが、ディスプレイが発するブルーライトには、このホルモンを抑制するような働きがあることから、睡眠の妨げの原因につながるのです。
「メラトニンの分泌を抑えてしまうブルーライトを浴びることは、夜間には好ましくありません」とウィンター博士。
夜間にどうしてもスマートフォンやタブレットを見なければならない場合、博士はブルーライトを軽減する「ナイトシフト」のような機能を使うか、ブルーライトカット機能のあるメガネをかけることをすすめています。
照明は暗めに
一般的な照明も、メラトニンの生成を抑制する働きがあるのだそう。つまり、人工的な光に囲まれた現代の環境は、睡眠への自然な「ゴーサイン」が出にくいというわけ。
夕方になると陽が落ちる自然の原理のように、室内の照明を暗くして人工的に日没を演出できる「調光スイッチ」を設置することも有効だと、ウィンター博士はアドバイス。
「メラトニンの分泌を促進するのに一番良いのは、日中はできるだけ日光を浴びるようにして、日没後は照明をできるだけ暗めにすることです」
温浴のすすめ
就寝の1~2時間前に温かい風呂に入るかシャワーを浴びると、リラックスして眠りにつく上で大きなメリットがあるのだそう。温浴によって体温が低下する調節作用が働くので、体がスムーズに眠りに入っていけるのだとか。
「まず体を温めて、自然にそれが冷めるようにすると、睡眠に入りやすくなります」とウィンター博士。
ただし、あまり熱い温浴はすすめられないとも。湯温が高すぎると、深い眠りに入るまでに時間がかかる傾向があるからなのだとか。
音楽を聴く
「体をリラックスさせ、心を落ち着かせる」ことが眠りを準備する上で大切であるならば、日々の就寝前の行動として、しばらく音楽に耳を傾けて見るのもプラスと考えられそう。
ただし、あまりテンションの上がる音楽は逆効果となるので避けること。
自分にとってリラックスできる、心を鎮めるような音楽を選びましょう。また、ある種のホワイトノイズを流すことで、いつの間にか平穏な眠りにつける場合もあるのだとか。
軽食を取る
まとまった量の食事や糖分の多いスナック類は、消化不良により睡眠が妨げられる恐れがあるので、ベッドに入る2~3時間前からは食べるべきではないのだそう(もちろん、カフェインとアルコールもNG)。
ただし、ウィンター博士によれば、空腹感を抱えたまま眠ろうとしても寝付けないという場合もあるとのこと。
寝る前にちょっとだけ食べたいなら、たとえばナッツ類のような健康的な軽食をとるのがおすすめ。サッソスさんによるとナッツ類、特にピスタチオには豊富なメラトニンが含まれていて、睡眠にプラスなのだとか。
テレビを見る
就寝前のリラックスにつながる行動として、テレビを見るのはアリなのだそう。ただし、液晶を使ったブルーライトの強いディスプレイを持つパソコンやテレビはメラトニンの分泌を抑制するので、輝度の低いディスプレイのテレビで。
また、視聴する番組は、気分が安らぐような明るい内容のものを見るようにしましょう。
スキンケアを習慣化する
「ビューティ・スリープ」と呼ばれる睡眠には、現実的な理由があることが明らかに。
これまで、おやすみ前のスキンケアをしていなかったという人も、日々の「就寝前の習慣」としてスキンケアを取り入れてみて。肌のつやがよくなるだけでなく、眠りに就く時によりリラックスして心地よい気分になれるのだそう。
眠っている間にナイトクリームがお肌を快適な状態に保ち、栄養を与えてくれるほか、肌に有益な成分を供給する高保湿のフェイシャルクリームやシートマスクなども、痛んだ肌を夜のうちに自己修復するのにプラスの効果があるのだそう。
日記を書く
眠りに就く前にちょっと時間を取ってその日のできごとを振り返り、自分なりの考えを、また感謝すべき事柄を日記にしたためてみては? 1日の締めくくりとして“心のあり方”を整理しながら、より良い精神状態で眠りに向かうことができるのだそう。
日記をつけることは、実際睡眠の質を高めるだけでなく、ストレス緩和、免疫システムの強化、情緒面全般の安定などに有益であるとする研究結果もあるとか。
水分補給
「水分補給は、睡眠の質と活力を高める上で重要なものです」とサッソスさん。
人間は睡眠中に水分を失うものであり、また十分に水分を摂らずに就寝すると、眠りが妨げられる恐れがあるため、1日を通じて水分を補給することが大切なのだそう。
けれど、就寝直前に足りない水分を補おうと一気にがぶ飲みすると、夜間に目が覚めて何度もトイレに行くことになるので注意。
一般的に、日中少しずつ着実に水分を補給している前提で、就寝までに時間の余裕をもって水を飲んでおくのがベストな方法だと、ウィンター博士は述べています。
次の日の予定を書き出してみる
毎夜日記に自分の考えたことをしたためるだけでなく、翌日自分が取り組むべき課題をリストアップしておくのも睡眠にプラスなのだとか。何か気になることがあってよく眠れないような場合は、このやり方が特におすすめとのこと。
取り組むべき課題をリストアップすることは、翌日の生産性を高めるだけでなく、心を落ち着かせ、より良い眠りを確保するのにプラスな手段なのだそう。
「完了した仕事などについて記録するだけの人よりも、翌日の課題について簡潔に書き出した人の方が寝付くまでの時間がかなり短縮された」という最新の研究もあるのだそうです。
これらの習慣は、一気にすべてを取り入れる必要はありません。自分に合ったもの、できそうなものから始めてみて!
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 西山佑(Office Miyazaki Inc.)
GOOD HOUSEKEEPING