どんな人にも眠れないときはあり、ある一定の時期(更年期や育児中など)は特に睡眠不足に陥ることが多いそう。しかし、睡眠不足がどのような影響を及ぼすのかを知れば、それに対処することもできるはず。

ここでは、睡眠不足のときに体内で何が起こっているのか、そして、どんな行動を取れば良い状態に戻すことができるのかを、心理療法士で『The Science Of Sleep(睡眠の科学)』の著者でもあるヘザー・ダーウォル=スミス氏に解説してもらいました。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。


1. 睡眠不足に対する不安を和らげる

眠いのに目を開けたまま会議を乗り切ったことのある人なら驚くことではないと思いますが、ヘザー・ダーウォル=スミス氏によると、脳の異なる領域が覚醒と睡眠を同時に行うことがあると言います。

幸いなことに、一晩中起きていたように感じたとしても、「睡眠閾値(いきち/しきいち)」を下回っている(つまり、実際には睡眠状態に入っていた)可能性があります。そして、睡眠不足だと認識することで生じる不安によって、より一層眠れなくなってしまうので、時計を見ないようにするのがおすすめ。「獣にエサを与えないようにしましょう」とダーウォル=スミス氏は話します。

2. タンパク質を優先的に摂取する

睡眠不足によって不調を感じているのはあなただけではありません。睡眠不足は、食欲のバランスをとるホルモンであるグレリンやレプチンを阻害し、体に必要のない余分なカロリーを欲する原因にもなるそう。

睡眠不足だからといって、レッドブルやチョコレートバーを衝動的に摂取するのはできるだけ控えましょう。なぜなら、血糖値が変動するとエネルギーの落ち込みがさらに激しくなり、疲労感が増してしまうから。代わりに、タンパク質を積極的に摂取するようダーウォル=スミス氏はアドバイスしています。また、アミノ酸の一種であるL-テアニンは、落ち着きと覚醒感を同時に高めてくれるため、午前中にお茶を飲むのも効果的かも。

3. 軽く運動をする

woman putting on earphones to listen music before jogging summer park
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深い眠りについた直後に訪れる、成長ホルモンが最も分泌されるゴールデンタイムについてダーウォル=スミス氏は、以下のように述べています。

「たった一晩眠れなかっただけで成長ホルモンの分泌が阻害されることはありませんが、睡眠不足は長期的には筋肉の成長に影響を与える可能性はあります」

睡眠不足によってパフォーマンスが普段の能力を下回る可能性もありますが、それを言い訳にして一日中座って休むのは良くないそう。筑波大学の最近の研究によると、中程度のランニングを10分行うだけで、脳への血流が増え、気分や認知機能が高まると言います。

4. 昼寝を味方につける

睡眠不足であろうとなかろうと、概日リズムには午後の半ばに自然とエネルギーが低下する時間が含まれています。ダーウォル=スミス氏は1日のスケジュールに合わせて、短時間(10〜20分)の仮眠をとるか、睡眠サイクル1回分(90分以上)の睡眠をとるかのどちらかをすすめています。

中途半端な睡眠は、ぼんやりとしてしまう可能性があるため避けたほうが良いそう。ちなみに、昼寝は記憶力や運動能力を向上させるという研究結果も!

5. リラックスを心がける

woman relaxing in bathtub reading book
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慢性的な睡眠不足(数カ月にわたって夜の睡眠が6時間以下)の場合は、高血圧やうつ病など、他のリスクを伴うことがあります。しかし、昼間の日光浴不足や、深夜のデジタル機器の使用、アルコールの摂取など、明らかに睡眠を妨げるものに心当たりがあるのであれば、睡眠に固執するよりもリラックスすることに焦点を切り替えてみてください。

ダーウォル=スミス氏は、心を落ち着かせるために、NSDR(Non-Sleep Deep Restの略で、眠らずに深い休息を取るリラックス法)やヨガニードラについて学ぶことをすすめています。お風呂に入って本を読むだけでもリラックス効果が期待できるので、自分に合ったスタイルで休息をとるように心がけて。

Translation: Masayo Fukaya
From Women's Health UK

From: Women's Health JP