朝昼晩とスマートフォンの画面を見つづけ、SNSで悲観的なニュースを読み続けたりする「ドゥームスクローリング」に陥っていませんか。もしあなたがスマホを手放すことに不安を感じるのであれば、それは「スマホ依存症」の兆候かもしれません。

本記事では、「スマホ依存症」のサインや依存から脱却するためのデトックス方法について紹介します。専門家のアドバイスを参考に、自分のスマホ習慣をしっかり見直してみて。

「行動」も依存の対象に

「依存的悪循環に陥る対象は“物事”だけでなく、“行動”も含まれる」と説明するのは、イギリス・サリー州にある依存症治療専門クリニック、プライオリー・ホスピタル・ウォーキングのセラピストであるパメラ・ロバーツさん。

「モノだけでなく、行動にも依存する可能性があることが、ますます語られるようになってきました。そうなると(確かにアプリは継続して使われるように作られていますが)スマホそのものに依存性があるのか、使用者に依存性気質があるからスマホに依存をするのかはわかっていません」

“依存”には感情を和らげたり、逆に高揚させる作用があることもロバーツさんは指摘します。

「自分を恥じたり後悔したり、自責の念にかられるなど、自分を強く否定する感情から逃れるために、依存している行動を“利用”することもあります。そのひとつが、スマホにいつも手を伸ばすことでしょう」

また、困難な状況を目の前にしているときにも、こうした依存的行動を起こすことが多いのだそう。

「恋愛に悩んでいるとき、常にスマホに手を伸ばしているということはないでしょうか? または、生活の中で何らかの問題や不快感を感じているとき、いつもスマホをいつも握りしめていませんか?」
「特に若年層を中心に、スマホを日常的に使うことは新しい文化的な規範になりつつあります。パンデミックによってオンラインやスマホを使ったつながりが生まれましたが、その代償は何なのでしょうか? 」

スマホ依存症のサインとは?

もし自分がスマホ依存症かもしれないと思った場合、まずはロバーツさんがアドバイスする以下のチェックリストを確認してみて。

  • スマホが睡眠の妨げになっている?
  • 四六時中スマホを見ている?
  • 特定の行動が常態化している? (たとえば、周囲の人と話すよりもスマホを優先するなど)
  • 人間関係や仕事、健康に支障をきたしている?
  • 常にメッセージをチェックしたり、アプリを確認している?

また、依存症の基準として「望ましい効果を得るためにスマホを使用し続ける(たとえば、SNS投稿を最新の状態に維持するために長時間スクロールし続ける)」「スマホの使用時間を減らしたいにもかかわらず、それがなかなかできない」などを指摘。

その結果、他のほとんどの活動を犠牲にしてしまったり、スマホを使えないと落ち込んだりイライラしたりしていたら要注意だとロバーツさんは説明します。

メッセージを送ってもすぐに返信がこないことに怒りを感じることも、スマホ依存症のひとつの症状でしょう」

以上のことに思い当たった人は、合わせて次の下記の質問に自問してみて。

  • スマホを使用しすぎているために、自分自身や他人を危険にさらしたことがないか?(スマホを見ながら道を歩いたり、自転車に乗りながらメッセージを送るなど)
  • 常にスマホをチェックし、もはや“スクロールするためにスクロールしている”状態で、友人や家族への気配りができなくなっていないか?
  • スマホの使用制限時間を設定しても効果がでず、スマホを多用していることを人から指摘されて腹が立つようなことはないか?
  • スマホの使いすぎでほかのことがほとんどできなくなり、あなたの生活や人間関係が崩壊していないか?
  • ほかのことを排除してまで、スマホのメッセージを読んだり、読み返したりすることを優先していないか?

「スマホを心の拠り所として捉えている人も、多いでしょう」とロバーツさん。

「それが良い場合もありますが、依存傾向が強い人の中には、これによって自立心が低下してしまい、ささいな感情の揺れにもすぐスマホに手を伸ばすようになってしまう可能性があります」
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Catherine Falls Commercial//Getty Images

スマホ依存を断ち切るには?

デジタルデトックスに関する情報を提供する<Time To Log Off>の創設者であるターニャ・グーディンさんは、スマホ依存を断ち切るための3つのポイントをアドバイス。

“スマホフリーゾーン”を作る

    「毎日午後8時以降はスマホに触らない」といった、厳しいルールを実行するのは難しいもの。その代わりに、スマホを持ち込み禁止の部屋を作るなど、家の中に境界線を設けるのがおすすめだそう。

    「スマホフリーゾーンに入るときは、スマホを持ち込まないように習慣づけてください。簡単で、現実的な方法ですよ」とグーディンさん。

    「寝室をスマホフリーゾーンにしようと考える人が多いのですが、実はバスルームやトイレへの持ち込みの禁止を優先すべきです。トイレであてもなくスクロールするのをやめることから始めてみましょう」

    ビデオ通話から音声に切り替える

      Zoomの急激な普及にともない、スクリーン時間(画面を見ている時間)の管理はこれまで以上に重要かつ難しい課題。ビデオ通話に誘われたら、代わりに音声通話に変更できないか聞いてみて。

      「大人数でない限り、画面を見つめながら話す必要はないはずです。また一日中PC前で過ごした後は、テレビやNetflixをつけるのではなく、ポッドキャストを聴きながら散歩に出るのもおすすめ」

      手を動かす

        スマホから離れて、お菓子作りや工作、パズルなどの手を動かす作業や遊びを試すのも効果的なのだそう。「両手を使って何か夢中になれることを見つけると、無意識にスマホを手に取ったり、目的もなくスクロールすることもやめられるはず」とグーディンさんは説明。

        「私自身、毎日一時間ジグソーパズルをしてみたら、落ち着いた気持ちで過ごせて、目も休まりました」

        ※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
        Translation: 宮田華子
        COSMOPOLITAN UK