「セーファーセックスの必需品」といえば、まずコンドームが頭に浮かぶ人は多いのではないでしょうか。でも、実際のところコンドームは、避妊や性感染症予防にどのくらい効果的なのでしょうか。そして、私たちは正しい使い方ができているのでしょうか…?

本記事では、身近な存在であるコンドームについてより深く知るべく、ナターシャ・ブイヤン医学博士による解説を<セブンティーン>からお届けします。


コンドームは効果的?

使用期限切れや保存方法が適切でないなどの原因から、コンドームの効果が薄れてしまうことはよくあること。そのため、コンドームの効果を語るときには「何を防ぐのか」が大事になってきます。

「本当のことを言うと、妊娠を防ぐことにかけてはコンドームの効果はそれほど高くないんです。ただし、性感染症を防ぐには有効といえます」

避妊効果は約85%

男女のカップルがセックスのときに正しい方法で使えば、コンドームが妊娠を防ぐ効果は98%と考えられるそうです。でもほとんどのカップルが毎回は使わなかったり、使い方を間違えていたりするのが現状。

「途中でコンドームを外してしまう人もいるし、よく知られていると思いますが、コンドームが破ける場合もあります。それらを加味すると、妊娠を防止する実際の効果は85%というところでしょうか」

性感染症を予防する効果は98%

一方で性感染症、たとえばクラミジアや淋病といった病気を防ぐ効果は高く、98%ほどと言われています。ヘルペスや感染性の性器のイボ(尖圭コンジローマ。ヒトパピローマウイルスにより起こる)など、皮膚から皮膚に移る感染症については、もう少し効果は落ちるそう。

「ただし、コンドームはこれらの病気に感染するリスクを減らしてはくれますが、完全に防ぐことはできません。コンドームがヘルペス感染のリスクを減らせるのは、男性から女性の場合は95%、女性から男性の場合は65%です」

つまり、感染しないためには、パートナーの今までの性的な行動を知る必要があり、検査も定期的に受けなければならないということですね。

妊娠を避けたい場合や、パートナーのこれまでの性行動について知らない場合は特に、セックスするときにコンドームをつけるのは大事。完璧ではないとしても、性感染症などのリスクから自分を守る助けにもなります。

避妊のために他にできること

妊娠リスクを減らそうと思うなら、毎回コンドームはつけるべきですが、それ以外にも長期的な避妊法、たとえば避妊リングや避妊用インプラント、注射、ピルなどでリスクを減らすことができる、と先生は言います。

「まず主治医に相談して、どの方法が一番自分に合っているか一緒に考えてもらうことはとても大切ですよ」

HIVの感染を防ぐために

ブイヤン先生によると、HIVウイルスに感染するリスクが高いかどうか、医師の診察を受けることができるそう。もしリスクが高いなら、「暴露(ばくろ)前予防投薬」(PrEPとも呼ばれる)という方法を使うこともできます。

「PrEPは、最近主流になりつつある方法です。現在HIVに感染していない人でも、抗HIV剤を服用することで感染のリスクを下げられるというもの。毎日規則正しく使えば、HIVに感染するリスクを98%も減らせる可能性があるのです」

たとえばコンドームなしでセックスしてしまったとか、コンドームが破れたなどの理由で万が一HIVウイルスにさらされてしまっても、PrEPを実行していれば、ウイルスはあなたの体内で複製を作ることができないのだそう。ただしPrEPを実行しているときも、毎回コンドームをつけることは大切。念には念を入れましょう。


コンドームを正しく使うためのポイント

ブイヤン先生によると、コンドームを正しく使うためにチェックすべきポイントがいくつかあるとのこと。

使用期限

コンドームには使用期限があり、期限切れの場合に効果が薄まるリスクがあります。そのため、使う前にパッケージに印刷されている期限を確かめて!

保存方法

コンドームは、常温で保存すること! 高温になるところ、たとえば車の中などに置いていてはいけないし、低温すぎる場所もNG。

重ねづけはダメ!

コンドームの重ねづけは絶対にやめましょう。安心が2倍に…なんてことはありません。それどころか、二つのコンドームが摩擦することで破れるおそれもあり、本末転倒に。

潤滑剤を活用して

適切な潤滑剤を使うことも大切です。「ワセリンのような油性の潤滑剤だとコンドームがすり減ってしまうので、水性のものを使うようにしましょう」と、ブイヤン先生。

不安なことは病院で相談してみて

セーファーセックスは単純な問題ではありませんし、行為の前に適切に準備されていることが必要です。ブイヤン先生によれば、「避妊や性感染症予防について不安があるときに、病院や専門機関で相談をするのも手」とのこと。

「リスクに怯えつづけることは好ましくないですし、自分のセクシャルヘルスについて正しい知識を身につけ、コントロールする術を知ってほしいんです。避妊や性感染症予防には様々な有効な方法があるので、それらを知ることはとても大切なことなんですよ」

避妊や性病について疑問に思うことがあったら、ぜひ身近な病院や専門機関に相談しましょう。

この翻訳は、抄訳です。

Translation:Sasaki Noriko (Office Miyazaki Inc.)

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