ポリアモリー(複数恋愛)オープンリレーションシップへの認知が拡がり、「浮気」に対する捉え方も多様化しつつある昨今。そこで今回は、20代前半に浮気を繰り返したとある女性の告白文を、コスモポリタン アメリカ版よりお届けします。

「後悔はしていないけれど、浮気への罪悪感は人一倍大きい」と語る彼女が、数々の浮気から得たものとは…?

彼氏の友人と…

ドリューと私はベッドの端に座っていました。互いに触れることなく、けれど体温を感じられるほど近くに。高ぶった気持ちによって、磁石のように引きつけられ、距離なんてないに等しく感じました。もし空気中のエネルギーが目に見えたなら、ほんの数センチしかないお互いの太ももの間に、光が見えたんじゃないかと思うほど。

私たちは元々、何となしに互いの性的魅力を感じており、それを“友情”とかこつけて、友達づきあいを続けていました。でも、当時私に彼氏がいたこともあって、彼氏との共通の友人であるドリューの気持ちを確かめたことはありませんでした。

初夏のある夜、ドリューの家に行きました。その時の私は、思い出したくもないほどダサい恰好をしていました…でも、それが効いたのかもしれません。ベッドサイドに座りながら、私たちは何かが起こること、そして何も起こらないことの両方を期待していました。

恋人とは、セックスレスだった――。

今から話すことを聞いたら、私はひどく嫌われるかもしれません。でも、これは知っておいてほしいんです。その数カ月の間で、あれほど体が熱くなったことはなかった。

私と当時の恋人は、付き合ってから2年ほど毎日のように体を重ねていました。でも、あの蒸し暑い夜がくるずっと前に、すっかりご無沙汰になっていたんです。完全に…というわけではないけれど、最後にセックスした日がいつだったかはっきり覚えているぐらいに回数が減っていました。

A woman sitting up in bed and a man asleep
Kari Lehr

私はこの時、21歳でした。一般的には、セックスに興味津々な年頃ですよね。だから、恋人とのセックスに嫌悪感すら抱く自分はどこかおかしいんだ…と思っていました。セラピストに相談して治療を受けようとしていたほどで、この時点では、当時の彼氏と潮時であることに気づけないでいたのです。

おまけに私はその時、「誰かを愛する気持ち」と「誰かをただ支配しておきたい気持ち」の違いがよく分かっていませんでした。たしかに、私は愛を伝えた相手を裏切りました。言い訳をするわけじゃないけれど、ドリューとの行為の直前、頭の中で理性がはじけるような感覚に襲われました。そして、私はドリューとベッドを共にしたのです。どちらともなく相手に触れ、唇が重なり、互いの手が自然と衣服をはぎとっていました。

行為の後、私たちは半裸のままベッドに横になっていました。肌は暑さと緊張で汗ばんでいました。私たちを現実に引き戻したのは電話の音でした。これが私の初めての浮気体験です。

後悔はしていない

「浮気は絶対にしてはいけないもの」。多くの人たちから悪人とジャッジされる、数少ない罪の一つではないでしょうか。名誉を損なう一大スキャンダルでもあるため、相手を許すには相当な忍耐力が要求されます。たとえば、ジェイ・Zの浮気に苦しみながらも過去を乗り越えたビヨンセのように。私の両親も互いに深い傷を負わせたことがあるようで、多分そのせいでしょうが、二人はもう婚姻関係にありません。

頭では分かっていました。それでも結果的に私は、付き合ってきた恋人たち全員を裏切ってしまいました。だからといって、私のモラルが完全に破綻しているわけではないんです。たとえ数日や数週間だけの浮気でも、私の中には罪悪感がありましたから…。

では「浮気を続けたことを後悔しているか」と問われたら、そうではないと心から言えます。だって私は浮気という経験を通して、20代前半の自分自身、そして自分の性的欲求について大事なことを学んだからです。

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Maria Kuznetsova

自分の中に眠っていた性的衝動

ベッドでドリューを抱きしめ、キスを交わしたあの夜、私はどうかしてしまったかというほど興奮していました。自分にはもう性的欲求がないのかもしれないと不安を抱いていた私でしたが、実際はそうじゃなかった。あの夜に、疼くような快感が私の中にまだあったんだ、誰かとセックスしたいという衝動もまだ失われていなかったんだ、と気づけたんです。

その数週間後、彼氏に対しては、ドリューへの感情と同じものを抱けない自分に気付きました。同時に、実はそう感じたことが一度もなかった、ということにも。壊れていたのは私ではなく、私たちの関係だったんです。あの夜、ドリューとの間になにも起きなかったら、さらに長い時間、このことに気付かないままだったでしょう。

だから私は、浮気のことを重罪だとは思っていないんです。まだ若く、心と体の仕組みを十分に理解していない頃ならなおさらです。

私の祖父母は80代ですが、今も幸せな結婚生活を続けています。彼らが若かった頃の話を聞くと、私たちのどの世代よりも、だいぶゆるい付き合いをしていたようです。グループでデートを重ね、いろんなことがオープンでカジュアル。真剣になるのはそれからだったと。でも、現代の私たちにはそうしたデートの習慣がないため、代わりに浮気に走るのかもしれません。

A woman with a healthy heart
Kari Lehr

女の子はセックスをしなくても大丈夫?

2度目の浮気は、混み合ったルーフトップバーの裏庭で。この時もひどく蒸し暑い夜でした。当時の彼氏はその場におらず、私と一緒にいたのは友人のカイルだけ。

プラスチックカップに注いだ甘ったるいお酒に加えて、カクテルを3杯飲み干した後、彼氏との仲がうまくいっていないとカイルに打ち明けました。彼氏のことは大好きだったし、ずっと一緒にいたいと思っていたけれど、私たちの間にはセックスが存在しなかった…もう何カ月も。

彼氏と話し合いたかったけれど、彼はそういうことに乗り気ではなかった。だから私は、「セックスの回数が大事なんじゃない。女の子はセックスをしなくても大丈夫」と信じ込もうとしていました。

でもその夜、またしても自分を誤魔化していたのだとはっきり分かりました。バーで友人たちと踊り、誰かに体に触れられると、そこがキラキラしているような感覚になり、軽い興奮さえ感じたんです。もっとこの感覚が欲しい、と思いました。

裏庭でカイルとディープキスをしたのは、このせいだったのかなと思います。このときのキスは、夏の暑い夜に起きた、とってもプラトニックなキスでした。数分後に体を離して目を合わせ、「ばかなことしちゃったね」という風に笑い合って、室内にいた友人たちと合流しました。

ストレスから体調不良に…

キスすることは何でもなかったけれど、彼氏に対する罪悪感はすぐに襲ってきました。セックスレスだからといって、なんでもいいから満たされたいと思ってしまう自分が汚く、恥ずかしい存在だと感じました。子どもの頃からの貞操観念や、「ちゃんとした女の子は、自分からセックスを欲することなんて絶対にない」というような自分を縛っていた考えが、どっと押し寄せてきたのです。

でも、親友にこれまでのことを話したら、ありがたいことに彼女は決めつけで批判することなく、ただ思いやりをもって接してくれました。おかげで、自分はたしかに性的接触を含めた関係を欲していたけれど、それが決して下品なことではないんだ、と気づくことができました。また、お互いのために彼氏とは別れなければならないんだということにも。

それから1カ月も経たないうちに私たちの関係は終わりました。私は1週間ずっと泣き続けたあげくに体調を崩し、39度を超える高熱を出してしまいました。医者にこれまでのことを話すと、期末試験を終えた大学生がインフルエンザに感染しやすいように、ストレスを感じる大きな出来事の後には、具合を悪くする人もいるのだと教えてくれました。

A man comforting an upset woman
Kari Lehr

浮気から学んだこと

ここからは、浮気に対する後悔はないけれど、決して良い気分にはなれないという私の体験談をお話します。

私は浮気をしたせいで、罪悪感に押しつぶされそうなほどの息苦しさを感じ、苦痛を覚えました。それでも、後悔と罪悪感は別の感情です。この考えはこれからも変わることはないでしょう。そう思うことで、私は自分らしい自分であり続けているのです。

私はよく、小説『マザーズ』のセリフについて考えています。そこには「女性の人生における道しるべの多くは、痛みと共にあった」とあります。たしかに私は浮気によって、ある程度気分が落ちこむことはありましたが、これは同時に生産的な行動のための大事な手段であり、一種の道しるべのようなものであるとも思っています。

ドリューとの体験から「情熱は絶対的なもの」だと学びました。さらに、カイルや思いやりのある友人を通して「誰かを愛するにはセックスがとても重要」であるかを教わりました。

この気づきを得るためには、道徳的な規範を自ら破る必要があったんだと思います。そのおかげで私はやっと、自分の考えに価値を見出せるようになったのです。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

※登場人物の名前はすべて仮名です

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:Mari Watanabe(Office Miyazaki Inc.

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