先日、下着ブランドの『ヴィクトリアズ・シークレット』が初めてトランスジェンダーモデルを起用したことが大きく報道されたばかりだけれど、新たに「シャネル」のビューティキャンペーンとして、初めてトランスジェンダーを公表しているモデルが選ばれ、モデル自身が喜びを綴っていることが話題を呼んでいる。

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トランスジェンダーを公表しているモデルとして、初めて「シャネル」のビューティキャンペーンに選ばれたのはテディ・クインリヴァン。現在24歳の彼女は、20歳だった2015年に、当時の「ルイ・ヴィトン」のクリエイティブディレクターにスカウトされたことでキャリアをスタート。同年にランウェイデビューを果たし、その後は「シャネル」を含む有名ブランドのモデルを務めてきた。そんな彼女は生物学的には男性として生まれたものの、幼い頃から「自分は女性」であることを自認していたそう。

Giambattista Valli : Runway - Paris Fashion Week Womenswear Fall/Winter 2019/2020
Peter White//Getty Images
パリコレを歩くテディ

学校で好きな洋服を着るために内緒で着替えを持って出かけていたものの、ガーリーな格好をしていることで酷いいじめにあっていたという学生時代も明かしているテディ。16歳の時に母親に女性であることを告白し、17歳でホルモン療法を開始、そして転校を経験。その後モデルとして活躍していたテディは、22歳で「トランスジェンダーコミュニティが受けている反発や政治情勢」をキッカケに、トランスジェンダーを公表することに決めたそう。

今回のキャペーン起用を発表した際には、カミングアウト当時の心境と現在の喜びを自身のSNSで綴ったテディ。

「最近、不思議なことに悲しい出来事では泣かないんだけど、喜びを感じて涙を流すことはあるの。今回はまさに嬉し泣きをした出来事だったわ。私の人生は常に闘いでした。学校でいじめられ続け、殺すと脅され、さらに具体的な殺害方法まで言われ、父親にもヒドイ言葉で呼ばれたり、職場でのセクシャルハラスメントを告白した時には逆風を受けました…。でもそれらの経験さえも価値があると感じるほどの勝利を今、手にしました」
「ステルス(トランスジェンダーを告白する前)だった時、私はシャネルのランウェイを二度歩きました。だけど、カミングアウトをすれば、私と働きたくないブランドが出てくると思ったし、シャネルももう起用してくれないと想像していました。それが、今の私はシャネル・ビューティの広告をしているのです。私は、シャネルが初めて起用した、トランスジェンダーを公表しているモデル。名誉あることだと感じていますし、何よりコミュニティを代表できることを誇りに思います。生きていると、蹴り落とされ、唾を吐かれ、価値のない人間だと言われることがあります。あなたのするべきことは、そのような時に立ち向かい、闘い続けるということ。諦めてしまうと、勝利の涙を経験することはできませんから。こうして、私の夢を叶えてくれた人々に感謝いたします」

トランスジェンダーを公表後、ファッション業界のダイバーシティや多様性の受け入れを広めるために働きかけているテディ。Instagramストーリーでは、「私のコミュニティのことを誇りに思うし、私自身クールなトランスジェンダー女性であることを誇りに思います!」とコメントしていた。