カミソリのブランドである「ジレット」のCMが感動を呼んでいる。これまでにも「#MeToo」ムーブメントをサポートする一環で、男性に行動を見直すよう訴えたCMが話題になったことがある同社。先日は、「First Shave, the story of Samson #MyBestSelf（初めてのヒゲ剃り、サムソンのストーリー #最高の私）」というタイトルのCMをFacebookで公開した。そこでサムソン・ブラウンというトランスジェンダー男性が、父親に教わりながら初めてのヒゲ剃りに挑戦しているのだ。
カナダ在住のサムソンは、「昔から自分はみんなとは違うと思っていたけれど、それを表す言葉があるとは知らなかった」と語るトランスジェンダー男性。 CMでは、そんな彼の初めてのヒゲ剃りに密着している。洗面所に立ったサムソンは、父親にカミソリを動かす方向やスピードを教えてもらい、いざ初めてのヒゲ剃りに挑戦。その様子を隣で見守る父親は、「怖がらないで、ヒゲ剃りは自信を表すものなんだ」と優しく声をかけている。さらに、上手に剃れている息子に対し、「いいぞ、その調子だ」と誇らしげな様子も見せていた。
緊張しながら「下、下、上、上、右、左、ゆっくりと…」と、剃る前に父親のアドバイスを繰り返したサムソン。
サムソンは、男性になろうとトランジション（ジェンダー移行）を始めた時のことを振り返り、「ただ幸せになりたかった。こうしてヒゲ剃りができるところまできて、嬉しいです」とコメントしている。さらに、父親や家族との関係についても、「トランジションは僕だけが経験するのではなく、僕の周囲の人すべてが経験することなんです」と話し、周囲のサポートの大切さを語った。実際、サムスンのトランジションに対し、最大の理解者だったのは父親だったと明かしている。
「自信を持って、自分らしく生きて、と応援してくれたのは父親なんです」
「僕が家族に支えられながらこの世界で生きていけてることが、どれだけ恵まれていることか。多くのトランスジェンダーの仲間たちは、このようなサポートを受けられていないんですから」
「今の僕は、男性としてとても幸せです」と語ったサムソン。Facebookに投稿されたCMは100万回以上再生され、1万回近くシェアされている。そして、コメント欄は称賛の嵐となっていて、さらに自分自身がトランジションした後のヒゲ剃りについて語る人々も。
ジレットは「性別にまつわる様々な問題は身近にあります。我々のようなブランドが社会に良い影響を与え、また支持する責任があると思います」と語っており、今後も社会問題に向き合っていくようだ。
