70年以上にわたりイギリスの女王として在位していたエリザベス2世が2022年に逝去し、次に在位期間が長い君主となっていた、デンマークの女王マルグレーテ2世。

そんなマルグレーテ女王が、即位52年目である1月14日(現地時間)に退位し、息子であるフレデリック10世が国王に即位。約900年ぶりの生前での王位継承となったことが注目を集めていた。

そしてもう一つ注目を集めたのが、マルグレーテ女王の生前退位により、ヨーロッパでは女性君主が不在となったこと。

期待を集める未来の女性君主たち

イギリスのカミラ王妃をはじめ、ベルギーやスペインなどにも「Queen」という称号を持つ女性は存在しているものの、彼女たちは「王妃」であり「君主としての女王」ではないため、現在のヨーロッパでは「女性君主」が不在ということに。

一方でヨーロッパには、次なる君主として注目されている人も少なくない。

ヴィクトリア皇太子(スウェーデン)

ヴィクトリア皇太子
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スポーツトレーナーだった元民間人のダニエル王子と結婚したことで、世界中から注目を集めたヴィクトリア皇太子。

過去に摂食障害や不安症を抱えていたことを明かしメンタルヘルスの重要性について啓発してきたほか、国連と共に海洋の豊かさを守るための取り組みなどにも参加している。学生時代には政治と歴史、そしてフランス語を学んでおり、軍事訓練も受け、国連で働いていたこともあるという。

ヴィクトリア皇太子は国王カール16世グスタフの第一子として誕生したものの、弟カール・フィリップ王子の誕生に伴い、継承順位が下がっていた。ところが、王子誕生の翌年に憲法が改正され、絶対的長子相続制となり、女性であるヴィクトリア皇太子が現在の立場に。

エリザベート王女(ベルギー)

エリザベート・ド・ベルジック ベルギー王女
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2013年から在位しているフィリップ国王の長子であるエリザベート王女は、即位すれば“ベルギー史上初の女性君主”となるという。

現在22歳の王女はオックスフォード大学で歴史と政治を学んでおり、オランダ語とフランス語、ドイツ語などが話せるほか、小児病院への訪問を行うなど慈善活動にも積極的に参加している。

18歳になった誕生日に行ったスピーチでは、気候変動や環境問題への関心の高さを伝えたほか、「私には、まだ多くのことを学ぶ必要があると思っています。これから数年は、世界をより深く知ることに集中しようと思っています。国民の皆さんが頼れる存在になれるように」」と、宣言したことも注目を集めた。

カタリナ=アマリア王女(オランダ)

a woman holding a dog
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2023年12月に20歳の誕生日を迎えたばかりのカタリナ=アマリア王女。2013年に父であるウィレム・アレキサンダー国王が即位したことで、王位継承権を持つ人に与えられるオラニエ公の称号を得ている。

彼女は高校卒業後、1年間のギャップイヤーを経てから大学へ進学することを発表し、インターンやボランティアなどを経験。

また、18歳になった際に王女は年間約160万ユーロ(約2億5000万円)の手当を支給される予定だったものの、「同等のことをしていないのに受け取ることはできない」と受け取りを拒否したことが注目された。「弁護士や教師になるための学校はあっても、女王になるための学校はない。だからこそ先人たちから学び、今の世の中に目を向け、時代と共に変わっていく必要があるんです」と話したことも。

レオノール王女(スペイン)

スペイン/レオノール王女
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男性の継承資格者が誕生しない限り、王位継承1位であるレオノール王女。2023年11月に18歳を迎え、成人の儀式に参加したことが記憶に新しい。

女王に即位する際にはスペイン軍の最高司令官にもなるため、2023年より士官学校に入学し、3年間の軍事訓練に参加している。2023年8月には、サラゴサにある陸軍士官学校で学ぶ様子などが王室の公式SNSアカウントに投稿されたほか、新年に行われた公務にも軍服で参加した様子が捉えられている。