3月5日に日本の劇場でも公開され、ディズニー+でも配信中の最新作『ラーヤと龍の王国』。初の東南アジアを舞台にしたディズニー作品で、現在注目を集めるアジア系の役者たちが声優として勢ぞろいしたことが話題に。

主人公の声を演じるケリー・マリー・トランは、『スター・ウォーズ』シリーズ出演以降に受けたネットでの誹謗中傷を乗り越え、堂々のカムバックとなりました。そこで本記事では、ケリー・マリー・トランが語るネットいじめへの向き合い方と、『ラーヤと龍の王国』に込められたメッセージをお届けします!


【INDEX】


東南アジア系として初の主演に!

ラーヤと龍の王国』で主人公ラーヤ役を演じたのは、ベトナム系アメリカ人のケリー・マリー・トラン。ディズニーが東南アジア系の役者を主演に起用したのは、なんと今回が初めて!

過去には、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』と『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』にローズ・ティコ役として出演し、同シリーズでは初めてのアジア系の主要キャストとなりました。

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ネットの誹謗中傷を経験

そんなケリーは、『スター・ウォーズ』シリーズに出演したことで、ネットでの誹謗中傷の被害に遭うように。ローズ・ティコ役に対する批判ならまだしも、役者であるケリー自身に対する容姿や人種、性別に対する差別的なコメントが数多く寄せられ、結果的にSNS投稿をすべて削除することに。

彼女は『The Hollywood Reporter』誌のインタビューで当時を振り返り、精神的ダメージが大きかったときに友人たちに支えられたことを告白。また、セラピーにも通ったものの、彼女にとって傷を癒す一番の助けになったのは「SNSを使用する時間を制限」したことだったよう。

「(SNS投稿をすべて削除したキッカケは)自分の精神衛生上よくないし、やり続ける意味がない、と感じたからです」
「私自身のことや、私が経験してきたことに対して理解をしようとしない人や、想像力に欠ける人たちがいる場所で、女性蔑視や人種差別にさらされて、自信を失うべきではないと思ったんです」

続けて、『スター・ウォーズ』シリーズ後に受けた数々の出演オファーを断るようになった理由を吐露。当時は、役者を続けることに意味を見出せなくなってしまったんだそう。

「エージェントや広報の人たちなど、周りが(誹謗中傷に対して)どう対処するべきかを教えてくれましたが、ある時私自身がどう感じるかに目を向けなくなっていたことに気づいたんです」
「それから、周りから少し距離を置いて、自分を見つめなおすことにしました。ゆっくりと本を読んだり、日記を書いたり、ハイキングへ出かけて自然に触れたりしました」

『スター・ウォーズ』シリーズへの出演前、そしてネットいじめが受ける前に感じていた情熱やモチベーションがまだ心の奥に残っていて、また取り戻すことができると自分に言い聞かせながら、自分の時間を過ごすようにしたと語りました。

ディズニーの主役としてカムバック

そして『ラーヤと龍の王国』の主役に大抜擢され、華麗なカムバックを見せたケリー。

2021年3月5日(現地時間)に行われたバーチャル・レッドカーペットには、ベトナムの民族衣装をまとって登場し、その美しさと堂々とした立ち振る舞いが、世界中で話題となりました。

ケリーが演じた主人公ラーヤは、ある出来事によって人を信じる心を失ってしまった少女。ラーヤは、対立するようになってしまった王国に平和をもたらすために、魔法の力を持つ龍シス―(オークワフィーナ)と出会い、王国を一つにしていくという物語。

バラバラに分断され、人々がお互いを信じられなくなってしまった世界で、戦いながら信じる力を取り戻していくラーヤは、誹謗中傷に打ち勝ったケリーにしか演じられないと言えるくらいの適役。従来のディズニーのプリンセス像とはまた違った、“戦士”としてのプリンセスの描き方にも注目です。

アジア系に対するヘイトクライムが激化している今の世の中を見つめなおし、“手を取り合うこと”の重要性などの、メッセージが込められた同作を、ぜひご覧あれ。

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARI

Digital Spy