新型コロナウイルスの勢いがなかなか止まらないうえに、パンデミックに備えてと非常食を買い求める動きも勃発。そこで、平均寿命と健康寿命が“世界一”といわれる香港で暮らす中医医学博士、楊さちこ先生に聞いた「免疫力をアップさせる食材」を基礎的な予防対策とともに「Hearst Contents Hub」がご紹介します。
免疫力は健康の基本!
そもそも免疫力とは、「疫(病気)を免れる力」、すなわち体内に病原体や毒素などが侵入しても発病に至らない抵抗力のことです。インフルエンザのウイルスや病原菌などの体にとっての異物が体内に侵入すると、体の免疫システムが働き、侵入してきた異物から体を守ってくれます。
それでは、病気にかからないようにするために、免疫力を高めて健康であり続けるためにはどのようにすればよいのでしょうか?
免疫力の鍵は体温!
免疫力は体温に関係します。免疫力を正確に評価する指標はありませんが、体温が上がると免疫力は高まり、下がると低下すると考えられ、香港人は「冷えは万病のもと、温めることは健康の基本」という考え方が体に染み付いています。
そもそも人間は、体内で熱を作ることと、その熱を体の隅々にまで伝えることで生きています。熱は、食べたものを消化して栄養分を吸収すること、筋肉の運動、基礎代謝によって生まれます。その熱を血液のめぐりにより全身に伝えて、私たちの体は温かさを維持します。それにより、健康に生活できるのです。
常温以上の水を摂取
また香港では、歯科医でも西洋医でも漢方医でも、まず「水をたくさん飲みなさい」と言います。香港で水といったら常温以上の水、またはお湯を指します。昔から水筒を持ち歩き、こまめに水分補給をする習慣も。
最重要予防策は手洗い!
感染予防の基本中の基本は“手洗い”です。私たちは小さい頃から「家に帰ったらまず手洗い」と教えられてきましたよね。その当たり前のことがとっても大切なんです。単純なようで最も効果がある予防法なので、ここはぜひとも押さえておいて下さい。これは、インフルエンザや他の感染症でも同じことが言えます。
それから、睡眠も大切です。睡眠には疲労した脳や体を休息させ回復させる働きがあり、免疫力アップに繋がります。特に熟睡して欲しいのは、脊髄の造血時間である24時から4時の間です。
腸の“免疫細胞”を働かせよう
人間の体は、口から肛門まで続く“ホース”のような構造になっています。つまり、 腸は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているのと同じなんです。食事や呼吸をするたびに、腸は食べ物だけでなく、病原体となる細菌やウイルスにも毎日触れています。
免疫細胞の約6割は腸にいると言われます。腸内の免疫細胞を活性化できる温かさかどうか、活性化できる食べ物をとっているかどうかが、免疫力を大きく左右すると言われています。腸の免疫細胞を活性化させるには、体の外から温める腹巻をしてみるのも一つの方法です。
体を温める食材の選び方
腸内の免疫細胞を活性化させるには、体を温める食材を食べること。選び方は以下の通り。
・寒い地方、冬が旬のもの
・地下でエネルギーを蓄えた根菜など
・水分が少なく硬いもの
また、体を冷やす食材でも加熱して食べたり、薬味やスパイスを使ったり、あんかけにすると体を温める食材に変わるそう!
薬味
薬味とは、料理に少量添える香味野菜や香辛料のことで、薬としての効果と味を引き立てる効果の両方を兼ね備えています。いつもの食事にちょっと加えるだけで、体は温まりやすくなるはずです。ネギ、しょうが、にんにく、山椒、胡椒、ミント、シナモン、バラの花、菊の花がその代表!
ちなみに香港では、料理をするときはまず、しょうがとにんにくを刻むことから始まります。ほとんど全ての料理に使われているのです。チューブ入りのものや、乾燥タイプを利用するのも手!
味噌
免疫力をつけるためには、腸内環境を整えることが重要です。腸内環境を整えるのに良いとされているのが、昔から「1日1杯のお味噌汁で病気知らず」とも言われている発酵食品、「味噌汁」です。
季節の野菜を具に入れた熱々のお味噌汁は体を温めるうえに、水分たっぷりで、栄養補給もしやすく、消化吸収も良いですよね。また、味噌汁としてだけではなく塩の代わりに使ったり、温かい白ごはんの上にのせて食べても美味しいです。
カレーライス
カレーには、免疫力アップに効果抜群のスパイスがたくさん使用されています。みなさんがいつも作っているカレーでも良いのですが、せっかくですから「楊家の薬膳カレー」の作り方をご紹介致します。
材料(2人分)
チキンスープ 1リットル
A
ターメリックパウダー 小さじ1、クミンパウダー 小さじ1と1/2、チリパウダー 小さじ1、パプリカ 小さじ1
B
トマト 1個、玉ねぎ 1/2個、しょうが(すりおろし) 小さじ1、にんにく(すりおろし)小さじ1
鶏手羽肉 4個、じゃがいも 1個、オリーブオイル 大さじ1、塩 小さじ1と1/2
作り方
- 玉ねぎはみじん切りに、トマトは種を抜いて粗く刻む。オリーブオイルで玉ねぎを炒め、色が変わったらAのスパイスとBを入れて炒め、煮立ったらトマトを入れる。
- 1のトマトが煮崩れたら、鶏手羽肉と、ひと口大に切ったじゃがいもを入れて、柔らかくなるまで、よく混ぜながら煮込む。
- 2の鶏肉に火が通ったら、チキンスープを入れる。沸騰したら弱火にして、かき混ぜながら10分火を入れ、その後火を止めたらふたをして3分置く。器に盛り、お好みでパクチーを飾ったら完成。
サバ缶
非常食の鉄板、サバ缶も免疫力アップにおすすめ。ごはんやパスタの上にサバを適当に崩してのせ、その上から下記で紹介するソースをかけてください。サバ本体がなくなっても、ソースだけでも美味しくいただけますし、麻婆豆腐のようにするなど、アレンジも自在です。
材料(2人分)
サバ缶 1個(170グラム)、玉ねぎ(中)1/2個、トマト(中)1個、しょうが 2かけ、にんにく4かけ、クミンパウダー(あれば) ティースプーン2杯、パプリカパウダー(あれば) ティースプーン2杯、オリーブオイル 大さじ1〜2杯
作り方
- フライパンを温めてオイルをひき、みじん切りした玉ねぎがきつね色になるまで炒める。
- 1にすり下ろしたしょうがと、みじん切りにしたにんにくを入れて炒める。
- クミンパウダーを入れて炒める。
- 細かく切ったトマトを入れてしんなりするまで炒める。
- パプリカパウダーをいれてくるっと混ぜる。
- サバ缶の中の汁を合わせて混ぜながら煮詰める。
- 最後にサバを入れてソースにからめて完成。塩分が足りなかったら適宜、塩で調整を。
楊さちこ先生
中医医学博士。南京中医薬大学東方美学研究院院長。世界中医薬学会聯合会亜健康専業委員会常務理事ほか。
中医美容学に基づいた生活習慣、食べ物、運動、考え方などについて、「キレイと元気」の秘訣を追究するメルマガ『漢方美容で、365日ずっとキレイ』で発信するほか、キャリアカレッジジャパンにて資格講座「香港薬膳スープインストラクター資格取得講座」も開講中。<アジアンコスメオンライン>にて、おなかとココロのデトックスティー「暴飲暴食に暴暴茶」を販売するほか、人を冷えから守る 着る岩盤浴®BSファイン『ウエストウォーマー』も好評販売中。
Text:Hearst Contents Hub