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――競泳選手として、印象に残っている初体験は?

二度とこの悔しさを味わいたくないと思った

僕の水泳人生の中で大きな経験となったのは、20歳の時に出場した、初めてのオリンピックであるアテネオリンピックです。出場できた喜びはとても大きかったですが、北島康介さんや、柴田亜衣さんなど、周りの選手がメダルを獲得する中で、メダルを獲れなかったことがとても悔しかったです。もう二度と味わいたくないと思ったほどの悔しさだったので、その気持ちがオリンピックという大きな舞台に正面から向き合うきっかけになったと思います。

この時の経験は、競技への向き合い方だけではなく、レース以外の過ごし方を変えるきっかけにもなっています。メダルを獲れた選手と獲れなかった自分を比べてみた時に、結果を出した選手は、オンとオフのメリハリがあることに気がつきました。集中する時はストイックに集中しているけど、競技以外の時間はリラックスして過ごしていて。その点僕は、常に気を張っている状態だったので、オリンピックを楽しむという感覚がありませんでした。競技以外のところでは楽しむということも学びました。

アテネオリンピックでの経験が、「メダリストになりたい」というモチベーションになったので、次の北京オリンピックで銅メダルを獲れたことは嬉しかったです。

ただ、ロンドンオリンピックでは、金メダルを目指していたので、0.2秒差で銅メダルだと分かった時、「人生をかけて勝負したけど、これだけストイックにトレーニングを積み重ねてきても金メダルには届かないんだ…」と、アテネオリンピックとは違う悔しさを味わいました。"いい経験としての悔しさ"ともいえるのですが、次のリオデジャネイロオリンピックを目指すかを含めて、この時感じた悔しさを消化するのに時間が必要でした。

――そんな中、リオデジャネイロオリンピックを目指したのは?

毎日の決断がリオへの道につながった

正直なところ、絶対目指さなきゃいけないということではなかったのです。27年間続けてきていますし、楽になりたいという気持ちも出てきます。だけど、自分にとって困難な道を選択した方が、最終的に自分のためになることをこれまでの経験から学んできたので、リオを目指すことに決めました。

リオを目指すと決めるまでは、ひとつひとつの選択が大切だったように思います。僕を育ててくれたコーチから離れる決断、そして、コーチの元に再び戻ると決めたこと、競技を続けていくうえでのスポンサーさんとの関係性など、大きいことから小さいことまで、日々のひとつひとつの決断を積み重ねてきたことが、気持ちを奮い立たせてくれたと思っています。あとは、本番を迎えるまでに、気持ちをどれだけ作れるか。結果を掴み取れると信じて、毎日を過ごしています。

-初めての経験をするうえで大切にしていることはありますか?

結果を出すことだけでなく、経験値を得ることが大切

今まで経験していないことに挑戦することが自分の成長につながると考えています。初めてのことに立ち向かう時は、ためらいもありますし、結果、「やらなきゃよかったな~」と思うこともありました。でも、経験値として得られることに重きをおいています。例え、失敗に終わったとしても、考え方次第でプラスに転じることもあると思うので、挑戦する気持ちを忘れずに、これからも初めての経験は体験し続けたいです。