アメリカ・ネブラスカ州在住のカップル、マシュー・エリッジさんとエリオット・ドーティさん。2019年、マシューさんの61歳(当時)の母親セシルさんが代理母出産し、アメリカ最高齢で出産したことが話題に。先日、ポッドキャスト番組『Pregnantish』でこのときのことについて改めて振り返った

同性婚をしているマシューさんとエリオットさんの娘、ウマさんは現在2歳。彼女は、マシューさんの精子とエリオットさんの妹リアさんから卵子提供を受け、当時61歳だったマシューさんの母親セシルさんが代理出産をして生まれた。

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「このような形で子どもを持つことになるとは想像もしていなかった」と話すマシューさん。当時ネブラスカ州では同性婚の養子縁組は完全に認められてはおらず(2021年3月に合法)、非常に難しい状況だったそう。

2015年に結婚した際、カトリック系の学校の教師だったマシューさんは仕事を解雇される経験もあり、保守的な州では同じように差別される懸念もあったという。

代理母出産も州内で有償で誰かに依頼することは違法だったものの、州内の友人や家族が無償で行うか、州外で行うことは認められていた。そこで子どもを持ちたいと考えていたマシューさんとエリオットさんは、体外受精を検討することに。

卵子ドナーを探していたところ、エリオットさんの妹のリアさんがすぐに名乗り出てくれて、二人とも子どもと血縁関係を持てるようになったそう。しかし、リアさんも自分の家庭を築いている最中で、代理母もお願いすることは現実的ではなく、友人が名乗り出てくれたものの、健康上の理由で医師に難色を示されてしまった。それを聞いた母のセシルさんは、自らを代理母に提案。

「マット(マシューさんの略称)から代理母候補の友人に健康上の問題があると聞くまで、自分が代理母になるなんて思いつきもしませんでした」
「だけどそれを聞いて、母親の直感みたいなものを感じたんです。『私が代理母になるのはどう?』って。健康だし、私にできることならなんでもすると」

息子であるマシューさんは、その発言に驚きを隠せなかったそう。

「自分の母親が代理母になるなんて考えたこともありませんでした。そもそも選択肢にすらないと思ったんです。そんな話を聞いたことはなかったので」

マシューさんとエリオットさんは、冗談交じりに医師にセシルさんが代理母に名乗り出たことを伝えると、驚くことに医師は賛成。その後、健康状態や子宮摘出手術を受けたことがあるかなどを質問したという。

「その後、母はあらゆる検査をして問題がないことがわかりました。1カ月後には母はプロゲステロンの注射を打ち、医師から母が代理母になると言われました」

マシューさんもここまで進むとは思っておらず予想外の状況に。エリオットさんの母親はがんで亡くなっており、たった一人しかいない母親にリスクを負わせることに負い目を感じていたそう。

しかし、セシルさんは代理母になることに運命を感じており、息子たちに赤ちゃんを会わせられる日のことを考えて、辛いときも乗り越えたという。

今回の妊娠は若い頃より悪阻はひどく、妊娠糖尿病も経験したものの、それ以外は順調。マシューさんとエリオットさんは、どんなときもセシルさんをサポートし続けた。

「妊娠は特別なプロセスでした。私、私の母、エリオット、私の父がみんなで病院の予約に向かったんです」
「周りの人は私たちの状況に困惑していました。すれ違う人には何度も振り向かれましたが、子どもを持つ過程に携わることはとても意味がありました」

そしてセシルさんは自然分娩でスムーズに出産。出産当日も、セシルさんの夫、マシューさん、エリオットさんがみんなで立ち会ったそう。

「子どもをこの世に生み出すために、全員で協力した瞬間だと感じました。赤ちゃんが泣くのを初めて聞いた時は、感無量でした」
「素晴らしい瞬間でした。子どもが生まれ、家族を持てただけでなく、母親にも問題はありませんでした。安堵と喜びでいっぱいでしたね」

セシルさんも「孫を生むのは、特別で魔法のような瞬間でした」と加えた。

このニュースは世界中で話題となり、今でも多くの人を勇気づけている。マシューさんとエリオットさんは、InstagramYouTubeで現在の子育ての様子をシェアしている。

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