子どもというのは、ある時期に来ると、「どうして?」を頻発するもの。保護者なら誰もが経験することだけど、その内容もさることながら、その頻繁さにはヘトヘトになることも。

では、どうやってこの時期の子育てを乗り切ればいいのか、<グッド・ハウスキーピング>が専門家の皆さんに聞いてきました。


【INDEX】

  • 「なぜなぜ」攻撃に役立つ戦略
  • 専門家の最終的なアドバイスは…

「なぜなぜ期」とは

個人差はあるものの、「なぜなぜ期」は子どもの成長において重要な過程の一つ。

心理療法士のティナ・ペイン・ブライソン博士は、「なぜなぜ期」のメカニズムについ次のように説明します。

「子どもたちの左脳が急激に成長する時期に、なんとかして世界の仕組みを知ろうとするために、どうして? なぜ? と聞くようになるのです」
「子どもたちが質問をしつづけるのは深い好奇心の現れで、これから始まる学びの最初の段階なのです」

「彼らは世界を理解しようとしているのであって、これは良い兆候です」と語るのは、精神科医のナパティア・T・ゲッティングス医師

ただし、ここで重要なのは、「探求心から発する質問」と、「ルールを破ろうとしたり、不作法なふるまいをするための質問」を分けること。たとえば、「どうして馬にはしっぽがついてるの?」といった質問と、「どうしてそんなに変な顔なの?」といった意図のある質問。質問の性質によって、答え方が変わってくるそう。

後者の質問に対しては、そういう質問は相手を傷つけるものだと説明すれば、事態をエスカレートさせずに先に進むことができます。

「子どもを健全で協力的な社会の一員に育てるのは、保護者の役割です。軽蔑的だったり、うんざりしたようにふるまったりすることは、子どもに害を及ぼしかねません。健全な自尊心は、子どもが幼いうちから培われるものなのです」

つまり、基本的には子どもたちの好奇心を育てながら、子どもの「なぜ?」が不適切な場合はその理由を説明するのが大切だということ。

lovely little girl smiling joyfully while her mom carrying her in park
Images By Tang Ming Tung//Getty Images

「なぜなぜ攻撃」に役立つ戦略

とはいえ、保護者だって、いつも子どもの質問に答える心の余裕があるわけではありません。ゲッティングス医師は、そんな時は子どもに自分で調べさせるのも手だと言います。

「子どもには、あなたがちゃんとその疑問を気にかけている、ということを伝えましょう。それも情緒的発達に役立ちます。なぜなぜ攻撃に応える余裕がないときは、それを学習の機会として使いましょう。知識欲があることは良いことだと示すのです。それは子どもの自尊心を高めることになります」

また、「それは素晴らしい質問だね。後でまたそれについて話そうか?」と言って時間を稼ぐ方法もおすすめ。

テキサス州にあるゴルソン・サイコセラピーセンターの所長であるロビン・ゴルソン博士がおすすめするのは、本を読んだり、歌を歌ったり、数を数えたりすることに関心を向け直して、時間を稼ぐこと。

「こうした遊びは知的な刺激があって面白いですし、子どもに自主性を与えることにもなります」

友人や親戚に電話して、代わりに答えてもらうという選択肢も。自分で仮説を立て、それに対して正しい結論を導き出せるか試してみる?と子どもに聞くという方法もあります。

いずれにしても、子どもの疑問を邪険にするためではなく、向き合う方法やタイミングを調整するために活用してみましょう。

専門家のアドバイス

一方で、子どもがまだ幼い場合には、自分でリサーチさせることは現実的ではありません。その場合は、やはり保護者がサポートするべきだとゴルソン博士は話します。

「子どもたちの質問や好奇心には、“決まった時間”というものがありません。彼らはこの発達段階に取り組んでいる最中で、それには保護者の我慢強さが必要なのです」

また、「子どもの脳は、生まれたときから5歳までに人生の他のどの時期よりも発達します」と、ブライソン博士。保護者としては、心してこの時期の発達を最大限サポートしたいもの。もちろん、子どもが5歳になったら質問攻めもおしまい、というわけではないけれど、幼児期を過ぎると、「なぜなぜ期」は次の新しい発達段階に入るんだそう。

どの専門家のアドバイスを実行するにせよ、子どもの質問をとるにたりないものだと思わせず、正面から向き合うことが最も重要です。

最も避けるべきは、ただ「知らない」と答え、会話をそこで終わらせること。子どもは「どうして?」と聞くことで親との絆を築こうとするものなので、会話を終わらせることは、彼らの好奇心があなたの時間を割くに値しない、というメッセージを送ることに繋がるのです。

もしあなたが答えを知らないのであれば、一緒に調べてみましょう。子どもの好奇心に目線を合わせ、あくまで子どもの疑問に向き合う姿勢を見せることが重要なのです。

仕事や育児でヘトヘトに疲れ、もうこれ以上一つも質問に答えられないと思っても、この時期は永遠には続かない貴重な時間であることを思い出しましょう。

「かつては子どもの質問攻めに疲れ果て、イライラした多くの保護者が、この時期をふり返って、幼児との特別な会話の時間を懐かしみます。こういった時間は、本当にすぐに過ぎ去ってしまうものです。ですから、その時間も大切にするようにしてください」

※この翻訳は、抄訳です。
Translation:mayuko akimoto
GOOD HOUSEKEEPING