新型コロナウイルス感染症によって、日々の生活が変わった今。出産に関しても、病院側の方針や対応などに大きな変化があったのは日本だけではありません。

そこで本記事では、イギリスでの「コロナ禍での出産の現状」について<コスモポリタン イギリス版>からレポートします。

次々と変わる出産計画に戸惑い

パンデミックの影響で、当初予定していた助産院での出産を諦めなくてはいけなくなったうえ、その後も出産計画の変更が続いたと話すのは、エセックス在住、妊娠39週目のアメリア・ペリンさん。

「元々は、病院とは別の場所にある、助産院で助産師主導の出産を行おうとしていました。そこではヒプノバーシング(催眠出産)を取り入れた自然分娩を行っていて、自然なペースでお産を迎えることができ、医療サポートが必要な場合には迅速に病院に搬送してもらえるシステムでした」

しかし、妊娠37週目のとき、スタッフ不足により自宅近辺の助産院が全て閉鎖しまったのだとか。

「これにはとてもがっかりしました。特に『助産院で出産できるほどローリスクなのはラッキーだと言われ、素晴らしい場所ですよ』と、ずっと聞いていたので」
「私ががっかりしていたのを見て、助産師が自宅出産を提案してくれました。大変そうだったので考えたこともなかったのですが、2人の助産師がケアに注力してくれるのも安心できました」

NHS(国民医療センター)の助産師であるヘレン・ロビンソンさんによると、「自分である程度コントロールできるようにしたい」と考えて、自宅出産を選ぶ人は多いそう。

pregnant woman with face mask standing in front of window
Guido Mieth//Getty Images

自宅出産に切り替えるも…

ペリンさんはすぐに出産用のプールとリビングに敷く防水シーツを用意。出産後すぐに横たわって、処置できるようにL字型のソファーも買い換えることに。

そして39週目に入った途端、お腹に痛みを感じたため病院に連絡。しかし、またしても出産の計画が変わってしまうことに。

「電話口では、『自宅出産は先週からスタッフ不足により、中止になった』と言われたんです。私はリビングに準備したプールを見ながら、すぐに陣痛に入るものだと思っていました」
「全てを考え直さなければいけないと感じました。結局そのときは陣痛ではなかったのですが、もしそうだったとしたら、なんの予告もなく、出産計画すべてを変えなければいけなかったんです」
midsection of pregnant woman touching stomach while standing against wall at home
Cavan Images//Getty Images

コロナ禍で出産を迎える妊婦さんへ

前述のNHSの助産師であるヘレンさんは、自宅など妊婦が心地よいと感じやすい環境を選びたい気持ちやその選択肢がなくなってしまうことの辛さに理解を示し、これから出産を迎える人へこうアドバイス。

「出産計画が変更になったとしても、まずは助産師と話して、自分の気持ちや希望を説明してみてください。助産師は安全を確保できさえすれば、病院でも、自宅でも、妊婦にとっての“自分らしい出産計画”をサポートしてくれます」
「子宮を収縮させるホルモン・オキシトシン(陣痛誘発や促進する際に使われる薬でもある)は、気持ちが落ちついていると増加します。なので助産師は、どんな場所でも妊婦が可能な限り心地よく感じられる環境を作ってくれるでしょう。コロナ禍であっても、どのように赤ちゃんを産むか選ぶ権利があなたにはあるんです」

また、出産時の病院の環境作りについても次のように助言。

「いつもいる環境を再現してもいいかもしれません。香り、写真、枕やブランケットなども。自宅のような環境を即座に再現できます。ヒプノバーシングなどで使う呼吸法は、病院でも使えます」
pregnant woman on gynecological examination
NoSystem images//Getty Images

助産師不足が課題

BBC News』では、パンデミックにより助産師が減ってしまったという報道も。助産院「Private Midwives」のマネージャー、パット・バーロウさんもイギリスの出産の現状についてこうコメント。

「新型コロナウイルスによって、病院での出産を希望する女性は減っている傾向は見られます。全ての人が利用できるわけではありませんが、助産院でなら出産計画を実現し、期待に沿うことができるかもしれません。今は予約が殺到しているので、NHSで(国民医療センター)予約するのは難しいですが、妊娠初期に予約を取れば最も安価な選択肢だと思います」

※この翻訳は抄訳です。

Translation: Haruka Thiel

COSMOPOLITAN UK