8歳の少女が、天国にいる父に宛ててポストに投函した手紙――その一通の手紙が紡いだ心温まるストーリーを、<METRO>や<The Sun>などが報じています。

英レスターシャー州ブラウンストーンに暮らすサラ・タリーさん(45歳)は8年前、娘のシアナちゃんが生後4カ月の時に、長年連れ添った夫のトニーさんを亡くしました。

その後、シアナちゃんは成長するにつれて、クリスマスや父の日などの特別な日に、トニーさんに手紙を書くようになったそうです。

しかし、今年の父の日は、サラさんを少し困らせる出来事が起きました。シアナちゃんが「パパへの手紙をポストに投函したいから、住所を教えて欲しい」と言い始めたのです。

最初は話をはぐらかそうと試みたサラさんでしたが、泣きながらお願いしてくる娘の姿を見て、頭を捻った末に、住所は「Heaven, on Cloud Nine.(最高に幸せな天国)」だと伝えました。

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シアナちゃんが、トニーさんに宛てて書いた手紙。

2人は一緒に、家の近くのポストに手紙を投函しましたが、サラさんは当初「ゴミ箱に捨てられて終わる」と思っていたそう。

予期せぬ展開が訪れたのは、その翌日のことでした。サラさんがいつも通り仕事に出かけ、帰宅して携帯を見ると、多くの知人からFacebookでタグ付けされており、シアナちゃんの手紙の写真が話題になっていることを知ったのです。

写真を投稿したのは、地元で働く郵便配達員のサイモン・ジェームズさん(29歳)。通常は別ルートを担当しているサイモンさんですが、この日はたまたまシアナちゃんの家の近所も担当することになり、郵便物を回収する際に手紙を見つけたのだとか。

自身も最近父親を亡くし、シアナちゃんの書いた手紙に胸を打たれたというサイモンさんは、Facebookに次のように綴りました。

差出人の親御さんと連絡を取って、もし許可を得られたら、子供のために何かしてあげたいと思っています。
私自身も、昨年父を亡くしました。大人にとっても辛い経験だったので、この子がどんな気持ちで過ごしてきたか想像できるのです。詳細をご存知の方がいたら、ぜひ教えてください。

サイモンさんの投稿は瞬く間にシェアされ、その後無事、彼はサラさんと連絡を取ることができました。

手紙を投函した際、サラさんは内容を知りませんでしたが、そこには「パパ大好き、会いたい、いつか会おうね。ママのために、私はいい子にしているよ」という、シアナちゃんの切なる想いが記されていたそう。

2人はシアナちゃんのためにできることを相談し、最終的に、サイモンさんが彼女に返事を書くことに。また後日、サイモンさんはサラさん母娘の家を訪ね、手紙と一緒に、父親が娘を抱く姿を象ったオブジェもプレゼントしたそう。

そして手紙には、次のようなメッセージをしたためました。

「シアナ、君はとても勇敢な女の子だから、お父さんは君のことを誇りに思っているだろう。君が笑顔を絶やさずにいれば、世界はより素晴らしい場所になるよ。郵便配達員のサイモンより」

「(サイモンさんの行動は)とても素敵なサプライズで、思いやりにあふれていました。シアナは満面の笑みを浮かべて、本当に嬉しそうにしていたし、心から彼に感謝していました」と、その日のことを振り返るサラさん。

彼女は将来シアナちゃんに渡すため、サイモンさんがくれた手紙と共に、Facebookに寄せられた温かいコメントの数々を印刷し、大切に保管しようと計画しているそうです。

サラさんとシアナちゃん。

もしもこの先、人生で辛い出来事に直面しても、サイモンさんと多くの人々が与えてくれた優しさが、きっとシアナちゃんの心を支え続けてくれるはず。