パスワードの重要性と安全性について、ドナルド・トランプ大統領にはいくつか学ぶべきことがあったよう。先週、オランダ人のセキュリティ研究者により大統領のTwitterアカウントのパスワードが暴かれ、ハッキングできる状態になっていたことがわかった。大統領のパスワードは過去にも2回、ハッカーに解読されたことがあるという。
5回目の挑戦で解読
大統領のTwitterアカウントのパスワードを突き止めたのは、オランダ人のセキュリティ研究者、ヴィクター・ギヴァース氏。
そのパスワードとは、ズバリ「maga2020!」（「maga」とは、大統領のキャッチフレーズ「Make America Great Again」の略）。
ギヴァース氏は5回目の挑戦でパスワードを見破り、およそ8730万人の大統領のフォロワーを好き放題にできる状態だったそう。
つまりその気になれば、彼は大統領の代わりにツイートしたり、ダイレクトメッセージを送ったり、ユーザー名やプロフィールを変更することができたうえ、ほかのユーザーをフォローしたり、アンフォローしたりすることも可能だったことになる。
だが、ギヴァース氏はそうした行動を取る代わりにホワイトハウスに連絡し、アカウントのセキュリティが不十分だと警告。
このことについて、オランダの『デ・フォルクスラント』紙は、次のように報じている。
「ギヴァース氏は、トランプ大統領の家族や選挙キャンペーンのチームなど、他の人たちにも警告しようとした。CIAやホワイトハウス、FBI、Twitter社もタグ付けしたが、返信はなかった」
トランプ大統領がどれほど頻繁にTwitterを使っているかを考えれば（彼を「ツイッター大統領」と呼ぶ人もいるほど）、この状態のセキュリティは非常に危険。
過去にもハッキングされていた
ギヴァース氏によると、トランプ大統領は簡単に推測されるパスワードを使っていただけでなく、2段階認証による保護も設定していなかったそう。
さらに、ギヴァース氏は間違ったパスワードを4回入力したにもかかわらず、予想に反してブロックされることもなく、詳細な情報の入力を求められることもなかったという。
だが最終的には、ホワイトハウスの誰かがギヴァース氏のメッセージに気付き、対策を講じた模様。パスワードを解読した翌日には2段階認証が使われるようになり、さらに2日後には、シークレットサービスからギヴァース氏に感謝の意を伝える連絡があったのだとか。
トランプ大統領は、強固なパスワードを選ぶことがあまり得意ではないとみられ、ギヴァース氏のほかにも過去に二人に、パスワードを割り出されている。
2016年には、出演していたリアリティ番組『アプレンティス／セレブたちのビジネス・バトル』の決め台詞「You are fired（お前はクビだ）」から取った「yourefired」をパスワードに設定していたことも…！
安全性を保つには？
アメリカの『コンシューマー・レポート』誌は、パスワードの選び方と安全性についてのヒントとして、次のような注意点を紹介している。
・長いほどよい
パスワードは少なくとも12文字からなるものにすること。また、文字と数字、特殊文字（*、!、?、&など）を組み合わせるのもオススメ。
・他の誰も知らない言葉を使う
パスワードに最適なのは、あなたしか知らないフレーズ。あなたの名前や誕生日、その他の個人情報は含めないこと。家族の情報を使うのもやめたほうがベター。さらに、言うまでもないことだが、「パスワード」という単語やその変化形をパスワードを使わないこと。
・使い回しをやめる
いくつもの長いパスワードを覚えるのは難しいかもしれないが、異なるパスワードを使うようにするのは重要なこと。一つのアカウントをハッキングされたことで、すべてのアカウントへのアクセスを許してしまう状況は避けたい。パスワードを書きとめておき、安全な場所に保管しておくこと。また、パスワードを教えていい相手についても注意が必要に。
・二要素認証を使う
トランプのチームの最大の問題は、二要素認証（2FA）を使用していなかったこと。2FAを使っていれば、誰かがあなたのパスワードを推測することができたとしても、別の要素にアクセスできない限り、あなたのアカウントにアクセスすることはできない。
自分のアカウントを安全に守るためにも、私たちもぜひ上記を参考にしたいところ。
Text：Hearst Contents Hub
