記録的な投票率の高さで、例年よりも白熱した今回のアメリカ大統領選。郵便投票と11月3日(現地時間)に一般投票が行われ、11月7日(現地時間)には バイデン氏の当選が確実となりました。本記事では、20・30代のZ世代とミレニアル世代に選挙前後の意見をインタビュー。アメリカ在住のライターが現地のリアルな声をお届けします。今回は、トランプ氏に投票した人に話を聞きました。


Mさん(白人女性・23歳・ファイナンシャルアナリスト)

選挙前インタビュー

1.トランプ氏を支持する理由は

    次の任期のためのプラットフォームと、今期、経済にもたらした結果からです。2期目の彼の掲げる政策では、雇用を増やすことや、ヘルスヘア、そしてどんな子どもも学校を選択できる権利などに期待しています。

    2. 前回の選挙はどちらに投票しましたか?

    トランプ氏。政治に全く関わったことのない、全然違う人が良かったからです。

    3. アメリカ国民として、国や支持する候補者に何を求めますか?

    国を統一して、目標のために政党を超えて協力し合える大統領がいいです。今の政治は分断されていて、同じ政党でないと提案に賛成することはできない風潮。しかし意見の違いは必ずあるものの、協力することで問題解決に向かえると思うんです。

    あとは大統領になるための最低年齢の制限(35歳以上)があるように、最高年齢制限が必要だと思います。(トランプ氏は74歳、バイデン氏は77歳)今アメリカが抱えている問題を解決するには、もっと若い人が適任。トランプ氏もバイデン氏も大統領になるには、年をとりすぎているように感じています。

    選挙後インタビュー

    4. バイデン氏の当選が確実となったことについての感想はありますか?

    全体を通して、私はどちらの候補者も特別支持しているわけではありませんでした。それはやはり、どちらも大統領としてこの国のために尽くすのには年をとりすぎていると思っているから。結果自体に異論はありませんが、2024年にもっと若い候補者が出てきたら大きな選挙になると思います。

    女性の副大統領を見れるのは楽しみですし、今後彼女に影響を受け、より多くの女性が大統領や副大統領に立候補することにも期待しています。

    Sさん(白人男性・26歳・医師)

    選挙前インタビュー

    1. トランプ氏を支持する理由は?

    共和党のリーダーの方が、この国の良さを損なわずに、よりよくする方法を知っていると思います。アメリカは完璧ではないけれど、根本である憲法と独立宣言は、いつも国民を正しい方向性に導いてくれていると信じていますし、この原則と最高裁判所を今の状態で守ることは大切なんです。社会問題への対策はまだ行っている途中なので、アメリカの柱を壊すようなことは必要ないと思います。

    そして、外交政策は本当に重要なこと。トランプ氏は非情で厳しい人に見えますが、いくつかの国には厳しい政策を打ち出しながらも、同盟を増やして結果を出しています。

    私は、これを続けていった方がいいと思うんです。外交政策が上手く行かないと、外から脅威が与えられる可能性があるし、アメリカ国内の問題を解決することができないので。

    2. 前回の選挙はどちらに投票しましたか?

    2016年はトランプ氏に投票しました。ヒラリー(・クリントン)氏は、クリントン政権とオバマ政権の多大な腐敗に関わっていたので。だから、彼女以外の人が良かったんです。もし民主党の候補者が別の人であれば、そちらに投票したかもしれませんね。

    3. アメリカ国民として、国や支持する候補者に何を求めますか?

    原則を守り続けるアメリカであってほしいですね。何か問題が起きてからではなく、起こる前から行動する政府でいてほしいです。

    そして行政命令(大統領が法執行の具体的方法を、行政組織に対して命じるもの)を出さない、 また、宗教集団にプレッシャーをかけない大統領がいいです。権力が分散されることに価値を置き、政府の基礎を理解し、結果をしっかり出すこと、それをバイデン氏に求めるのは難しいと思っています。

    選挙後インタビュー

    4. バイデン氏の当選が確実となったことについての感想はありますか?

    結果自体に異議はないですが、人々が喜ぶのは早いと感じています。票数が僅差だったことや、州ごとの投票システムには問題もあるので、ここから1~2カ月は訴訟があると思います。

    2000年のアル・ゴア氏の問題解決* には数カ月以上も掛かりましたし、2016年は結果が出たものの再度集計するのに1カ月掛かりました**。そして今回の2020年でも同じことが起きようとしているんです。

    だけどそれとは関係なく、連邦議会では現状、共和党が上院の多数派なので(11月7日・現地時間 ※ジョージア州では来年1月に決選投票予定)、そんなに物事は変わらないと思っています。

    大統領選挙は王や王女を選出するものではなく、権力の抑制と均衡があるもの。だからもしトランプ氏が負けたとしても、私は気を揉みません。バイデン氏とハリス氏はおそらく次の数年は何もできないと思います。

    * 2000年の大統領選では、共和党のジョージ・ブッシュ氏が民主党のアル・ゴア氏との大接戦を制し、当選。激戦区・フロリダ州の結果を巡って、両陣営による法廷闘争が展開され、決着までに1カ月以上を要した。

    ** 2016年の大統領選で、激選州のウィスコンシン州で再集計が行われたものの、結果は変わらず、トランプ氏の勝利となった。

    donald trump holds maga campaign rally in macon, ga
    Elijah Nouvelage//Getty Images

    Cさん(白人女性・21歳・看護学生)

    選挙前インタビュー

    1.トランプ氏を支持する理由は

    主な理由は、トランプ氏が行ってきたことと価値観です。彼は人工妊娠中絶の合法化に反対の立場をとっていて、その考えや方法に賛成します。

    また、トランプ氏がスモールビジネスをサポートしたことや、経済を回復させようと動いたとこともよかったですね。それに失業率を下げるために尽力したと思うし、労働者階級をサポートしているとも思います。

    だけど、新型コロナウイルスの感染拡大をコントロールできなかったことは気になりますし、人種差別的な発言は大統領としてよくないですね。だから私はトランプ氏寄りの考えではあるものの、完全にサポートしていないし、全てに同意しているわけではありません。

    2. 前回の選挙はどちらに投票しましたか?

    前回は期限内に有権者登録ができなかったため、投票していません。

    3. アメリカ国民として、国や支持する候補者に何を求めますか?

    大統領には、このコロナ禍の経済を改善することを期待しています。トランプ氏にはそれができると思います。アメリカには、違いや考え方があっても、お互いを助け合えるようになってほしいし、誰が大統領になったとしても、嫌うのではなく、サポートしないといけないと思います。国として団結するにはまず、大統領をサポートしないといけないので。もちろん、トランプ氏は失敗もたくさんしてきたし、これからもすることはあるとは思います。

    もしバイデン氏が大統領になったとして、彼が言うこと全てに同意はできなくても、私はリーダーとして彼をサポートします。

    選挙後インタビュー

    5. バイデン氏の当選が確実となったことについての感想はありますか?

    結果に関しては、まずは選挙が終わったことに安心しました。 私はバイデン氏の選択全てに同意はしませんが、それはトランプ氏が勝っていたとしてもそうだったので、これからバイデン氏をサポートすることに異議はありません。

    世間の反響は心配ですね。人々が落ち着いて、結果を受け入れることを願ってます。国民は大統領をサポートするべき。この時点ではもう全て終わったので、受け入れて、前進する必要があります。

    Aさん(白人男性・24歳・倉庫勤務)

    選挙前インタビュー

    1.今回はどちらの候補者を支持していますか?

    次の選挙で誰をサポートするべきか正直言ってわからないです。初回の討論会に期待していたのですが、ご存知の通り、何も中身のある議論はされませんでした。次の討論会で、自分にとってどちらが優位になるかを決めたいと思います。

    2.その理由は?

    まだ決められない理由は、アメリカにとってのリーダーがどう見えるべきか、実際の役割を自分の中で議論しているから。この期間、人々を煽るのではなく、みんなが好むような、上手くやっていける大統領の存在の大切さに気づきました。大統領の役割の1つはアメリカ全体の代表であることなので、これが大切だと思ったんです。

    3. 前回の選挙はどちらに投票しましたか?

    恥ずかしいですが、前回は投票しませんでした。当時はあまり情報がなく、バタバタとした中で選挙が終わってしまったように感じました。だからこそ、今回はもっと自分から学ぼうと動き、可能な限り偏った見方をしないように選挙を見ています。

    4. アメリカ国民として、国や支持する候補者に何を求めますか?

    アメリカの平和を維持してくれる大統領がいいです。それは対立するわけではなく、必要なときには話し合えることだと思います。

    あとは、経済を理解し、雇用を増やすこと。そして、環境を守る大切さに価値を置ける人がいいです。私の子どもや彼らの子どもが、汚染されていない自然の残る地球で、ハイキングや景色を楽しめる人生を送れるように、環境を守るためにお金をかけることも重要ですね。

    私は基本的には共和党をサポートしています。 「自力で苦境を乗り越える」という考え方、自分が行きたい方向のために努力するよう育てられてきました。だけど24歳まで生きてきて、人生はそんなにシンプルで簡単ではないと気づいたんです。

    私はクリスチャンですが、クリスチャンとしてはどちらの政党に投票してもいいと思っています。政党を選ぶときに、重要なのは、環境問題と人工妊娠中絶の問題です。

    選挙後インタビュー

    5. 最終的にどちらに投票しましたか? バイデン氏の当選が確実となったことについての感想はありますか?

    結局トランプ氏に投票しました。決め手となったのは、人工妊娠中絶に対する姿勢、彼の外交政策(イスラエル・北朝鮮・香港)、経済政策です。だけど彼の性格や彼が大統領であることでの市民の不安は懸念していました。

    バイデン氏は、彼の気候変動に対する視点や政策、また恵まれない人を助け、大統領として自分のことではなく、人々のことを考えているのがよかったです。一方で、外交政策が私の期待には沿っていなかったこと、税金政策はパンデミックの影響を受けた経済対策のためにはならないこと、そしてリーダシップは気になる点ですね。

    けれど、バイデン氏の選挙でのスピーチは最高でしたね。気分を変えてくれる内容で、人々に団結を求めたのはよかったし、それこそがこの国に今必要なことでした。彼が国の経済をどのように動かせるか分かりませんが、大統領の性格が原因で、対立を生み出す可能性がないのはいいと思います。

    これから国全体で協力し合えることを願っています。大変だと思いますがお互いに歩み寄り、少しでも前進、団結し、平和を戻したいです。