長かった夏も終わりを迎え、「涼しくなってきたから」と運動をはじめた人も多いはず。夜は気温も丁度よく、ランニングしている人を見かけることも増えてきました。一方で、夜の運動は睡眠を妨げるのではないか…という疑問も。

本記事では、就寝前のランニングが睡眠に与える影響と、運動後の寝つきを良くする4つの習慣をご紹介。夜間に運動をする人はぜひ取り入れてみて。

夜に運動をすると寝つきが悪くなる?

以前は「夜間に運動しないほうが良い」という考えが定説だったと話すのは、「ヒルトン・ヘッド・ヘルス」のライフスタイル・エデュケーション・ディレクターを務めるボブ・ライト氏。

その理由は大きく2つ。

  • 運動はエンドルフィンを増加させる一方で、眠気を覚ます
  • 運動すると体温が上昇し、寝つきが悪くなる

ところが、2019年に<スポーツ・メディスン誌>で発表されたシステマティック・レビューとメタ分析をはじめ、多くの研究が“以前の常識”とは逆のことを示しました。研究によると、就寝する1時間前に終えているのであれば夜間の運動は問題ないということ。

スタンフォード大学の睡眠医学の臨床助教授をつとめるスコット・クッチャー医師は「個人差はあるものの、ほとんどの人が軽度~中等度の運動であれば睡眠を妨げられることはないようです」と解説。

通常、眠りにつくときには体内でメラトニンの分泌が活発になり、体温が下がりはじめ、体が“就寝モード”に入ります。一方で、就寝前の運動は体温を一時的に上昇させますが、運動をやめると汗が出てきて体がクールダウンをはじめます。これにより、就寝前に運動をした人でも眠りにつきやすい場合があるそう。

しかし体がクールダウンしにくい体質の人にとっては、就寝前の体温上昇が逆効果になり、寝つきが悪くなる可能性も。

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OsakaWayne Studios//Getty Images

運動後の寝つきを良くする4つの方法

ライト氏とクッチャー医師の意見をまとめると、体質にはよるものの多くの場合は「寝る前の運動が睡眠を妨げることはほとんどない」ということに。もしも夜の運動後になかなか寝つけないという場合には、次の4つの習慣を取り入れてみて。

クールダウンする時間を確保する

「眠りにつく1時間前には運動をやめ、体を休めてクールダウンする時間をつくるように」と、ライト氏。この時間に関して厳密なルールはないので、「1時間前にやめる」ということを基準にして、自分の体質に合わせて必要に応じて調整してみて。

強度が低い有酸素運動に変更する

もしもランニングをしたあとに「寝つきにくい」と感じるのなら、ウォーキングなどの強度が低い有酸素運動に変えてみるのも一つの手。

「夜のランニングを控えて朝に実施すれば、睡眠と覚醒のサイクルが整って全体的な睡眠の質が向上します」(ライト氏)

筋肉の緊張を緩める

クールダウン中のルーティンに強度が低い運動を取り入れると、体を“睡眠モード”に切り替えやすくなります。クッチャー博士が勧めるのは、運動後にストレッチヨガで疲れた体をリラックスさせること。また、このときにマインドフルネス呼吸法を実践するのも良いでしょう。

「ヨガや太極拳など心と体の両方を使ったアクティビティは、入眠を促す効果が期待できるので、寝る前のルーティンに加えると良いでしょう」(ライト氏)

運動前後の食事に気をつける

場合によっては、夜間の運動そのものではなく、直前・直後の行動が睡眠を妨げることもあるので要注意!

たとえば、運動前や運動中にカフェインを含んでいるものを摂取すると、寝つきが悪くなる可能性が高くなります。また、運動で汗をかいた後に燃料補給をしないと、空腹感で睡眠が妨げられることも。

「運動後や就寝前に何かを食べる場合は、サクランボやバナナなど、メラトニンやマグネシウム、カリウムを豊富に含んだ食品がおすすめです」(クッチャー氏)

体質によっては、運動後の補給としてしっかりとしたものを食べる必要がある場合も。どういった食べものや行動が自分の睡眠に良い影響を与えるのかより正確に把握するために、夜のルーティンを記録しておくことがおすすめです。

※本記事は、Hearst Magazinesが所有するメディアの記事を翻訳したものです。元記事に関連する文化的背景や文脈を踏まえたうえで、補足を含む編集や構成の変更等を行う場合があります。
Translation: Risa Tsubakihara
Runner's World US