自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。

コスモポリタン日本版では、前向きに人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介しています。

アリッサ・カーソンさん(19)

宇宙飛行士訓練生・大学生

2030年代に、初の火星での人類着陸の成功を目指す――。

米航空宇宙局(NASA)は、この究極の計画を達成するために、様々な取り組みを加速しています。地球と同じように約24時間37分かけて自転し、四季も見られ、地球に似ていると言われる火星。そのため民間組織なども「火星移住計画」や火星への飛行計画を立てています。

そんな“人類の夢”に向かって果敢に挑み、「火星への初の旅人」になるために、努力を積み重ねる19歳の女性がいます。アメリカ在住の大学生、アリッサ・カーソンさんです。

ルイジアナ州に生まれ、3歳で火星の存在を知って以来、宇宙飛行士になるためのステップを着実に踏み続けているアリッサさん。

「一途に追っていたら、どんなクレイジーな夢でも叶う」

そう語る彼女の、これまで、そして未来の「火星着陸計画」に迫りました。

【私の生き方】目標は「火星に行くこと!」。19歳、未来の宇宙飛行士にインタビュー
@nasablueberry//Instagram

唐突ですが、アリッサさんが宇宙飛行士になると決めたきっかけを教えてください。

「宇宙飛行士になって火星に行く!」と決意したのは、3歳の頃。

きっかけは、「Sing×3♪ ぼくら、バックヤーディガンズ!」というアニメを通して火星の存在を知ったことでした。父に火星について質問をたくさんしているうちに、この惑星が人類未踏であることを知り、興味がますます募りました。

でも「宇宙飛行士」という職業は、子どもだった私にとって漠然としたもの。

だから、当時この職業について抱いていた疑問を、一つ一つ調べていきました。そしたら宇宙飛行士になる人は科学者、医者、軍人など、様々な職業のバックグラウンドを持っていること、そしてこの夢を叶えるために、多様な道のりがあることを知りました。

その後、夢を叶えるためにどんなことをしましたか?

宇宙飛行士になることが「運命」であれば、そこにたどり着くまでの道のりを自分自身の力で見つけないといけない。子どもながらに、宇宙飛行士に近づけるようにと様々なことに挑戦しました。

まず、7歳の頃から、トルコやカナダ、アメリカを含む、世界中すべての「NASAスペースキャンプ(青少年が宇宙について知ることができるプログラム)」に参加しました。

その後、私の地元のアメリカ南部ルイジアナ州からカナダまでロードトリップをしながら、NASAのビジターセンターを14カ所訪れました。ここでは、各センターの仕事内容や研究内容を実際に見ることができました。

こうして宇宙について学び、宇宙業界で働く様々な人に出会うことができました。今思い返すと、とても楽しみながら、真っすぐ夢への道を歩んでいました。

また、この過程を経ている途中の12歳の頃に、NASAから連絡があって…! なんと、「火星への未来のミッションについて話し合う」テレビ番組に、パネリストとして出演することになったんです。

他の参加者は、博士や宇宙飛行士など、ずっと年上の知識人だったのですが、若者代表として参加させて頂いたことは今でも忘れられない貴重な経験です。

子どもの頃から夢に向かって一途なアリッサさんの姿勢に驚かされます! その後10代はどのように過ごしましたか?

15歳の頃には、フロリダ州にある教育機関で、宇宙飛行士の仕事内容について学ぶプログラムに応募しました。通常の参加者は大学生以上で、対象者は当時の私よりもずっと年上。

でも、どうしてもここで学びたかったので、このプログラムの担当者に電話をかけ、「私、スキューバダイビングができます!」など、当時の自分の長所をすべてアピールし、コース受講への熱意を伝えました。

すると、担当者が“お試し期間”を設けてくれることに。その期間の最終日に総まとめの試験を受けたのですが、私がクラスの中で最高得点を獲ることができたので、ようやく担当者が承認してくれて、このコースを引き続き受講することになりました。

プログラムではどのようなことを学びましたか?

主に、超高層大気圏(ロケットや人工衛星が飛び交う領域)について学びました。

たとえば、心臓血管や筋肉など身体が宇宙空間でどのように反応するか勉強したり、ロケット打ち上げ時に身体にかかる強烈な重力を味わうシミュレーション、酸素が少ない環境の体験、宇宙服を着て実際のミッションの試行などをしました。

なかでも一番ハードだったのが、サバイバル・トレーニング

時には、海に投げ出された時にどのようにして生き残るかというシミュレーションを、実際に海中で実施することもありました。また、緊急時に宇宙船を脱出する練習などもしました。

その後、高校に通いながら、エンブリー・リドル航空大学(世界最高峰の航空宇宙工学部を持つ、空のハーバードと呼ばれる大学)のプログラムを2年間受けました。

instagramView full post on Instagram

19歳の現在は、どのような勉強をしているのでしょうか。

今は、フロリダ工科大学で宇宙生物学について勉強をしています。その傍らで、他の機関で超高層大気圏についてのリサーチをし、宇宙飛行士としての訓練も受けています。

実際にNASAのミッションを遂行する宇宙飛行士として選ばれる人は、ほんの一握り。最近だと、約1万8000人の応募に対して、選ばれたのはわずか11名でした。

だから、近い将来応募するときに私の履歴書が審査員の目に留まるように、今自分ができる限りのことに挑戦しています。学業だけではなく、パイロットの資格なども取りました。

もちろん同世代の女の子のように、ネットフリックスを見たり、友達と遊んだりもしますが、最優先するべきことは何より学業! 一日の大半は勉強をしています。

夢に向かって邁進するアリッサさん。実際に火星に行ったら、したいことはありますか?

火星へのミッションは宇宙業界において、とても大切なステップ。火星にどのような可能性があるのか、“火星移住”が現実的かを知るために、火星の水や細菌など、様々なリサーチをしたいです。

今後テクノロジーがさらに進化し、私たちにとって火星との距離はより短くなるでしょう。今、地球の人口が増えているので、他の惑星に住むことは悪いアイデアではないと思います。

今後、他にも挑戦したいことはありますか。

子どもたちに“宇宙でのキャリア”について話す機会を増やしたいです。私もかつてそうだったように、多くの子どもたちにとって、宇宙業界のキャリアは漠然としていて、実現が難しいものと思っています。でも、そんなことはない。

たとえば料理をするのが好きな人なら、宇宙食をつくるシェフとして活躍することもできますし、他にも航空宇宙医師なんて仕事もあります。

そして彼らに、ロケットの話や、人々が約10年後に火星に行こうとしている--といった、ワクワクする現実をもっと広く伝えたい! 子どもたちに、宇宙業界での仕事を自分の将来の可能性の一つとして考えてほしいです。

最後に、夢を叶えるためのアドバイスを教えてください!

周囲に何と言われようと、夢を叶えるのは自分自身!
情熱の炎を燃やしつづけている限り、夢は叶います。

情熱はエンジンとなり、自分自身を新たな場所へと運んでくれます。だから、自分が熱くなれるものを見つけることが、一番初めのプロセス。また、全力を尽くして前進を続けることも大切です。努力をする過程では我慢を伴いますが、決して諦めないでください。

何より最も大切なことは、“夢を口にする”こと。

チャンスは、どこから来るか分かりません。「宇宙飛行士になりたい」と言い続けていたら、誰かがNASAで働く人を紹介してくれるかもしれない。

私も子どもの頃に「火星に行きたい」と言っていた頃は、周囲に「クレイジー」だと思われていました。でも、信じて夢を追い続けていたら、現実になります。周囲に何と言われようと、夢を現実にするのは自分自身!

自分の夢を諦めずに、真っすぐ信じること。情熱を燃やし続けている限り、夢は叶います。

アリッサさんから学んだ願いを現実にするためのヒント

  • “情熱”は、夢を叶えるエンジンとなる
  • 今できる小さなことから、すぐに行動に移す。動けば動く分だけ、夢が現実に近づく
  • 自分の可能性に、リミットは設けない