自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。コスモポリタン日本版では、人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介していきます。

Skin, Beauty, Leather, Snapshot, Fashion, Textile, Jacket, Lip, Outerwear, Long hair, pinterest
Yuri Yureeka Yasuda

安田有里(Yuri Yasuda)

アート・コレクター、ティー・ソムリエ、コラムニストなど、さまざまな肩書きを持つ女性実業家。東京で生まれ、2~14歳までをニューヨークで過ごした彼女は、帰国後、インターナショナルスクールから上智大学比較文化学部に進み、卒業後に起業。ビバレッジの輸入会社を経営しながら、アート関係のオフィスも起ち上げ世界を巡るジェットセッター、ロンドンから一時帰国中のユリーカさんに、これまでのキャリアや成功の秘訣を伺いました。

――大学卒業後、就職ではなく、起業という道を選んだ理由は?

初めから会社への就職は考えませんでした。日本語が苦手だったので…。でも、日本が大好きでアメリカには帰りたくなかったので、東京に居ながら海外のコネクションを活かして何かできないかなって。三人姉妹の末っ子で何もプレッシャーがなくて、両親もやりたいことをやりなさいというスタンスだったことも、ありがたかったと思っています。学生時代からスカパーの番組のナビゲーターをしたり、「ガルシア・マルケス」のモデルをしたり、海外雑誌のライターやカメラマンのお仕事をしたりと、クリエイティブな仕事にたくさん携わってきたので、自分でもクリエイティブな仕事を始めたいと思うようになりました。

――どうやって自力でキャリアをスタートしたんですか?

輸入品を扱う小さな会社を起ち上げたのですが、最初は試行錯誤。起業後も1年くらいTVに出たりとさまざまな自分の可能性を探りました。知り合いの放送作家さんに勧められて「さんま御殿」という番組に出演したのをきっかけに、「笑っていいとも」などバラエティ番組に「起業家」としてお声がけいただくようになりました。しかし、私のやりたいことは、TV出演よりも、ビジネスをもっと頑張ることだと思いはじめていた頃でもあり、ちょうどニューヨークで「ハーニー&サンズ」という紅茶ブランドに出合ったんです。当時は、フレーバー・ティーというコンセプトが日本では新しかったので、これを日本に広めたい! と思うようになりました。直接訪ねて行ってライセンスをとり、ペーパーワークとか倉庫や販路の確保など、いちから自分で行ったので、思っていた以上に大変でしたね。軌道にのるまで約8ヶ月くらいかかりました。テレビも楽しかったけど、ビジネスも努力すると結果が見えることに気づき、自分に向いているなと確信しました。

――現在は、どんなお仕事をされているのですか?

紅茶の輸入会社で取り扱っている、メインブランドの「ハーニー&サンズ」は、今では全国400ヵ所に展開していて、名古屋の高島屋に直営店を持つまでに成長しました。他にも海外ブランドをいくつかやっておりまして、たとえば、フランスブランド「ポンデザール」では、ジャパン・アンバサダーを務めています。今までは輸入商品をメインにビジネス展開してきましたが、自分のオリジナルブランドを持ちたいと考えていたので、今年から、「SAYURI」という日本製品を取り扱ったブランドをスタートさせています。「SAYURI」で展開しているグリーンティーや梅酒は、現在では、アジアのベスト・レストラン50で4年間連続ナンバー1の「ガガン」というタイのレストランや、ミシュラン2つ星のロンドンの「UMU」という高級日本料理店が、すでに扱ってくれるようになりました。

――紅茶やお茶以外にもビジネスをご展開されていると伺ったのですが。

たくさんありますが、いま直近で取り組んでいることを例にあげると、ロンドン発祥の「ソーホーハウス」は、クリエーティブな感覚の持ち主限定のユニークな会員制クラブで、バルセロナやニューヨークなど世界18か所にあって、膨大なウエイティングリストで海外では知られていますけど、その日本初上陸に携わっています。それから、『Billionaire』や『Forbes』『Larrys List』などに執筆も続けています。実は、次のキャリアとして一番力を入れたいのはアートです。

――かなりジャンルが違いますが、アートの仕事を始めたきっかけは?

父がアートの仕事をしていたので、幼い頃から、アートはいつも身近にありました。アートフェアやオークションは私の日常でしたので、私自身もコレクターの1人です。なので、アートに興味がある友人も多く、国内外問わず、アート関連の相談を受けていたことがきっかけとなり、2017年にTOKYO ART OFFICEという会社を設立しました。世界各国のアートに関するリクエストに私だからこそ、応えることができると思ったからです。

――その会社では具体的にどういう仕事を?

ライフスタイルや人生の中に楽しくアートを取り入れる素晴らしさを多くの人に伝えていけたらいいなと思っています。たとえば、子供のために毎年アートを1つ買えば、20歳にはステキなコレクションが揃っている、そんな長期のプロジェクトも素敵じゃないですか? アートの魅力は一言では言えませんが、人間ならではのカルチャーですよね。顧客の人生やライフスタイルを本気で考え、アートの提案をできる存在になりたいと思っています。

Skin, Beauty, Snapshot, Photography, Smile, Happy, Portrait photography, Portrait, Style, Art, pinterest
Yuri Yureeka Yasuda

――どんなジャンルのアートを取り扱っているのですか?

私の会社では、主にコンテンポラリー・アートを扱っています。存命するアーティストの作品は価格も現実的でポテンシャルもあります。アーティストをサポートする意味でも、このジャンルに絞っています。アートは商品として特殊で、買う側にも売る側にもアドバイザーは必要。ギャラリーは1回だけの高額な買い物よりも、長く買い続ける顧客を優先します。アートのビジネスには人間関係がとても重要です。会社設立と同時に、海外のアートフェアから複数の連絡があったのはうれしかったですね。この秋にパリで開催されるヨーロッパで一番大きなアジアのコンテンポラリ―・アートフェア「ASIA NOW」のアンバサダーをすることも決定しています。


――今後の日本でのビジネス展開など、ビジョンを教えてください。
日本では、美術館やギャラリーで作品を鑑賞することに慣れていても、それが実際に買えるという意識は薄いように感じます。たとえば東京アートフェアに行っても、実際に購入された方は少ないのでは?アート・ブレックファスト・クラブのような勉強会とか、アートフェアを巡る海外旅行の企画、ギャラリー側とポテンシャル・コレクターが集まる機会を作るなど、アートをもっと身近にしていくプランを考え、実行中です。

――これから起業する人にアドバイスするとしたら?

まずは、行動することが一番だと思います! とにかく始めなければ、始まらないので。それから、スタッフに恵まれることが成功のカギだと感じます。信頼関係を築くには、ある程度時間はかかるかもしれませんが。私は、周りのスタッフに感謝あるのみです。メンター(指導者・助言者)の存在も大きいと考えていて、実際にビジネスを分かっている先輩から、助言や厳しい意見をいただくのも重要だと思っています。分からないことを教えてもらえば、余計な遠回りをしないで進めることもありますからね!そしてNever too late! やりたいことが見つかったら、いつ始めても遅くはないです。

――最後に、充実したキャリアをお持ちのユリーカさんですが、女性としての目標はありますか?

いつでも、目指したいのはベストな自分。女性であることも大切にしたいと思っています。仕事をバリバリする女性も、別に男性ぶりたいわけじゃないし、競い合う必要はないので。理想としてはハッピーなパーソナルライフと、カルチュラルで周りをインスパイアするようなビジネスと、健康とか、教養とか、いろいろな面でバランスがとれた、大人の女性になっていきたいですね!


【ユリーカさんから学ぶキャリアアップのヒント】

・やりたいと思ったら挑戦してみることが大事。その過程の中で、自分が追究してみたいことが明確になることも。

・ビジネスは、人と人がつくるもの。時間をかけて信頼関係を育てること。

・仕事だけではなく、自分にとって人生を豊かにしてくれるコトやモノやヒトを常に考えることも大事