ファッションやビューティ業界で、多様性や包括性、“美しさ”の基準が見直されているなか、北ロンドンにあるブライダルショップ「The Boutique」と慈善団体「Models of Diversity」が協力して、ウェディングの撮影を敢行。多様なモデルがウェディングドレスを着るという、今回のキャンペーンがSNSを中心に拡散されている。

ウェディング業界全体が、多くの人が考える“美の理想”だけでなく、すべての人をより包括的に受け入れるべきだと示すことを目的とした今回の撮影。

モデルとして参加したアマンダ・ベイツさんは、母親の羊膜が妊娠中に何らかの理由でひも状になり、胎児の体に癒着したり巻き付いたりする羊膜索症候群を発症。その結果、口唇裂・口蓋裂、片目の視力低下、内反足、そして指が数本ない状態で生まれてきたという。

彼女はこのキャンペーンに対する想いについて、『Daily Mail』にこう明かした。

「業界に多様性がないことは、解決しなければならない問題です。障がいと共に生きる人は結婚する価値がないように感じられて、がっかりします。美しさには様々な形があることを、人々は気付き始めていると思います。完璧な体や顔を持っていることが重要なのではありません」
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またブライダルショップ「The Boutique」のオーナーであるクリスティン・マイケルズさんは、今回の撮影を始めたきっかけについてコメント。

「ほとんどのブライダルショップやデザイナーが、多様なモデルを使わないのはとても残念です。結婚するのは、雑誌に載っているモデルのような人だけではありません。私たちは、これらのイメージが現実の生活や実際の花嫁を反映したものであるべきだと考えています」

「私たちのお店の隣にはモビリティショップ(車いすや歩行補助具などの販売店)があり、常に包括的なブライダルショップでありたいと考えてきました。車いすでのアクセスも可能で、どんな人にも対応しています」

今回の撮影では、車いすユーザーや、IBD(炎症性腸疾患)、運動障害、神経障害、脱毛症、ダウン症など、たくさんのモデルが参加。

そのうちのひとりである、アシュリー・ヤングさんは自分の経験を交えてこう明かした。

「生まれつき右腕の下の部分がないため、10代の頃は、結婚することはないと思っていました。学校でのいじめが原因で自己肯定感が低くなり、ずっと腕を隠して生きてきたんです。自分がバージンロードを歩くことはないと思っていましたが、今は幸いにも私を愛してくれる人に出会いました」

「ただ、ドレスを選んでいるときに、この業界には表現力が欠けていることに気づきました。障がいを抱える人を見て、恋愛ができないと思っているのではないか…。この撮影を通して、私のような花嫁を“違った目線”で見ないようになるといいなと思います」

チャリティの創設者であるエンジェル・シンクレアさんも、ウェディング業界についてこう指摘。

「最近ではファッション業界が、多様性と包括性に対して前向きで進歩的な変化を遂げているにもかかわらず、ウェディング業界はまだ不十分であることがわかりました。あまりにも長い間、社会が“美しい”と考えるイメージだけが示されてきたんです。この素晴らしいキャンペーンで、障がいと共に生きる人たちにスポットライトを当てて、ブライダルにおける“美しさ”を再定義するためのプラットフォームを提供したいと考えています」

多くのメディアでも注目された今回の撮影。この取り組みは、ウェディング業界の変革に向けての大きな一歩になったはず。