1969年6月28日、LGBTQ+コミュニティにとってひとつの転機が訪れました。
その夜、ニューヨークにある有名ゲイバー「ストーンウォール・イン」の客たちが、同性愛者を取り締まるための捜査にやってきた警察に抵抗し、立ち向かったのです。この夜を機に、アメリカのLGBTQ+活動は大きなうねりを見せ、現在のさまざまな動きへと繫がってきました。
平等な権利や安全を求め、今もで闘い続けるLGBTQ+の人々がいるのなら、どうしたらLGBTQ+の「アライ(ally:同盟や支援、味方などを意味する英語)」になれるのか、知っておくのはとても大切なこと。
LGBTQ+コミュニティをより支えていきたいと考えている、またはこれからアライとして歩もうとしているあなたへ、彼らにとってより良き支持者になるための方法を<ウーマンズ・デイ>からご紹介します。
愛と敬意を表明する
はじめの一歩として、LGBTQ+の知り合いがいようといまいと、LGBTQ+を自認している人たちへの無償の愛と敬意を示しましょう。
あなたが関わってきた人の中には、まだオープンにしていないだけで、LGBTQ+だという自覚がある人もいるかもしれません。LGBTQ+の存在を丸ごと支持するあなたの姿が、そのような人たちにとって安心を与えてくれる拠り所として映ることも。
「コミュニティと受容、これこそが私たちにとって文字通りのライフラインです」と語るのは、カリフォルニア州・バークレーを拠点にするセラピストのジェイドリン・St・ドレさん。St・ドレさんはLGBTQIA(※1)のクライアントを多数抱え、自身もクィア(性的マイノリティ)であることを公言しています。
「家族や身近な人々から受け入れられるかどうかが、LGBTQIAの人たちにとっては第一の指標になるでしょう」
注1:LGBTQIAとは、LGBTQに加えてI=インターセックスそしてA=アセクシャルを表す言葉
積極的に学ぶ
ニューヨーク市・ブルックリンを拠点とするセラピストのシャリ・アポロンさんいわく、率先して自分から学ぼうとする姿勢がLGBTQ+の人を支える方法としてもっとも重要だそう。
「大切に思う家族や友人に対して自分が味方であることを示したかったら、文学やソーシャルメディアなどを通して、LGBTQ+コミュニティに関連することをどんどん学んでみたらいいと思います」
教材になるものは、たくさんあります。
LGBTQ+の人やその家族、そしてアライにより構成される団体のウェブサイトなどをチェックしてみるのも良いでしょう。また、ここ50年にわたるLGBTQ+コミュニティの闘争と歩みの歴史に光をあてた多くの書籍や映画、ポットドキャストなどもおすすめ。
当事者の言葉に耳を傾ける
大切な人を支えるために重要なのは、その人の言葉に耳を傾けることだとアポロンさんはアドバイス。
「何かを証明したり訂正したりする必要を感じることなく、とにかくその人の話を聞きましょう。その人の人生経験を聞くことがすばらしい出発点となるはずです」
ジェンダー・アイデンティティや性的指向に関わる会話には寛容さが求められるため、「偏見なく話を聞こうとする姿勢」がとても大切。
「LGBTQ+の人にとって、カミングアウトしたり、自分のアイデンティティについて語ったりすることは、とても勇気のいることです。愛と思いやりと誠意を持って向き合う必要があるでしょう」
先入観にとらわれるのはやめる
テレビや映画などからコミュニティについて学ぶことは重要な一方で、そうした情報だけを頼りに、当事者を「理解した気」にならないように気をつけたいもの。なぜなら、すべての人はそれぞれに違う経験や人生を抱えているものだから。
St・ドレさんも、以下のようにアドバイスしています。
「私たちはみんな同じではありません。クィアやトランスジェンダーの人たちに対する思い込みにこだわると、彼らに対する同一視を強めることにもなりかねません。LGBTQ+コミュニティに対して思い込んでいることや、メディアで目にした人物や物事から得た情報はあるでしょう。それが、私たちの誰かにとって当てはまることであったとしても、すべての人に当てはまるわけではないのです」
支援者になる
「職場の人や家族と話をするとき、特定の人物を明かさずに、この問題に対する自分の意見を言う機会を見つけてください」とSt・ドレさん。
「一般的な問題として話すことで、当事者たちが差別を受けずに済む環境を模索するために、日々感じている大変さをあなたも体験するかもしれません」
感情を正しく消化していく
大切な人がLGBTQ+の当事者だと知ったとき、中には驚く人もいるでしょう。カミングアウトを受けて、言葉にできない感情が湧きあがってくることもあるかもしれません。
職業上そういったケースによく遭遇するというアポロンさんは、子どもからカミングアウトを受けたとある親のケースを例に、その感情との向き合い方について説明してくれました。
「彼らには、支援グループを探すことをおすすめすることが多いです。そこでは、感情や子どもに対して抱いてきた一方的な期待を丁寧に消化するためのセラピーが行われます。必ずしも、当事者である実の子から、LGBTQ+に関するケアや指導を受ける必要はないのです」
自分に責任を持つ
あなたがいつも正しい発言や行動ができるとは限りません。大切な人に対して、あまり支援的とは言えない反応を見せてしまったり、感情を傷つけてしまったりすることもあるでしょう。
St・ドレさんによれば、「大切なのは、あなたがそのことに責任を持ち、支援する立場へ向かって歩み続けること」。
「私も実感していますが、私たちが見方や行動を変化させていくことに前向きになればなるほど、私たちの大切な相手も話を聞いてもらえそうだと思えるのではないでしょうか。そして閉じ込めていたさまざまな経験を分かち合うことで、絆が強くなるのだと思います」
「責任を持つということは、罪を認め、自分が与えた危害についてより深く知り、自ら学び、そして行動を起こすことを意味するのです」
※この翻訳は、抄訳です。
Translation:中尾眞樹(Office Miyazaki Inc.)