Instagramで「#whatisperfect」のハッシュタグとともに、ありのままの自分について発信しているトランスジェンダーモデルのKEISHANさんが、6月のカバーガールに登場!

自分自身の過去の経験から、世界で活躍できるモデルになるために挑戦を続けるKEISHANさんの目標は、「LGBTQ+コミュニティが当たり前になる社会」。海外でのキャリアを目指して感じたことや、自分らしい生き方について聞きました。

instagramでありのままの自分について発信しているトランスジェンダーモデルのkeihsanさん。過去の経験から、世界で活躍できるモデルになるために挑戦を続けるkeishanさんの目標は、「lgtq+コミュニティが当たり前になる社会」。海外でのキャリアを目指して感じたことや、自分らしい生き方について聞きました。
MELON

モデルになったきっかけを教えて下さい。

以前は別の事務所でテレビのタレントをしていたんです。でもバラエティ番組などで渡される台本で常にセクシャリティが笑いにされることや、業界の中で作り上げたそういうパターンにすごくモヤモヤしていて。

そういう番組の放送翌日って、セクシャルマイノリティの当事者の子どもは必ず笑いのネタにされてしまうんですよ。私自身がそういう経験をしていたから。

言える範囲でかまいませんが、これまでにどんな経験をしましたか?

自分が生まれた場所は田舎だったんですが、1時間に1本しかない電車に乗ると「オカマが乗ってきた」って言われたり、大人たちも平気で「お前はオネエか」って聞いてきたりするんです。

一番ショックだったのは中学校の三者面談で、先生が母に「ケイシくんは、すごくオネエっぽくて」と言ったこと。思春期にそういう言われ方をするのがどんなに辛いことか…ましてや先生が言うなんて。そういう経験もありました。

テレビがそういうきっかけを作ってしまうなんて、本当によくないですよね。

そうですよね。傷ついて自殺する子どもだって出てきかねない。「面白さ」はひとつの魅力になりえるのでしょうが、セクシャリティを笑うのは絶対にあってはいけないと思います。

芸能界に入った当初は、そういうモヤモヤは解消できなかったんですね。

自分が「こうしたい、こう伝えたい」と言っても、「それは求めてないから」と言われましたね。今もすごく覚えているのは、ある生放送番組でそういう笑いを求められたときのこと。

テレビ局に着いた朝5時から号泣して、マネージャーさんと話し合いをしました。でも生放送が始まる時間が来てしまい、与えれたキャラクターを演じるしかなくて…本当に苦痛でしかなかった。

目の当たりにしたそういう現実を、「笑いのネタ」でなく「かっこいいもの」に変えたいと思ったんです。でも人任せにしたら絶対に変わらないから、自分がやるしかないと思いました。

instagramでありのままの自分について発信しているトランスジェンダーモデルのkeihsanさん。過去の経験から、世界で活躍できるモデルになるために挑戦を続けるkeishanさんの目標は、「lgtq+コミュニティが当たり前になる社会」。海外でのキャリアを目指して感じたことや、自分らしい生き方について聞きました。
MELON

モデルとしての活動はどんな風にスタートさせたのでしょうか?

モデル事務所に入ったのは2020年の後半で、それ以前はフリーランスとして活動していました。海外でも活躍したいと思ったので、2019年ごろから自分のポートフォリオを片手にニューヨークやパリに一人で行って、アポイントなしで事務所回りをしました。

でも、ビザの関係もあってうまくいかず。海外のモデルの世界では、LGBTQ+のモデルは当たり前の存在になっていて、チャンスも日本とは比べ物にならないくらいあると思います。でも事務所に所属していないと、オーディションやショーに参加することがなかなかできないんですよね。それで、まずは日本で事務所を決めることにしました。

ただ海外に行ったのは無駄ではなかったですね。第一線で活躍するモデルを自分の目で見ることができて、「ありのままでいていいんだ」「自分のままでいることがパーフェクトなんだ」と実感することもできました。

何かそう思えるような経験があったのでしょうか?

2020年2月のニューヨークでのコレクションのキャスティングに呼んでいただき、マーク・ジェイコブスの本社に伺ったんです。その時、スタッフの方が自然に私のことを「She」って呼んでくれたんですよね。

日本だと居酒屋で隣に座った人にすら、「オネエ?」「オカマ?」みたいな言葉を普通に投げられる。失礼なことを言われているはずなのに、なぜか自分が堂々とできなかったんです。でも海外では説明なんてしなくても、当たり前に「女性」として扱ってもらえたのが自分にとって大きな経験になりました。

SNSには差別的な言葉も飛び交うこともありますよね。どう対応してますか?

DMが送られてくることも多いですが、あまり動じません。過去に散々言われ続けてきたことが自分を強くしてくれたし、いちいち動揺してたら助けるべき人を助けられない。

ただどういう形であれ興味を持ってもらうのは、多様な世の中に対する第一歩かなと。そういう人達にも悩みがあるんだろうなと考えると、ハッピーになってもらいたいなとも思いますね。

逆に、LGBTQ+コミュニティの方からメッセージをもらうこともあります。先日の「国際トランスジェンダー認知の日」で撮影したエースホテルでの取り組みも「元気になりました」とメッセージをもらって、自分のパワーになりました。こういう世の中になってほしいと想像していたことが少しずつ現実になりつつある、そのことには感謝の気持ちでいっぱいです。

ありのままの自分について発信しているトランスジェンダーモデルのkeihsanさんが、6月のカバーガールに登場!過去の経験から、世界で活躍できるモデルになるために挑戦を続けるkeishanさんの目標は、「lgtq+コミュニティが当たり前になる社会」。今回は、tomo koizumiのドレスをまとった姿をお届けします。
MELON


今、目標にしていることはありますか?

トランスジェンダーの存在がトピックになるのではなく、当たり前になる社会になってほしいですね。ビッグメゾンのコレクションでランウェイを歩くのは私の目標のひとつなのですが、そういう場にもセクシャルマイノリティが必ずいるという風になればなと思います。

ゆくゆくは小学校や中学校で講演みたいなことがしたいですね。何があっても強く生きてほしいと伝えたいし、夢に向かうサポートができる存在になりたいです。私も色んな人達のサポートがあったからここまでこられたので。

例えばどんな人達のサポートがありましたか?

一番は家族。両親は多分中学校の後半には気づいていたと思うんです。父は厳格な人なので批判的な部分もありましたが、今こうした活動を許してくれていることに感謝していますし、母は常に自分を元気づけてくれる大好きな存在です。

母が私の生き方を「けいちゃんらしくていいじゃん」と言ってくれたのは、すごく嬉しかったですね。幼い頃、アクセサリーのおもちゃが付いたガムがあって、私が欲しがると普通に「いいね!」って買ってくれたんですよね。その頃から「私らしさ」を肯定してくれていたんだなって。あと、音楽にも支えられたかな。

どういう音楽でしょう?

ミュージカルが好きです。一番最初に見に行ったのは劇団四季の『アラジン』。アラビアンナイトのダンスの場面では、手を使った表現とか、ドレスの見せ方とか、モデルの表現に取り入れたいなと感じました。

高校時代は吹奏楽部だったので、クラシックも大好きで、1番聞くのはシューベルトの『魔王』という曲。少し怖い雰囲気ですが、最初のリズムが気に入っていて、自分のカッコいいモードがイメージできる曲だなと思います。

今回の撮影でも豊かな表現力に驚かされましたが、音楽がイメージの源泉なんですね。

そうですね。物語があるような音楽でもその情報は入れず、耳で聞いて自分のイメージをふくらませることもあります。

ランウェイでは色んな音楽やビートが奏でられているから、それにあわせた表現が必要だと思うし、勉強にもなりますよね。

落ち込んだ時はどうやって過ごしているんですか?

劇団四季のミュージカルを観に行くこともありますし、大好きな音楽を爆音で聞いたりすることもあります。

あとは「受け入れること」かな。生きていれば、嫌なこともあるし、嫌な人もいるけど、どうしようもないときもある。でも「そういうこともあるし、そういう人もいるんだな」って思えるだけで、ストレスを半減できますよ。

からかわれていた頃の自分に、今、声をかけるとしたらなんて言います?

「ありがとう」って言葉しかないです。この話をすると感極まっちゃうんですが、頑張って耐えてくれて、生き抜いてくれて、ありがとうって。その先には、今のこういう自分がいるし、違う世界があるんだよって、って伝えたいです。


Photo/MELON(TRON) Styling/Izumi Machino Makeup & Hair/ANNA.(SHIMA) Model /KEISHAN Text/Shiho Atsumi

ドレス※参考商品/TOMO KOIZUMI シューズ/スタイリスト私物

お問合せ
TOMO KOIZUMI http://www.tomo-koizumi.com/

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