2007年にデビューし、共感できる歌詞やパワフルな歌声で私たちを魅了し続けている青山テルマさん。107万人のフォロワーを抱えるInstagramや、自身のエッセイ本『人生ブルドーザー』を通して発信するポジティブなメッセージに元気づけられている人も多いはず。

様々なことがあった2020年を振り返りながら、これからのキャリアやハッピーでいるための秘訣などを聞きました。

2007年にデビューし、共感できる歌詞やパワフルな歌声で私たちを魅了し続けている青山テルマさん。107万人のフォロワーを抱えるinstagramを通して発信するポジティブなメッセージに元気づけられている人も多いはず。2020年を振り返りながら、これからのキャリアやハッピーでいるための方法などを聞きました。
Koichiro Inomata

2020年はどんな年でしたか?

なんだかすごく不思議でした。これまではバラエティ番組の出演が月に2~3本あって、ライブが数本あったのですが、それが逆転して。1年で100本近くのテレビ収録をしましたね。止まってしまった世界もあった中で、忙しく過ごせたのはありがたかったです。

あとは加藤ミリヤとフォトグラファーの217..NINAと一緒に、「TRUST ME DARLING」というチャリティプロジェクトを立ち上げました。もちろんコロナ禍の世界への戸惑いはありましたが、これまで時間がなくてできなかったことに時間を使えたのは、よかったなと思います。

音楽活動の部分では、困難も多かったですか?

ライブもできないし、スタジオに行けず制作が一回止まった部分もあったので、戸惑いはありました。その後も制作が滞った人や、ライブベースの活動の人や、アーティストは誰もが一度は頭抱えたと思います。

こういう事態に、音楽以外の切り口があることで救われるときもありましたか?

意識していたわけではないですが、それはもうありがたいですよね。ただそれはそれで別の方向の悩みも出てくるんです。仕事としてやり始めると、いくら楽しくても遊び半分の感覚ではいけないと反省するし、本業はアーティストなのに、それがメインの仕事のようなループになっちゃうのはどうなんだろう…とか。去年はそういう悩みが増えましたね。

そういう状況に押し流されず、自分を音楽につなぎとめる方法は?

そこがすごく難しくて。私はお酒も飲まないし、基本的に遊び歩かないんです。日本でそうやって真面目にやってる分、2~3ヶ月に1度は海外に行って不真面目に生きる、インプットしてリセットするタイプ。今はそれができないから、バランスが取りにくいところもあります。

きっと今はみんな、なんとなく憂鬱を抱えているんじゃないかと思います。私も2020年の末に「今は音楽ができないな」と思った時がありました。だから、集中できないまま中途半端に作るくらいならやめようと、まずは年内に一区切りつけて、年始から気持ちを切り替えることにしたんです。今って「頑張った後のご褒美」が作りにくいですよね。だから頑張りすぎず、疲れたら「疲れた」って言って、寝ればいいと思うんです。

昨年はSNSでのBLMに関する発信も。どういう想いだったんでしょうか?

2020年はBLMに限らず、当たり前だった生活が一度止まったことで、社会に目を向ける時間ができた年だったと思います。BLMだって今に始まったことではない、ずっとあった問題。でもこのタイミングでいろんな人が取り上げたのも、社会に目を向ける時間があったことがきかっけになってるんです。社会のことだけじゃなく、周囲の人間関係とか恋愛とかもそうかも知れないですね。

私のInstagramでの発信は、みんながちょっとでも考えるきっかけになったらいいなという想いから。もちろん私自身も、もっと勉強しなきゃいけないなと思ったのもありました。今って自分で調べようとしない人が多い気がするんです。例えば検索したら5秒で出てくるようなことをDMで質問したり。社会全体が「自分で探すよりそのほうが楽」っていう感じになっていますよね。だから発信することで、「ちょっと調べてみよう、学んでみよう」って感じてもらいたいなと。賛成してほしいわけじゃなく、知ってもらうことが大事だと思います。

青山さん自身、チャリティなどもそうですが、社会に対してどういう想いがありますか?

インターナショナルスクールに通っていたので、小学校の頃からボランティアなどはやっていました。だから、いつかはチャリティをやりたいなと思ってたんです。日本には慈善活動に対してまだ少し偏見がある気がしますが、欧米ではアーティストがチャリティ企画を立ち上げるのは一般的なこと。自分の年齢やキャリア的に、そろそろそういうことを考えてもいいんじゃないかなって。

「自分のために必死」という時期が過ぎたというか、自分だけがスポットライトを浴びているより、その光でどれだけの人を照らすことができるか…そういうマインドになってきているんですよね。

最初の大ヒットの後に、様々な経験があったんでしょうか?

本当に酸いも甘いも全部経験してきてると思います。「そばにいるね」が出た時はまだ19歳の頃で、大学も通っていたし、自分のこと以外にフォーカスする余裕がありませんでした。そこから仕事が減っていった時、「もしもう一度注目を浴びたら、その光をみんなに当てよう」と思ったんです。自分だけより、みんなと共有するほうが絶対楽しい。その考えが正しければ、また成功するだろうなって。

もちろん成功の先に「いい車に乗りたい」「モテたい」という目的があってもいい。ただその状態を維持するには、自分の周囲にいる人たちを大事にすることが大切だと思っています。

青山さんに「自分らしさ」を聞く予定でしたが、成功の先で手に入れたいものが何か?というところに、「らしさ」があるのかも。

そうですね。ただそもそも「自分らしさ」ってその時その時に置かれた状況で変化するもので、変わらない「私らしさ」を持ってる人なんていないと思うんです。メディアや雑誌に書いてあることに「自分はひとりじゃない」って思えたりすることってすごく大事。でもそれは単に何かのきっかけとかヒントでしかないんですよね。

半年後の自分がどう変わっているかなんてわからないから、「らしさ」なんて探さなくていい。今のそのままが「らしさ」というか…仕事で切羽詰まって意地悪になっていたとしても「らしさ」だし、幸せでラブラブしてる自分も「らしさ」。「私らしさ」に引っ張られすぎると、逆に分からなくなる…けど、そういう自分も「らしさ」だったり(笑)。

大きなことじゃなく、日々ハッピーでいられたら、それは「私らしく」生きられているのかもしれないですね。

ただ、大きく求めてもいいと思いますよ。それぞれに夢や目標があっていい。ただその時に「私は成功して当たり前」「自分はできる」っていう気持ちは、常に持っておくべきだなって。叶える方法なんていくらでもあるし、誰だって成功できる。超簡単に。

成功するのはなかなか難しい気もします…。

いやいや、すごい簡単! ただそういうマインドを常にキープできるか、情熱を絶やさずにいられるか、努力ができるか、っていうだけだと思います。

そういうマインドはどうやって作っているんですか?

「自分が何を求めてるのか」を文字にして、見える場所に貼っています。目標が実現したかのように書いているんですよね。たとえばすごく緊張しそうな収録があったら、その前に「**の収録で大爆笑とれた、よかったね」とか、小さいこと、細かいことでもいいんです。

忙しくしていると自分がどこに向かってるのかわからなくなることってあるけど、毎日それを目にすることで「よし、私はここに向かってるんだ」と確認できるんです。目標に向かえない日もありますが、そういう時は「そうなんだよな」ぐらいに流していればいい。

本かなんかに書いてあるのを読んだこともあるけど、独自に大学生くらいからやってました。「Mステ出られた」「紅白出られた」って書いて、叶ったら捨てていく。1年に何十枚も書いて、8~9割は叶えています。

ちなみに今は、何を貼っていますか?

「忙しくて幸せ」っていうのは常に貼ってあります。あとは恋愛ですね。「彼氏ができた」って、それだけが剥がせなくて困ってます(笑)。

最近は恋愛はしていないんですか?

1年半くらい、恋人がいないんですよね。ここ最近「結婚してそろそろ子どもを」ってずーっと言い続けてるけど、全然状況が変わらないのが面白い。もしかしたら、そう言ってることが好きなのかも(笑)。

私自身、恋愛体質だとは思うんですよ。恋愛している時の「イェーイ! がんばれる!」みたいな感じが好きだから。でも最近は、恋愛してる自分が徐々に想像できなくなってきちゃってて。昔はすごく惚れっぽかったし、付き合い始めるとすぐ「絶対彼と結婚する!」と叫んでて、「好き! 好き! 好き! 好き! 好き!」って言いまくりたいタイプだったんですけど、今はすごく冷静ですね。

同世代がみんな結婚や出産してるのを「うらやましいな」って思う反面、今はやりたいことがまだあるから、それによって仕事をお休みする期間があるとなると…まだ走っていたい、というのはあります。まあでもどうなるかわからないですし、本当にドンピシャなタイプの人がきたら、変わるかも。

ちなみにドンピシャなタイプは気合いが入ってて、クルマ持ってる人。やっぱり人間は気合いだと思うし、クルマ持ってると便利じゃないですか。いつでもコストコ行けるし(笑)。

今年、恋愛以外でやりたいことは?

今年というか今後ですが、やっぱり「これぞ!」という傑作アルバムを出したいです。出した後に「もっとこうすればよかった」って思うことってありますが、そういう風に思う余地がまったくないような、完璧なものを。あとは裏方に回って、楽して生きる(笑)。若くて才能ある子をいっぱい見つけて、プロデュースしたい!

直接会えない今、コミュニケーションで大事にしたいものは?

やっぱり「思いやり」。相手の状況とか気持ちを理解しようとする時間を作ることが大事なのかもしれないですよね。

今はファンともしばらく直接会えていないですね。私、ライブ中もファンと喋るタイプで、みんなも色々質問してくれるんですよ。一方通行じゃなくて「もう、うるさい!」ってくらい話しかけられるのが好き。だからライブができない、みんなに会えないのは本当に寂しい。時代の変化で、時間とお金の使い方も変わってきますよね。

アーティストのあり方や価値が変わりますね。

でもそれって10年くらい前から徐々に始まってるんですよね。SNSがあれば誰でもインフルエンサーになれるし、アプリを使えばきれいな写真も撮れる。モデルやアーティストだって、プロと一般の境界線はわからなくなってきています。

それが良いと思う時もあれば、変わっちゃったんだな…と思う時もある。どちらにしろそこに対応できる人でいたいんです。みんなと言っているんですよね、「とにかくサバイブしようね」って。


Photo/Koichiro Inomata Styling/Izumi Machino Makeup & Hair/ANNA.(SHIMA) Model /Thelma Aoyama Text/Shiho Atsumi

ジャケット¥77,000、パンツ¥40,000/ともにAcne Studios(Acne Studios Aoyama) 中に着たトップス¥36,000/MSGM(アオイ) イヤリング¥18,000/Kloset_(H3Oファッションビュロー) シューズ¥250,000/Christian Louboutin(Christian Louboutin Japan)

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