NHS(イギリスの国民保健サービス)によると、子宮内に装着することで99%以上の確率で妊娠を防ぐとされる「IUD(子宮内避妊具)」、通称「避妊リング」。高い避妊効果を誇るIUDですが、つけていても妊娠をするその1%になる可能性は誰にでもあります。

本記事では、IUDを入れていたものの子宮外妊娠をしたというルーシーさんの体験談を<コスモポリタン イギリス版>からご紹介します。

語り:ルーシーさん

避妊具を入れていたものの…

振り返ると、明らかでした。何週間も、特定の匂いや食べ物でムカムカして(普段は好きなものです)、吐き気がしていたんです。胸も痛いし、間違いなく大きくなっていました。でも1カ月後に一晩中痛みで苦しみ、病院に行くまで妊娠検査は受けませんでした。なぜなら、1年半前にIUD(子宮内避妊具)をつけていたから。

激しい腹痛が起きた夜、何かがおかしいことはわかりました。最初はひどい生理痛みたいだったので、また寝れば収まるだろうと思って、パートナーのスコットを起こさずに再び寝ようとしました。

「そんなことが起きるなんて」

やがて寝つきましたが、翌朝起きたとき、シーツが鮮やかな赤に染まっていました。生理中によく見るのとは違う血液だったので、すぐに111番(イギリス内における緊急事態のときの医療電話相談窓口)に電話をかけました。

最初に思ったのは、きっとIUDが子宮を傷つけたのだろうということ。装着したときに、ごくまれに出血が起こると聞いていたからです。

電話に出たオペレーターがかかりつけの医師に連絡するように答えたので、そうしたら、またかけ直すと言われました。一日中待っても何も連絡がないので、スコットが私を救急外来に連れて行ってくれることに。

そこで看護師に症状をすべて話し妊娠の兆候と重なると伝えると、彼女が私を見てこう言ったのを覚えています。

「そんなことが起きるなんて…。とても珍しいことだと思いますよ」

その直後に彼女が手渡した妊娠検査の結果は、陽性。その瞬間、まわりの世界から音が消えたようでした。統計上、IUDの避妊効果は99%。でも、それは誰かが1%に該当するということでもあります。そして私が、その1%だったというわけです――。

high angle view of disappointed young asian woman sitting on the bed and holding a negative pregnancy test life events, infertility and family concept
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子宮外妊娠の可能性

私は神経質で不安性なタイプなので、IUDについてはつけるにいろいろと調べていました。「子宮外妊娠の可能性がわずかにある」と書いてあったのは覚えています。子宮の外、それは多くの場合、卵管で受精卵が着床することです。私は直感的に、「それだ」と思いました。

ショックを受けたというくらいでは、表現が足りません。スコットとは将来子どもをもつことについて話し合っていましたが、まだ家を購入したばかりで、子どもを迎える準備はできていないという結論になっていました。

急に予定が繰り上げられた感じで、医療スタッフが私を調べては出て行くまでの間、私の頭はグルグル回り、ただ虚ろな目で壁を見つめることしかできませんでした。

期待する気持ちも混ざり合い

「これからどうしたいか、考えておいてください」と、多くの人に言われました。その時点では何の情報もなく、自分が何をするべきなのかもほとんどわかっていませんでした。

でもひとつだけはっきりしていたことは、もしちゃんと妊娠できるなら、そうしたい。ただ、正確にどこで妊娠が起きているのか、生存の可能性があるのか、どこまで進んでいるのか、さらに検査をする必要がありました。

ベッドの周りの薄いカーテンを引くと、偶然ある医師が別の医師にこう話しているのが聞こえたんです。

「赤ちゃんは救えると思いますよ。正しい場所で育ってる可能性が十分ある」

彼の声がとてもリラックスしていて、確信をもっているように聞こえたので、心臓がドキドキして口から飛び出しそうでした。それでもスコットと私は、期待はしないことにしようと決めていました。

湧き上がる気持ちを抑え

翌日CTスキャンをすると聞いてから、私たちは帰宅。母に電話して、「ちょっとびっくりするようなニュースがあるんだけど…」と話してみることに。「妊娠したかもしれない」と伝えると母が喜んでいるのはわかりましたが、何もはっきりしていないので、気持ちを抑えようとしてるようでした。私とスコットと、同じように。

ほかのことに集中しようとテレビを見たり、夕食を食べたりしましたが、気がつくとこの妊娠が成功する可能性についてGoogleで調べていました。手にIUDをもって生まれてきた赤ちゃんがいるというニュース記事にたどり着いて、希望をもってさえいました。

でもまだ、赤ちゃんに関連した幸せな考えに完全に浸りたくなくて、思い浮かんだことは“これから考えるべきこと”として、携帯電話のメモにひたすら残したのです。姉妹が妊娠していたときに使っていたアプリや、お下がりをもらえそうな人、友人にどうやって伝えるか…。間近だった私の誕生日に女友達がみんな来る予定だったので、そのときがいいかも? とか。

スコットと私はお互いを見つめては静かに笑っていましたが、そのことについて声に出して話し合おうとはしませんでした。

a woman looks distracted and pensive as she lies on a bed holding a mobile phone, and gazes out the window
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赤ちゃんとの別れ

翌日、結果を早く知りたい私は、CTスキャンがいつになるか確認するため病院をうろうろ。しかし、なかなか時間が決まりません。17時半になって、助産師さんがついに電話し、親切かつ事務的な声でこう言いました。

「私が聞いた限りだと、あなたは流産したのではないかと思います。血液検査の予約を入れます」

すべてが崩れ落ちました。ただでさえ、ホルモンバランスも激変しています。うちひしがれてしまいました。ようやくいくつかの検査と予約していたCTスキャンを終えたのは、その連絡を受けた一日後のこと。まだ妊娠は続いていたことが確認されましたが、確実に子宮外妊娠でした。

妊娠を止める薬が投与されることに

その後の説明では、メトトレキサートという薬を飲めば妊娠は止まり、赤ちゃんは体内に吸収されるだろうということ。遅くなれば、手術が必要になる可能性もあるとも。そして、将来(IUDを除いたとき)の受精率に影響はないはずだけれど、10〜15%の確率でまた子宮外妊娠を経験するかもしれないとも言われました。

妊娠を止める薬は、その日のうちに投与されることに。看護師が用意している様子を見るのは耐えがたかったです。

どちらもよくある副作用とのことですが、激しい腹痛と出血に苦しみ、職場にはしばらく休むと連絡しました。最初は痛みで立ち上がることもできず、その後何日もお湯が入ったボトルをおなかに当てながら、鎮痛剤を飲んで、ソファで丸まって過ごしました。

あらゆることが矢継ぎ早に起こって、肉体的にも精神的にも、受けとめなくてはいけないことがたくさんあったのです。

それから毎週血液検査を受け、ホルモン値が順調に下がっているかを調べました。電話で下がっているという連絡を受けるたびに、電話の向こう側の人は私が喜ぶことを期待しているようでした。まるで私が“妊娠していない”ことが確かになるほど安心をしているはずだというように。

健康であることは幸せでしたが、それは私の実際の感覚からはほど遠いものでした。体内に赤ちゃんが吸収されると知って、そんな気持ちはいくらか慰められるように。それなら、私の一部としてずっと一緒にいられるのですから。

IUDの避妊率は100%ではない

IUDを着けていれば妊娠する可能性は低いものの、その100人に1人になってしまった場合は大変な思いをします。念には念を入れて、リングだけでなく、コンドームを使っていればよかったと思います。痛みが落ち着いたとき、私はもう何があるかわからなかったので、IUDを取り除くことにしました。

医師が「これから3カ月は妊娠してはいけないので、確実な避妊の方法をとってください」と言ったので、笑いそうになりました。だって、最初からそれをしたつもりだったんですから。

その後も、避妊についてはどの方法が良いのかたくさん考えています。経口避妊薬(ピル)も案の一つです。何にせよ、より確かな安心のために、これからはコンドームも合わせて使っていくと思います。


※本記事は、Hearst Magazineが所有するメディアの記事を翻訳したものです。文化的・言語的な処理を含めた抄訳や部分利用、改変を含んでいます。
Translation:mayuko akimoto
COSMOPOLITAN UK