触れると痛みやかゆみを感じる頭皮のニキビに悩んでいる人は少なくないはず。今回は、頭皮ニキビができてしまう原因や、対処法、予防方法を美容皮膚科タカミクリニック 副院長の山屋雅美医師に取材。
まずは毎日のシャンプーやヘアケア、生活習慣を見直して頭皮を清潔な状態でキープしましょう。
解説:山屋雅美医師(美容皮膚科タカミクリニック 副院長)
【INDEX】
- 頭皮にニキビができる原因
- 頭皮にニキビができるメカニズム
- 頭皮のニキビと顔のニキビの違い
- 頭皮にニキビができてしまった場合の対処法
- 頭皮ニキビの予防方法
- 頭皮ニキビの予防のために避けたほうがいい習慣
- おすすめの頭皮ケア方法
頭皮にニキビができる原因
頭皮のニキビは、さまざまなことが原因になる可能性が。下記のポイントをチェックして、自分の習慣や頭皮の状態を改めて確認してみましょう。
皮脂の分泌が多い
頭皮は顔や体よりも皮脂腺が発達しており、皮脂の分泌がとても盛んな場所。顔にできるニキビ同様、過剰に分泌された皮脂が毛穴につまることで頭皮にもニキビが発生します。
蒸れやすい環境
頭皮は髪の毛で覆われているため、通気性が悪く蒸れやすいため、アクネ菌が繁殖しやすい環境になっています。
シャンプーやスタイリング剤の刺激
シャンプーのすすぎ残しやスタイリング剤が頭皮に刺激与えていることもあり、ニキビの発生を助長する要因になります。
間違ったシャンプー方法
お風呂で髪の毛はしっかりと洗うのに頭皮はさっとしか洗わない人が意外と多くいます。シャンプー時は髪の毛そのものではなく、頭皮の汚れをしっかり落とす洗い方をすることが大切です。
頭皮にニキビができるメカニズム
頭皮にできるニキビも顔にできるニキビも、メカニズム自体は同じ。ニキビの状態によって、「白ニキビ」「赤ニキビ」「黄ニキビ」へと変わっていきます。
- ターンオーバーのリズムの乱れ
何らかの原因でターンオーバーのリズムが乱れると、毛穴周囲の角質が厚くなり、毛穴の出口が狭くなります。そうすることで、毛穴がつまりやすい状態に。 - 白ニキビの発生
毛穴がふさがれて、ストレスによるホルモンバランスの乱れなどにより、過剰に分泌された皮脂が排出できなくなります。これが毛穴の中に溜まることで「白ニキビ」ができます。 - 赤く腫れた「赤ニキビ」に
毛穴には皮膚の常在菌であるアクネ菌が生息しています。出口がふさがった毛穴の中は、アクネ菌にとって栄養分となる皮脂が豊富で、苦手な酸素がなく繁殖しやすい環境に。アクネ菌が増殖し炎症を引き起こすと、赤く腫れた「赤ニキビ」へ進行します。 - 「黄ニキビ」への悪化
赤ニキビがさらに進行すると、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌まで増殖して膿ができてしまう「黄ニキビ」へと悪化します。
頭皮のニキビと顔のニキビの違い
頭皮のニキビも顔のニキビもどちらも拡大鏡でみても形状は全く同じで、医学的にも違いはありません。ニキビができるメカニズムも同じです。
しかし頭皮の場合、アクネ菌の他にも「マラセチア」という常在菌(真菌/カビの一種)が原因となる「マラセチア毛包炎」も起こりやすいため、ケアをしていても頭皮のニキビが治らない場合はマラセチア毛包炎の可能性があります。
ニキビとマラセチア毛包炎は見た目がよく似ていますが治療法が異なるため、なかなか治らない場合は受診をしましょう。
頭皮にニキビができてしまった場合の対処法
まずは、頭皮を清潔に保つことが大切です。ニキビには、薬局で販売している抗炎症作用や殺菌作用のある市販薬を使いましょう。薬局で市販薬を購入する場合は、症状に合っているか薬剤師に相談してみてください。
市販薬を使用しても治らずに悪化傾向にある場合は、薬が合っていない可能性があるため、早めにクリニックに受診を。クリニックでは症状に応じて外用薬(抗生剤、抗菌剤など)や内服薬による治療を行います。
頭皮ニキビの予防方法
頭皮ニキビの予防として簡単に取り入れやすいケアは、「頭皮の汚れをしっかり落とし、しっかりと洗い流す」こと。日々のシャンプー方法を見直すだけでも、頭皮ニキビの予防対策になります。その他は顔や体のニキビ同様、生活習慣や食生活の見直しを。
正しいシャンプーの方法
- シャンプー前にしっかりとブラッシングをする
シャンプーの前(髪を濡らす前)に髪をブラッシングして、フケやほこりなどの汚れや、髪のもつれをとりましょう。
ブラシは目の粗いクッションブラシを選び、軽い力で毛先からブラッシングして髪の絡まりをほどいてから、頭皮を梳かしてください。 - 予洗い
シャンプー剤を使用する前に、まずはお湯で洗い流しましょう。髪の毛だけでなく頭皮もしっかりと流すのがポイント。髪についたほこりや汚れの多くはお湯だけで落ちると言われています。
この時、お湯の温度が高すぎると頭皮や髪の乾燥を招くため、38度前後のぬるま湯で行ってください。 - 頭皮をマッサージするように洗う
シャンプー剤を適量手にとり、両手のひらに伸ばし泡立ててから、頭皮を洗います。指の腹を使って頭皮をマッサージするようにやさしく洗いましょう。
このとき、爪を立てて洗わないように。頭皮が傷つき、トラブルを招く原因になります。まずは頭皮をしっかりと洗ってから髪を洗います。
シャンプー剤は少ないと泡立ちが弱くなり、多すぎるとすすぎ残しのもとになります。メーカー推奨の量を使用し、シャンプーは髪でなく頭皮を洗うことを意識して行うようにしてください。 - しっかりとすすぐ
シャンプー剤を洗い流すために、ヌルつきがなくなるまでしっかりとすすぎます。シャンプー剤が頭皮に残ることで、ニキビ以外にもフケやかゆみ、赤みの原因になるので、念入りにすすぎましょう。
ポイント
コンディショナーやトリートメントは頭皮には塗らずに髪の毛に塗布するようにしてください。また、頭皮がいつまでも濡れていると蒸れたり、雑菌が繁殖しやすくなったりするので、ドライヤーはトップ(根本)→中間→毛先の準備で髪を乾かすのが◎。
生活習慣や食生活の見直し
- 寝不足にならないようにする
しっかりと睡眠が取れると、ホルモンバランスや肌のターンオーバーが正常になり肌が健康的になります。睡眠時間を十分に確保し、いつも決まった時間にベッドに入って熟睡することが大切です。
ある程度同じ時間帯に就寝するようにし、「質の良い睡眠」をとるようにしましょう。
- 食生活の見直し
糖分の多い食べ物や動物性脂肪の多い食べ物は、皮脂の分泌を増やしニキビを悪化させる可能性があります。
できるだけ控え、ビタミンやたんぱく質を摂取してバランスのよい食事をとるように意識してみてください。
頭皮ニキビの予防のために避けたほうがいい習慣
シャンプー方法や生活の見直しはもちろん、普段やってしまいがちな習慣が頭皮ニキビの原因になっていることも。
- 1日に2回以上、髪を洗う
皮脂が気になるからと1日に何度も髪を洗うと頭皮が乾燥し、余計に皮脂が分泌されてニキビができやすくなってしまうことがあります。シャンプーは1日1回にとどめるとGOOD。 - 朝、髪を洗っている
朝に髪を洗っている人は1日の頭皮の皮脂・汗汚れを翌日に持ち越すことになります。頭皮のニキビに悩んでいる人は、入浴は夜にしてその日のうちに汚れをリセットして、清潔な状態でベッドに入るようにしましょう。 - 長時間帽子をかぶっている
長時間帽子をかぶっていると、汗をかき蒸れた状態に。そのまま頭皮が蒸れた状態を放置すると、雑菌の繁殖を招きます。
頭皮の汗は放置している人が多いですが、きちんとふき取ることを忘れずに。また、通気性のよい帽子を選ぶのもいいと思います。 - 寝具をたまにしか取り替えない
毎晩寝ている間に大量の汗をかいているため、枕カバーなどの寝具は不衛生な状態になりやすいもの。こまめに寝具を取り替え、清潔な状態をキープしましょう。 - 自分に合ったヘアケア製品を使っていない
男性用・女性用と分かれているヘアケア製品もあるなかで、自分に合ったものを使うことが大切です。
男性用のシャンプー剤は皮脂を除去する作用が強かったり、爽快感を得るためにメントールが配合されているものもあり、頭皮を乾燥させたり、刺激を与えたりしてしまう可能性があります。
おすすめの頭皮ケア方法
前述のシャンプーの方法に加え、頭皮への刺激を避けてください。強い紫外線も頭皮への刺激になるため、紫外線の強い季節は、日傘を活用し、頭皮も紫外線対策を行いましょう。
美容皮膚科タカミクリニック 副院長 山屋 雅美医師
しわやたるみ、シミなどのエイジング悩みに対する治療から、ニキビ・毛穴などの美肌治療まで幅広く担当。一人ひとりの悩みに寄り添う丁寧な診察と、高い技術力が人気。
美容皮膚科タカミクリニック
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