数あるアワードの中でも、とりわけ格式の高いアカデミー賞授賞式。映画関係者にとっては最高峰ともいうべきビッグイベントだけに張り切りすぎちゃうのか、伝説となった「白鳥ドレス」のビョークを筆頭に、頑張る方向を間違えてしまうセレブ続出! ワースト覚悟で狙っているセレブはさておき、本人は勝負ドレスとして選んでいるに違いないのに、おごそかな雰囲気に合わなくて失敗だなんてことも…。レッドカーペット慣れしているはずの大物セレブですら、気合いが空回りしてやらかしちゃう、アカデミー賞ってやっぱりすごい!
1995年 リジー・ガーディナー
オーストラリア出身の映画衣裳デザイナー、リジー。見てのとおり、その名も「アメリカン・エキスプレス ゴールドカードドレス」は伝説のワーストドレスの1枚。
よくよく見るとクレジットカード! という悪ノリしすぎなドレスは254枚の期限切れのアメックスゴールドで作られたもの。もともと映画『プリシラ』の衣裳として作ったところ、劇中での使用を禁止されたため、受賞式で着たんだとか。その斬新すぎるアイデアが認められたのか!? リジーはこの作品で衣裳デザイン賞を受賞。しかもドレスはオークションにかけられ、全額エイズ研究財団に寄付されたなんて、実はちょっといい話!
1986年 シェール
大御所ディーバ、シェールの豪華絢爛な裸同然のドレスは一時期、アカデミー賞の名物に。シェール様を前にすれば、あのベラ・ハディッドもエミリー・ラタコウスキーもまだまだひよっこ!?
仮装大賞ならグランプリ間違いなしな1986年のシェール。スパンコールが妖艶にきらめくネイキッドドレスに、巨大なフェザーのヘッドドレスがまるで魔界から現れた女王のよう。このスキャンダラスな一式を手がけたのはアメリカ人デザイナー、ボブ・マッキー。40年以上にわたり、シェールと組んで、数々の話題作を生み出した彼の作品の中でも、特にアイコニックと言われるもの。それにしても当時39歳のシェール、このボディはすごくありませんか?
2002年 サリー・カークランド
アカデミー賞は1988年『アンナ』で主演女優賞にノミネート経験を持つ、御年76歳のアメリカ人女優サリー・カークランド。近年はワーストドレッサーとしてゆるぎない地位を確立(笑)!
悪い冗談のようなドレスアップスタイルも一種のエンターテイメントと思わせることに成功しているような!? 開き直ったはじけっぷりがすがすがしいベテラン女優。シャンパンカラーでまとめたきらびやかなドレスは、幕が上がったステージを思わせるスカート部分があっぱれ! ボリウッドをイメージしたのか、ラインストーンのビンディまで付けるこだわりよう。古いお屋敷からよみがえったゾンビみたいだなんて言わないで!
1989年 デミ・ムーア
受賞式は常連で、毎度攻めたドレススタイルを披露しているデミ。当時結婚していた俳優ブルース・ウィリスとアカデミー撮影賞のプレゼンターを務めたこの年は、あきらかに攻めすぎ!
「どやー!」と言わんばかりに見せびらかしているドレスは、なんと自分デザイン! 胸元は露出過多ではみ出さんばかりなのに、なぜか長袖になっている風変わりな柄のビスチェトップス。レースでトリミングされたサイクリングパンツ。そして成金趣味としかいいようがないキンピカなスカートが不気味にドッキング。もはやドレスと呼ぶのもはばかられる独創的な1着で、その後デミはワーストドレッサーとしても常連に。本人ゴキゲンそうだから、まあいっか!
2002年 グウィネス・パルトロー
主演女優賞の座を射止めた1999年はオスカー史上、最高にロマンティックと言われたピンクのドレスで主役オーラ満載だったグウィネス。この年は一体どうした? っていうくらいゴージャス感ゼロ!
大人ムードなアレキサンダー・マックイーンのドレス姿で脚本賞のプレゼンターとして登場したグウィネス。絶大なインパクトを残したプリンセス風ドレスとは打って変わったシックなイメージでいきたかった気持ちはわかる。でもなんと伝統あるアカデミー賞授賞式という場で、こともあろうにノーブラ! しかもガーゼ素材のトップス部分が妙に肌色っぽく透けているものだから、一瞬たるんでしまったのかとビックリしました! 後日、「ブラはつけるべきだった」と反省したそう。
2003年 ヒラリー・スワンク
2007年 アン・ハサウェイ
カリスマスタイリスト、レイチェル・ゾーのおかげもあって、毎年ため息もののドレス姿を披露してきたアン。でも2007年のこのドレスはちょっといただけない!
衣裳デザイン賞のプレゼンターとして『プラダを着た悪魔』で共演したエミリー・ブラントと檀上に登ったアンは、大きなフロントのリボンがその場で完全にワル目立ち。リボンは後ろだけでもよかったんじゃない? とつっこみたくなる純白レースのドレスは、自身の結婚式のドレスにも選んでいる溺愛ブランド、ヴァレンティノのもの。『プリティ・プリンセス』主演女優だけに、プリンセスライクなこってり激甘ドレスに目がないのかも。
2010年 シャーリーズ・セロン
2011年 ニコール・キッドマン
『めぐりあう時間たち』で主演女優賞を獲得した2003年はジャンポール・ゴルチエのブラックドレスで大絶賛されたニコール。2011年はなんだかやつれた風の前髪もちょっと気になる…。
同郷ヒュー・ジャックマンと作曲賞を発表したこの年、ニコールが選んだドレスはディオールのもの。構築的なデザインで、豪華なテーブルクロスのような刺繍が輝くこのドレス、ニコールの肌の色にも合っていなかったのか、ヘアアレンジもよくなかったのか、ピエール アルディのオレンジ色のパンプスもなんだかちぐはぐで、やることなすことハズシちゃった感大。前の年、『ラビット・ホール』で主演女優賞を逃したのがショックだったのかも。
2001年 ビョーク
評価の高い作品ながら後味の悪さはダントツな『ダンサー・イン・ザ・ダーク』で歌曲賞にノミネートされたビョーク。救いのない結末に笑いを添えたかったのか、ま、ま、まさかの白鳥ドレス!
ヌードカラーの全身ストッキングに白鳥がからみついた、チュチュのようなドレスはマケドニア出身デザイナー、マラヤン・ペジョスキー。その年のエミー賞で司会のエレン・デジェネレスがさっそくパロったほか、今でもアメリカではハロウィンの人気コスチュームなんだとか。そんなふざけているとしか言いようのない(笑)ドレスも名デザイナー、ヴァレンティノの目には素敵に写ったようで、2014年でオマージュ(?)的ドレスが発表されたのには驚き。