• トランスジェンダーの人々の性別移行体験はさまざまです。社会的な性別移行だけする人、ホルモン療法を受ける人、さらには性別適合手術にまで踏み切る人。コスモポリタン アメリカ版のコーナー、「Sex Talk Realness」では、女性から男性へと性別移行をした3人の男性に、それぞれのホルモン療法や手術を通してどのように自分自身と向き合ってきたかをインタビューしています。

【INDEX】

  • 性別移行を始めた時期と期間
  • 性別移行を決めた理由
  • 性別移行で恐れていたこと
  • ホルモン療法を始めてからの変化
  • ホルモン変化において驚かされたこと
  • 手術を受ける必要があると思った理由
  • 術後の体の変化で驚いたこと
  • セックスライフの変化
  • ジェンダーアイデンティティに近づけたと感じるとき
  • 性別移行についてやり直したいこと
  • これからホルモン療法や手術を受けようと考えている人へのアドバイス

  • 性別移行をいつ始め、どのくらいで完了しましたか?

    男性A32歳):社会的な移行と身体的(医学的)な移行が違うということを理解しておくことは大事です。僕は25歳のときに社会的な移行をはじめ、名前を変えたり、周りの人に男性代名詞を使ってもらったりするようにしました。性別移行に"完成形"はないように感じます。

    ホルモン治療は25歳のときに始めましたが、一般販売のテストステロンクリーム(男性ホルモン補充剤)などにはアレルギー反応が出てしまったので、使ったり使わなかったり…。ようやく自分に合うテストステロンクリームを見つけたのが29歳のときでした。同年に上半身の手術を受け、陰茎に性感が得られるという特徴のある、前腕の皮膚や神経を使って新たにペニスを作る"前腕遊離皮弁陰茎形成術"を30歳のときに受けました。

    男性B23):トランスジェンダーの人たちの多様な体験を考慮すると、性別移行を定義するのはなかなか難しいですよね。"自分の姿"を段階分けしているようなものですかね。僕自身は、12カ月前くらいに初のセラピーを受けてから、明確に意識が変わりはじめて、本来の自分の姿を真剣に求めていこうと思うようになりました。

      性別移行を決めた理由は?

      男性B僕が決断したのは、学校の成績では満点が取れて、スポーツ競技で記録も塗り変えられて、困っているお年寄りを手助けすることも難なくこなせるのに、家に帰って自分の姿を鏡で見ることがどうしてもできないことに気付いたときです。常に自殺願望を持ち続けている状態を打破し、愛されるに値する存在なんだと思える自分になりたかった。名前を変えたり、一人称や服装を変えたりして、自分を再発見できるようになってからは、その先のホルモン治療と手術にも進みたくなりました。

      男性C50歳):十分にリサーチをしてはじめて、身体的な移行を決意しました。ホルモン治療を始める前に、自分自身の健康状態へのリスクを把握しておきたかったので。自分の外見にどういう変化が見られるかも気になっていました。以前からずっと顔ひげには魅力を感じていたので、これから自分もひげを伸ばせるのが楽しみです。

      ホルモン治療の副作用はさほど大きなものでもなく、発汗、体臭、体毛とニキビの増量くらいでした。それ以外の身体的な効果は、例えば声が低くなったこと、性欲が増したこと、クリトリスの拡張、身体構造の変化、生理の停止やエネルギーが増したことにはすごく満足しています。

      性別移行について不安に感じていたことは?

      男性A後になって後悔しないか、また術後の合併症などが起きて障害を患ったり死に至ったりしないかが心配でした。

      ホルモン療法を始めてどのくらいで、変化に気付きましたか?

      男性C僕はすぐに、精神的によりバランスが取れて解放されたような感覚になりました。僕のパートナーも僕の気分の落ち着き具合を見て、すぐに気付いたそうです。3カ月してから、顔ひげの増毛で周囲の人にも気付かれるようになりました。

      残念ながら、今はまだ男性と女性の間のような存在として捉えられてしまい、時々まだ女性だと認識されがちです。でもいつか、顔ひげも十分に生えて、声もさらに低くなって、誰からもはっきりと男性だと分かってもらえるようになることを願っています。

      ホルモン変化において、驚かされたことはありますか?

      男性A男性にも性的魅力を感じるようになりました。また、以前好きだった男勝りな女性よりも、フェミニンな女性を魅力的に感じるようにもなりました。

      男性B性欲が急激に増したことが一番びっくりしましたね。ある程度予想はしていましたが、ここまで強いとは思いませんでした。マスターベーションも、時折する快楽活動から、必須習慣へと変わりました。ホルモン治療をする前は基本的にフェミニンな人に惹かれていましたが、ホルモン治療以降は男らしい人に惹かれるようになりました。

      どうして手術を受ける必要があると思ったのですか?

      男性A道のりは人それぞれだと思います。私は"手術自体が必要"だとは思いませんでしたが、自分らしく力強くあり続けるためには必要だと感じました。私は下半身の陰茎形成手術を受けましたが、それによって"立ちション"ができるようになりました。ヴァギナを取り除く手術もありますが、そっちはそっちでオーガズムが感じられるし、(ペニスがないことへの精神的ストレスと違って)ヴァギナがあることによるストレスはないので、残してます。

      男性C以前から乳房があることがとにかく不快でした。それを手術で取り除いた今となっては、この喜びは言葉では到底表せません。今は胸板を見るたびに、はじめからずっとこうであるべきだったと感じます。友達に「取り除いた後がっかりしなかった?」と聞かれて、「とんでもない!」って答えましたよ。誤解しないで下さい、おっぱいは大好きですよ。ただ、自分でなくガールフレンドの胸についていて欲しいだけです。

      術後の体の変化で、驚いたことはありましたか?

      男性A精神的な変化が最も驚きでしたね。以前と違って、自己愛がすぐに芽生えました。もっと健康的な食生活をしたり、自分にとって大切なことを見極めたり、親密な人間関係を築くようになったり。負の感情を払拭するために仕事に逃げ込むこともなくなりました。

      セックスライフに変化はありましたか?

      男性A上半身と下半身の手術を受けてからは、セックスはしていません。でも、手術をする前は、他の女性とセックスをしても、そこにあるのは自分の体じゃないような気がして、なんだか"本当のセックス"をしている気がしませんでした。今では下半身でしっかり感じられ、感情的かつ身体的な高揚感も味わえて最高です。

      性別移行によって、自分の考えるジェンダーアイデンティティに近づけたように感じるのは、どんなときですか?

      男性A以前はなかった生命力のようなものを感じるようになりました。ジェンダーを築くというより、ありのままの自分自身とつながるって感じですね。

      男性Bホルモン療法をする前は、思春期前の少年のような気分で、歳を取りながらも、時間が止まっているような。テストステロンを使うようになって、自分の体に居場所を見つけました。術後、ようやく鏡で自分の姿を堂々と直視できるようになったのも、最高に幸せでしたね。

      性別移行について、何かやり直したいことはありますか?

      男性Bもっと早く性別移行に踏み切るか、せめて自分自身の事情を小さい頃から把握できていればよかったなと思います。子供の頃はたくさんのイジメに遭い、いつも混乱していて、自分のことが大嫌いでした。きっと僕は悪魔がモンスターかなにかで、この地上にいる資格のない存在だと思っていました。今となっては、長年自分自身を愛せずにいたことを後悔しています。

      男性C性別移行に踏み切る勇気を、もっと早くに持てたらよかったなと思います。

      これからホルモン療法や手術を受けようと考えている人に、どのようなアドバイスをしますか?

      男性B他のトランスジェンダーの人たちが書いた物を読むといいでしょう。そして何より、どんな選択をしようとも、あなたは愛し尊敬されるに値する人間だということを忘れないこと。周囲からも、また自分からも。

      男性Cあなたにとってベストな選択をするために、情報提供しサポートし続けてくれるセラピストとお医者さんを見つけること。しっかりリサーチして、わからないことは何でも質問して、お医者さんの指示にきちんと従うことも大事ですね。

      この翻訳は、抄訳です。

      COSMOPOLITAN US