近年は性の多様化が進み、自分の性的志向をカミングアウトする人が増えているけれど、それでもLGBTに対する社会的理解を得るには、まだまだ超えなければならない壁が多いのも現実。

今回はバイセクシャル(両性愛者)の男性に恋をした女性が、周囲からの偏見に苦しんだ経験談を、コスモポリタン アメリカ版からお届け。

「私たちの関係は本物じゃない」と言われ、まるで私の恋人が存在していないかのように扱われることにウンザリしていました。

「『バイセクシャルなんてあり得ない。そんな風に人間は進化しないよ』

『そうなの? 私の彼、バイセクシャルなんだけど』私はそう答えました。

『え!…いや、別に彼があなたを好きじゃないって疑ってるわけじゃないの。えっと…バイセクシャルの人はたぶん、もっと感情的な面で女性に惹かれるんだって思う…』

これは、私がバイセクシャルの男性と付き合っていたときの周囲との気まずい会話。みんな私の元カレのことを『ストレートな女性(私)と付き合っているんだからストレート』と思い込んでいたので、その類の話になると私は黙るしかなくて。外見でバイセクシャルと分かるわけじゃないから隠す必要はなかったけど、公表することもしませんでした。

会話の内容に私は傷ついてばかり。『私たちの関係は本物じゃない』と言われ、まるで私の恋人が存在していないかのように扱われることにウンザリしていました。

最近のアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、18歳~24歳男性の13人に1人以上が男女両方に惹かれるそうで、その割合は年齢層が上の世代よりずいぶん高くなっています。ゲイやバイセクシャルをカミングアウトする人が増えてきているようだけど、社会に認められるまではしばらく時間がかかりそうかな」

好きな髪の色が1種類以上あっても、片方の腕にブロンドの女性、もう片方にブルネットの女性ってことにはならないのと同じ。

「男と女がデートしていたら両方ともストレートだと思う人が多くて、LGBTの話題になっても私たちへの配慮は全くありませんでした。父は彼を交えた夕食の席で、映画『ブロークバック・マウンテン』にはゾッとしたと言い、友だちは彼のことを知らずに『バイセクシャルの男性は男と浮気するから付き合えない』とバッサリ。

彼は3回目のデートで交際を申し込んできて、何カ月かしたら結婚しようとまで言ってくれました(何しろ若かったので)。彼は他の男性との3人婚を望んでいたわけでも、女性との付き合いに満足できないわけでもなかったんです。だって、付き合う相手が自分の求めるものすべてを兼ね備えている必要はないでしょ? 例えば好きな髪の色が1種類以上あったとしても、片方の腕にブロンドの女性、もう片方にブルネットの女性ってことにはならないのと同じで。

バイセクシャルの人、特にバイセクシャルの男性は、"バイセクシャル"を"ゲイであることを認めるためのステップ"にしていると思われている節があります。『彼は他の男性と"浮気"するんじゃなくそっちが"本命"だ』とみんな決めてかかっていて…。だから彼のセクシャリティを公表したくなくなるのは仕方ないですよね。

でも時々、私もそういう考え方に襲われました。彼が"元カレ"とのことを話していると『彼が本当にゲイだったらどうしよう』と条件反射的な反応が起こったし、彼が男性と付き合っていた当時からの彼の女友だちは、彼のことをゲイだと思っていたので、彼女たちと会ったときは私と彼の関係が認められていないように感じて戸惑いました。

彼は男性より女性に惹かれる方が多かったけど、そうでなかったとしても重要なのは、彼が"私に惹かれてた"ってことです。他人の言葉に反応して不安になることはあっても、彼の性的志向は気にならなかった。むしろプラスに感じることが多かったんです。彼は偏見がなく、LGBTの権利を主張していて、私の過去のボーイフレンドたちのように"男らしくあること"に躍起になることもなかった。繊細であることを恐れず、恋人に対する愛情をしっかり表現してくれました。

結局私たちの関係は、彼の性的志向とは全く関係ないことが原因で破局を迎えました。付き合ってみると、共通点がほとんどなかったんです。私は彼と別れた後、異性愛以外の性的志向が世間でいかに偏見にさらされているかについて考えさせられました。

今後また、バイセクシャルの人と付き合うことになっても、問題なんかありません。次は隠さないで言うつもりです。私は社会全体に、LGBTの存在を認め、彼らの恋愛にも説明なんかいらないことを理解してほしいと思っています」

※この翻訳は、抄訳です。

TranslationYuko Oguma

COSMOPOLITAN US