近年、メディアを中心によく耳にするようになった、失恋のリベンジを果たすために“美しい”体型を手に入れることを指す「リベンジボディ」。

偏った価値観に基づいたルッキズムによって、「称賛の言葉」として使われることが多い一方で、当事者をはじめ、それを耳にする周囲にとっては、必ずしもポジティブな影響があるとは限らず、それに苦しむ人がいるのが現実です。

そこで本記事では、リベンジボディを褒めることの危険性や、会話で気をつけるべきポイントを、専門家の解説とともに<コスモポリタン イギリス版>からご紹介します。


【INDEX】


リベンジボディを褒めることの危険性

ここからは、リベンジボディを褒めることの危険性について、アンチ・ダイエットを謳うアクティビストで、ボディポジティブインフルエンサーのアレックス・ライトさんと、摂食障害者を支援している英慈善団体「Beat」の外務部長であるトム・クインさんの解説とともにお届け。

美のスタンダードを助長している

ライトさんは、「そもそもリベンジボディという概念が、細い方がより“美しく”、より“価値”があり、より“望ましく”、より“愛される”という、偏った美のスタンダードを助長しているのが問題」と指摘。

続けて、「リベンジボディを指摘されているクロエ・カーダシアンを例に挙げると、彼女が特定の見た目をしていれば、トリスタン・トンプソンと別れることはなかっただろうというメッセージに要約されてしまう」とし、「それは誰にとっても、本当に有毒なこと」と警告しました。

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Christopher Polk/E! Entertainment//Getty Images
2021年のクロエ・カーダシアン。

メンタルヘルスに悪影響がある

ライトさんは続けて、「リベンジボディを褒めるとき、相手の実際の心境を考慮できている人は多くありません。すべてのダイエットが必ずしも健康的なものであるとは限らないのです」と主張。

「たとえば、メンタルヘルスの状態が食欲不振を招いている可能性もあるのです。ストレスのせいで食べられず、結果的に体重が減ったという人もいるはずです」

離婚後に体重が大幅に減ったことで、リベンジボディを指摘されていた歌手のアデルもその一人。「離婚を見返すように痩せたわけではなく、ダイエットの根底にあったのは『不安障害』だったため、リベンジボディを指摘されることにストレスを感じていた」と語ったことも。

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Jim Dyson//Getty Images
2022年のアデル。

摂食障害を悪化させる

クインさんは、リベンジボディを称賛することが、摂食障害を持つ人、あるいはその傾向がある人に悪影響を与える可能性があるとし、次のように指摘しました。

「体重を減らすことで、恋人との円満な関係を築くことができるというメッセージは、より多くの人にダイエットを強いてしまいます」
「このような極端な考え方は、摂食障害を持つ人に有毒な行動を促進し、状態を悪化させたりするほか、自尊心を傷つけ、身体に対するさらなる不満を抱きやすくさせてしまうリスクがあります」
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GlobalStock//Getty Images

悪循環に終止符を打つ方法

このような悪循環に終止符を打つためにも、まずはリベンジボディを褒めることの危険性について知ることが、最初のステップなのかもしれません。ライトさんのようなボディポジティブインフルエンサーの発信は、まさにその一歩を踏み出すきっかけになるはず。

そんなライトさんは、次のステップとして、「リベンジボディがどれほど有毒であるか議論することによって、この悪循環を断ち切ることができる」と主張。

「自分が発する言葉をしっかりと見極めるほか、リベンジボディの話題が出たときには声をあげて、それを強制するのではなく、別の考え方もあるのだと伝えることが大切です」

一方のクインさんは、「そもそも他人の外見については、誰かがとやかく言う必要も、権利もありません」とし、次のように語りました。

「摂食障害は、様々な形であらゆる人に影響を与えます。そのため、見た目だけでは誰が摂食障害を患っているのか、あるいはその傾向にあるのかはわかりません」
「誰かを知らぬ間に傷つけないためにも、体型にまつわるコメントや、自分の言葉に敏感になることを奨励します」

美の多様性が重視されている今、自分が発する言葉を常に点検し、ルッキズムに直面したときは、それに加担しないようにすることが、小さな一歩なのかもしれません。

※この翻訳は抄訳です。

Translation:YUUMI IKEUCHI

COSMOPOLITAN