出産への考え方、方法、制度は世界各国によって千差万別。そんな海外での出産ですが、海外移住を視野に入れている人のなかには、興味がある人も多いのではないでしょうか。一方で、語学の壁など、ハードルが高いと思ってしまう要素も…。そんな壁を乗り越えて、無事に異国の地で我が子に出会ったママたちは、口を揃えてこう言います。

「子育てはもちろん、自分自身に大きな自信がついた」

そこで、実際に海外出産を経験した日本人女性たちを直撃。妊娠中の検査や、出産中のエピソード、費用や食事事情まで深掘りしてお届けします。

第2弾は、フィンランドのヘルシンキで出産をしたMNさん(46歳)のエピソードをご紹介。北欧らしい手厚い補助や福利厚生が印象的です。

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Jonne Heinonen / Folio//Getty Images

国から出産祝いが贈られる“北欧流”の出産

基本データ

名前: MN(46歳)

職業:日本のデザインを扱うインテリアショップ「COMMON」経営

出産をした国フィンランド、ヘルシンキ

出産をした年齢: 36歳(長男)、43歳(次男)

病院のタイプ:公立の産婦人科病院

費用「出産の費用、帝王切開での出産費は無料。基本2回ある超音波検査代、産後の入院費のみ、お金がかかります」

入院期間:通常の出産だと2~3日。帝王切開の場合は5〜7日。

国からのサービス:「出産前に育児スタートセット『Äitiyspakkaus(アイティウスパッカウス)』、または現金(当時140ユーロ)を選び、社会保険機関から頂けます。私は育児スタートセットを選択したのですが、箱を開けると、たくさんの赤ちゃんの服や、爪切りなどの育児お役立ちグッズが入っていました」

フィンランドの特徴的な出産事情:「当時ヘルシンキには出産ができる場所が2カ所(どちらも公立)しかなく、出産時にその病院がいっぱいの場合、隣の市の病院にまわされてしまいます。また、無痛分娩が主流です。もちろん、妊婦さんの希望を優先し、麻酔をしない自然な分娩も選ぶことができます。出産時の立会いは配偶者や(子ども以外の)家族、そして友だちの参加も可能です」

母子同室:「可能です。第一子の場合は、空いていれば個室で過ごすことができます。第二子以降は、相部屋で過ごします。個室の場合は配偶者、親、友人なども宿泊可能です。出産したその日から赤ちゃんと一緒に過ごし、授乳やおむつ替えに追われました」

食事内容:「ビュッフェ形式で、メニューはフィンランド料理やパスタなど」

病院の浴室にはマリメッコの『ウニッコ』柄のカーテンが…

――妊娠中は、どのように過ごていましたか。

森の中を散歩したり、海沿いを歩いたりと、リラックスして過ごしました。

――出産エピソードを教えてください。

子どもは2人とも、ヘルシンキの同じ病院で出産しました。分娩室には、大きなバランスボールやサウナチェアが置いてありました。これらのグッズを使って、陣痛の痛みを乗り切るそうです。また、枕元に笑気ガス(麻酔)のマスク(吸い口)が置いてあり、必要な場合はそれを使って陣痛を乗り切ります。使ってみましたが、鼻が詰まってなかなか吸えず、使用を断念。

まだ余裕があった段階の時に、思い立ってジャグジー風呂に入ってリラックスすることに。浴室にはマリメッコの『ウニッコ』柄のカーテンがかかり、ブルーベリージュースが運ばれてくるなど、フィンランドらしさが満載。ところがいざ、ジャグジーに入ってみると…ぬるい。あまりリラックスできず、早々に出ることにしました。

その後に麻酔師が来ましたが、自然分娩を希望していた私は麻酔を断りました。ですが、子宮口の開きの遅さと陣痛の痛みで、途中で麻酔を打ってもらうことに。

次の陣痛で子宮口が全開にならない場合、緊急帝王切開になると告げられましたが、幸い胎児の頭が見えていて、子宮口全開になったため、そのまま経腟分娩へ。夫と日本から来た母に見守られながら、結局、麻酔を打ってから1時間半ほどでの出産となりました。