日本でも女性の活躍の機会は増えているものの、政治の世界では女性議員の割合は世界193カ国中165位と、G20のの中でもなんと最下位! まったく進んでいないのが現実です。しかし他国を見回すと、議員のみならず女性リーダー(首相・大統領)がどんどん誕生しています。
そこでコスモポリタンが注目する、世界の“現職”女性首相5人をご紹介。彼女たちの存在と活躍は、世界におけるジェンダー平等を考えるきっかけになるはず。
ジャシンダ・アーダーン首相(ニュージーランド)
首相就任日:2017年10月26日
1980年7月26日(38歳)、ニュージーランド・ハミルトン生まれ。大学を卒業後、ヘレン・クラーク首相(ニュージーランド)やトニー・ブレア首相(イギリス)のオフィスに勤務。スタッフとして政治の世界での経験を積みました。
2008年の総選挙で労働党の議員として立候補し初当選。2017年8月に労働党の党首となり、同年10月の総選挙後、ニュージーランド史上最年少(37歳3カ月)で首相に就任しました(女性首相としては同国3人目)。
2018年6月、第一子(長女ニーヴ・テ・アロハちゃん)を出産し、6週間の産休を取ったことも話題に。首相在任中の出産はパキスタンのベナジル・ブット元首相に次ぐ史上2人目。そして今年4月に長年のパートナーであるTVプレゼンターのクラーク・ゲイフォードとの婚約を発表したばかり(写真は、婚約を発表したときのもの)。
アンゲラ・メルケル首相(ドイツ)
首相就任日:2005年11月22日
1954年7月17日(64歳)、ハンブルグ生まれ。第二次世界大戦後の1949年に事実上東西に分裂したドイツ。メルケル首相は西ドイツに生まれたものの、牧師であった父の赴任により、生後すぐに東ドイツのブランデンブルグ州に転居しました。
1973年、カール・マルクス大学に入学し物理学を専攻。在学中に最初の夫ウーリッヒ・メルケル氏と出会い、1977年に結婚(5年後に離婚)。彼女の現在の姓はこの最初の夫に由来しています。1978年、大学卒業後に科学アカデミーに就職。物理学者としての道を歩み始めます。
そんな彼女の人生を変えたのは1989年のベルリンの壁崩壊。1990年、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)から連邦議会選挙に出馬し初当選。2005年11月にドイツ初の女性首相として、歴代最年少の51歳4カ月で就任しました。
現在、首相4期目。2015年のシリア難民の受け入れでは「欧州の良心」と評価されると同時に批判も受けました。昨年10月に「2021年の任期満了をもって政界引退する」と表明しています。
大のサッカーファンであることで知られ、ワールドカップはもちろんのこと、頻繁に代表戦を観戦(写真は2014年、ブラジルW杯に駆けつけたときのもの)。1998年、44歳のときに再婚した現在の夫ヨアヒム・ザウアー氏との共通の趣味はオペラ鑑賞なんだそう。
テリーザ・メイ首相(イギリス)
首相就任日:2016年7月13日
1956年10月1日(62歳)、サセックス州イーストボーン生まれ。父はイングランド国教会の司祭。オックスフォード大学では地理を専攻。学生時代に夫フィリップ・メイ氏と出会っていますが、メイ首相に彼を紹介したのは、パキスタン初の女性首相であったベナジル・ブット元首相だったそう。
卒業後はイングランド銀行に勤務するなど金融業界でキャリアを進んでいたものの、1994年に地方議会議員(ロンドン・マートン地区)に当選し政界へ進出。国政へ乗り換えに際し、2度の落選を経験していますが、1997年に下院議員に当選を果たします。
2016年、キャメロン政権下でイギリスのEU離脱の是非を問う国民投票が行われ、僅差で離脱が決定しました。「EU残留派」だったキャメロン首相は辞任し、その後を託される形でメイ首相が就任しました。マーガレット・サッチャー首相に続き、イギリス史上2人目の女性首相です。
メイ首相も「残留派」でしたが、EU離脱(ブレグジット)を遂行しなくてはならいという苦しい立場を引き受けました。協定案がイギリス議会で可決しないため離脱期限を延長するなど離脱プロセスは現在難航中。与野党から批判をあび、メイ首相は5月24日に辞任を表明。7月末までに新首相が選ばれる予定です。
メイ首相と言えば「おしゃれ番長」としても有名。ヴィヴィアン・ウェストウッドを着こなし上品な差し色使いのテクを見せるなど、フォーマルウェアの上級ファッショニスタとして知られ、コーデが各メディアで特集されるほど。
カトリン・ヤコブスドッティル首相(アイスランド)
首相就任日:2017年11月30日
1976年2月1日(43歳)、レイキャビック生まれ。アイスランド大学ではアイスランド語とフランス語を、大学院ではアイスランド文学を専攻。修士論文のテーマはアイスランドで人気のミステリー文学作家についてだったそう。卒業後は国営テレビ局「RÚV」に勤務し、その後フリーランスでメディアの仕事をしていました。
2007年に国会議員に初当選。直後の2008年にアイスランドは金融・経済危機を経験。厳しい時期にヤコブスドッティル首相は教育・科学・文化大臣に就任し、人々の信頼を獲得しました。2016~2017年に政治スキャンダルが相次ぎ、2017年には総選挙が2度も行われることに。同年10月の総選挙後、グリーンリフト(左翼環境運動)党の党首を務める彼女がアイスランド史上2人目となる女性首相に就任しました。
平和主義者であり環境保護主義者であることで知られ、私生活では3児の母。政治家になる前にミュージックビデオに主演したこともあるんだそう。
エルナ・ソルベルク首相(ノルウェー)
首相就任日:2013年10月16日
1961年2月24日(58歳)、ノルウェー第2の都市ベンゲン生まれ。子ども時代、学校では人気だったものの勉強には苦労し、16歳のときに「失語症」と診断された過去があります。しかし活動的な学生生活を送った彼女は、高校生のときにはノルウェー学生組合の委員に選ばれるなど、リーダーの資質を若い時代から発揮していました。
ベンゲン大学では社会学、政治学、統計学、および経済学を専攻。1989年、28歳のときに国会議員に初当選。2001年に地方行政・地域開発大臣として初入閣を果たします。当時の強硬と言える政治手腕から「鉄のエルナ」というニックネームをつけられたほど。2013年の総選挙後、ノルウェー史上2人目の女性首相に就任。現在2期目を務めています。
私生活では2人の娘を持つ母。また本気のゲーマーとしても知られており、お気に入りは「キャンディークラッシュ」と「ポケモンGo」。とくに「ポケモンGo」は外遊先や国会でもアプリを起動をしている姿が目撃されて物議をかもしたほど。