2月14日は、年に一度のバレンタインデー。日本では従来、女性が男性にチョコレートを贈る日とされており、恋人や意中の相手に気持ちを伝える「本命チョコ」の他、職場などでお世話になっている相手に贈る「義理チョコ」、そして近年では、仲の良い友達に贈る「友チョコ」などの文化も存在します。
しかし、同じバレンタインデーでも、ところ変われば祝い方も実にさまざま。海外では、バレンタインデーをどのように祝っているのでしょう? 今回はアメリカ、フランス、韓国、メキシコ、インドの5カ国をピックアップし、現地在住経験者の皆さんに、各国のバレンタインデーの祝い方について教えてもらいました!
アメリカ
アメリカでも、バレンタインデーは「愛の日」としてたくさんの人が祝います。日本のように2月14日が近づくと、街にはピンクや赤の装飾が目立つように。
逆に日本と異なるのは、女性が主体でプレゼントをあげる必要はなく、どちらかというと男性からプレゼントを渡すのが主流なこと。
学校の友達や会社の同僚に「義理チョコ」を渡すという文化もなく、恋人や家族、親友など、自分にとって近しい存在の人と愛を確かめ合ったり、感謝を伝えるのが一般的です。また、バレンタインデーをプロポーズの日に選ぶ人も多いのだとか!
近年では、アメリカで2010年に大ヒットしたドラマ『パークス・アンド・レクリエーション』のワンシーンから生まれた、「ギャレンタイン(女友達と過ごすバレンタイン)」を楽しむ人も。
アメリカのバレンタインデー定番のプレゼントは、赤いバラの花束やジュエリー、日本同様にチョコレートなど。また、このシーズンにブックストアやドラッグストアに行くと、バレンタインカードのコーナーができるほど、メッセージカードも人気です♡
(Ari Kim/ライター)
フランス
年中恋愛モードな「アムールの国」のフランス人。この日だけが愛を伝えるスペシャルな日、というわけではないけれど、2月14日は「Saint Valentin(サン・ヴァランタン)」と呼ばれ、愛し合う恋人や夫婦たちがお祝いをする「La fête des amoureux(恋人たちのお祭り)」の日となっています。
カップルによって過ごし方はさまざまで、ロマンティックなディナーに出かけたり、週末が近ければ小旅行をしたり。お家ディナーなら、ちょっと手の込んだ料理を作り、テーブルコーディネートも特別感を演出。とにかく一緒に過ごすことが大切で、子供がいる夫婦もこの日ばかりは夫婦水入らずの時を過ごします。
またフランスでは、赤いバラを男性から女性に贈るのが一般的。その他香水、ジュエリー、愛する女性に身に着けてほしいランジェリーといったものが定番のプレゼントとなっています。
一方で「毎日恋人を愛する気持ちに変わりはないから、この日だけ特別なことをするのはナンセンス!」と、バレンタインを単なる商業的イベントと捉える若い世代も多いとか。それもまた、皮肉を好むフランス人らしい!?
(Tomoko Nourry/ライター)
韓国
韓国も女性が好きな男性にチョコレートをプレゼントしますが、11月11日にポッキーの「ペペロ」を渡して告白する「ペペロデー」があるため、バレンタインの盛り上がりは日本に比べると控えめ。そして、手作りよりも既製品を選ぶ人が多いです。
韓国の大手オンラインショッピングサイト「ティモン」が、今年1月25日~28日にかけて顧客800人を対象に行った調査によると、82%の人が既製品を買うと回答したそう。
また、プレゼントは見た目から豪華なものが好まれ、バレンタインシーズンになるとスーパーやコンビニにテディベアとチョコレートが入った大きなバケットがたくさん並びます。
ホワイトデーも日本と同様に存在しますが、その1カ月後の4月14日には、「ブラックデー」という恋人のいないシングルたちのための記念日があります。全身黒のドレスコードで、黙ってジャージャー麺を食べる韓国にしかない風習です。
(Yuki Todoroki/ライター)
メキシコ
メキシコでは、バレンタインデーは「Día del amor y la amistad(愛と友情の日)」として知られ、恋人同士が愛を確かめ合う以外に、日本の「友チョコ」のように、友達同士でチョコレートやお菓子を贈り合い、友情を深めます。
恋人とはデートしたり、旅行したり、食事をしたりします。メキシコ人男性はとてもマメで、記念日ごとに花やプレゼントを贈る人も多く、もちろんこの日も例外ではありません。
真剣交際であるほどプレゼントも高価になり、1時間1.5万円程の伝統的な「マリアッチ」と呼ばれる、5~10名の管弦楽団をサプライズで呼ぶこともあります。
マリアッチは元々愛の告白にも使われ、自分のために呼んでもらえるというのは、メキシコ人女性にとって一種のステータスです。女性からもチョコレートやプレゼントを贈りますが、日本とは違い、互いにプレゼントし合います。
もちろん人にもよりますが、結婚し年齢を重ねても、恋人の頃のように一緒に旅行したり、ジュエリーを贈ったりしてお祝いする人たちが多いようです。
(塚田 真由美/日本語教師)
インド
インドにおけるバレンタインデーは、基本的に男性が女性に愛を告白します。でもシングルの男女に限らず、カップルや夫婦、友達同士でも、気軽にバレンタインを楽しむ風習もあります。
定番のプレゼントは、チョコレート、バラの花、ぬいぐるみ、ジュエリー、コスメなどですが、インドの人はパーソナライズされたプレゼントも大好きで、名前や写真入りのマグカップ、クッションなども人気です。
若者を中心に定着しているかのように見えるバレンタインデーですが、自由恋愛をNGとするインドの風習に馴染まないことや、インド独自の文化ではなく欧米の文化であることから、バレンタインを歓迎しない動きもあります。
その一方で、2月14日までの約1週間を「バレンタインウィーク」と称し、好きな女性にバラを贈る「バラの日(2月7日)」や、互いに愛を誓い合う「約束の日(2月11日)」など、毎日のテーマに沿って、じっくり8日間かけながらバレンタインを盛り上げるというトレンドもあります。
(シャー 順子/翻訳者)