仕事量の増加や環境の目まぐるしい変化によって、キャパオーバーになってしまう「燃え尽き症候群(バーンアウト)」という言葉を耳にしたことがある人も多いはず。一方で、コロナ禍での働き方とライフスタイルの変化を受けて、スポットライトを浴びているのが「退屈症候群(ボアアウト)」。

本記事では、心理療法士で「Bupa UK Insurance」でメンタルヘルス部門を担当する、パブロ・バンデナビールさんが、燃え尽き症候群と比較されることの多い「退屈症候群」に関する基礎知識と対処法を解説します。


【INDEX】


「退屈症候群」とは?

バンデナビールさんによると、「退屈症候群(Boreout)」は、「燃え尽き症候群(Burnout)」と比較されることが多いですが、二つを分ける要素は負担に感じる仕事の量だと言います。

「働きすぎることから感じる『燃え尽き症候群』とは対照的に、仕事が自分の力量以下に感じたり、業務が減って物足りなさが募ることで『退屈症候群』が引き起こされると考えられます」

退屈症候群の症状には、疲労や不安、ストレス、やる気の喪失などが挙げられるため、仕事でのパフォーマンスが落ちることはもちろんのこと、メンタルヘルスにも悪影響が出るのだそう。

また、これは主に仕事環境で生じる症状として捉えられがちですが、恋人との交際などの人間関係においても言えるのだとか。たとえば、交際関係に物足りなさを覚え、孤独や不安を感じるようになってしまうとのこと。

「退屈症候群」を引き起こす原因

仕事における「退屈症候群」は、業務量の減少や同僚とのコミュニケーションの欠如、過小評価される感覚などが、「退屈症候群」を引き起こす主な要因だと、バンデナビールさん。

また、パンデミックのような状況が、この症状を生むキッカケになりうるとのこと。

「不確実性が高く不安要素が多い現在、日常に刺激が足りないと感じたり、毎日同じことの繰り返しに感じると、『退屈症候群』を引き起こす可能性があります」
「また、レストランやバー、ジムなどの娯楽施設が利用できないことによるフラストレーションが募り、症状が加速することも考えられます」
i don't see myself making it through the night
shapecharge//Getty Images

「退屈症候群」に打ち勝つには?

小さなゴールを作る

コロナ禍のように、社会全体が自粛モードになり、経済活動も止まっているような状態だと、仕事や人生においての自分のゴールや目標に対して、あまり考えを深めたくなかったり、行動にうつすのが億劫に感じてしまうかも。そんなときは、そこでどんな感情が生まれるかに意識をむけてみるのが大切だそう。

「なにか成し遂げたいゴールを考えた時に、不安やストレスを感じるのであれば、それはとりあえず後回しにしても大丈夫です」とアドバイスしながら、すこしでもウキウキするようなゴールを見つけたのであれば、それに取りかかることに集中してみてくださいとアドバイス。

「どんなに些細なことでもいいので、短期的目標を書き出してみてください。そして、それを達成するたびにチェックをしていくと、小さなことでもモチベーションが上がります」

仕事に関するゴールであれば、それを先輩や上司に共有をすると、相手との共通認識を持つことができて、サポートを受けやすくなるかも。また「お金を貯める」や「部屋の掃除をする」など、日常生活でのゴールであるのならば、それを家族やパートナー、友人に共有し、達成できるよう見守ってもらいましょう。

相談する

「退屈症候群」に陥ってしまったときは、自分が今どのような状態で、何を感じているのかを、周りの人に話して発散したり、積極的に解決策を探すこと。

特に、仕事上での悩みであれば、上司に話してみることで一緒に打開策を考えることができるかも。

「今の仕事に物足りなさやイラ立ちを感じているのであれば、まず何がそのような感情を生み出しているのか、何を望んでいるのかを自分に質問してみてください。その後上司と共有し、どのような業務を求めているのか、新しい挑戦はできるのかを相談してみてください」

交際関係においての「退屈症候群」で悩まされているのであれば、恋人との時間を楽しんだり、密なコミュニケーションをとるための工夫が大事だと、バンデナビールさんはアドバイス。

お互いがどんなことを感じているのかチェックすることを日課にして、楽しいアクティビティを実践してみたり、またはお互いのパーソナルスペースを尊重して少し距離を置いてみるなど、状況に応じて対処してみるのが鍵だそう。

「カウンセラーなどの専門家に相談することもオススメです。何が原因で『退屈症候群』に陥っているのか、そしてどのようなステップを踏むことで改善していけるかのヒントをくれるはず」

また、セルフケアを優先することも重要。運動をしたり、健康的な食事、質のいい睡眠を心がけたりする気になれなくても、少しずつでいいので自分の心と身体の健康に意識を向けてみることが、回復の近道になるはず!

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARI

COSMOPOLITAN UK